固定残業代(みなし残業)の仕組みとは?制度を悪用している会社もある!?

2018年1月23日2,991 view

固定残業代

固定残業代(みなし残業)は、会社があらかじめ一定時間分の残業代を賃金に含ませ、固定金額を残業代として支払う制度です。営業職など、会社側が労働時間の管理が難しい労働者に対して取り入れられています。しかしその制度を悪用し、一定時間を超えた分の残業代を支払わない会社も多く、その違法性が問題になることもあります。

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固定残業代(みなし残業)とは?その制度の仕組みを解説!

解説

一般的に「みなし残業」と呼ばれている「固定残業代」は、会社が一定時間の残業時間を想定し、賃金や手当ての中に、あらかじめ一定時間分の残業代を含ませておく制度です。その制度の仕組みを詳しくみていきましょう。

みなし労働時間制の制度について

みなし残業という言葉は正確には「みなし労働時間制」といいます。

実際の労働時間に関わらず一定の労働時間(残業)を働いたものとみなして、その分を含めて賃金を支払う制度です。残業代が少ない月でも、決まった額の残業代が得られるのは、働く側のメリットといえるでしょう。

一定時間までは残業代が支給されない

例えば「月30時間の残業を含む」と雇用契約書に記載されている場合、残業時間が月30時間を超えた超過分のみが別に支給されます。 みなし労働時間制は、一定の残業代を固定して支払う固定残業制度のことですので、残業時間が30時間に満たなくても決まった残業代が支払われます。

時間外労働の割増賃金や深夜料金

みなし労働時間制では、会社は労働者との話し合いにより、残業時間を含めた週40時間以上の労働時間を定めることもできます。

決められた一定の時間分に関しては、労働基準法で定められた週40時間を超える時間外労働に対する割増賃金や、夜10時から朝5時までの深夜割増賃金、休日出勤に対しての割増賃金は支給されません。

みなし労働時間制が適用されるケースは

会社がみなし残業代の制度を用いるケースは大きく二つあります。上司からその都度指示を受け固定された時間帯で働くよりも、労働者の判断で仕事を進めたほうが合理的とされる職種に適用されています。例えば、デザイナーや研究職などの専門職や営業職など、どれくらい残業しているのか把握しにくい職業が多いのが特徴です。

事業所外労働

営業職などで一日中外回りなどをしている場合、会社側が労働時間を正確に把握することが難しい労働者に対し、この労働時間制度が採用されています。

裁量労働

研究者やソフトウェアの製作者やデザイナーなど、仕事の進み具合によって集中して業務を行う必要があり激務になることもありますが、仕事がひと段落するとまとまった休みが取れるような職種のことです。仕事の時間は、労働者の裁量になっている鞘腫です。

会社は残業時間と固定残業代を明確にし、従業員に周知する

会社はみなし残業代の制度を従業員の給与に適用する際、雇用契約書などに固定残業について残業時間と金額を明確に記載し、従業員に説明する必要があります。

月給○○万円(固定残業代を含む)という表記では残業代や残業時間が不明なため、例えば「月給25万円(20時間分の固定残業代5万円を含む)」というように記載します。

固定残業代(みなし残業)が違法のケースも!?

違法

固定残業代を取り入れる本来の理由は

会社側が固定残業代を取り入れるメリットは、「一定時間内の残業であれば残業代の計算をしなくてすむ」ということです。

労働者にとっては、残業時間が少なくても固定の残業代がもらえるため安定した収入を見込めることや、比較的時間を気にせず自由に仕事をすることができる、という点でしょう。

固定残業代制度を悪用している会社がある?

もともと残業時間が長い会社が、残業代を削減するため固定残業代の制度を悪用しているケースがあります。また固定残業代だけを払えば超過分は払わなくてよいという認識の無知な経営者や担当者もいるようです。

また、「なるべく固定残業時間以内で仕事を終わらせるように」と一定時間以上の残業を申請することにプレッシャーを与えたり、裁量労働で業務時間の配分は労働者に任せられているにもかかわらず、実際は会社が管理し「仕事が早く終わった時でも帰れない」状況があるなど、サービス残業の原因となっていると言われています。

固定残業代の違法性を見分けるポイント

固定残業代を採用していても、労働基準法に定められた内容を満たしていれば、その会社独自の賃金規定を定めることは可能であり違法であるとは限りません。会社の固定残業代の制度が違法かどうかを見分けるには、どのようなポイントに注目すればよいのでしょうか。

固定残業代の金額・時間が明確に記載されていない

求人情報を掲載しているサイトなどを確認すると、固定残業時間と残業代が明確でない会社があります。

「月給○○万円(みなし残業手当て40時間含む)」
「月給○○万円(一律残業手当含む)+交通費上限△万円」

これでは、正確な残業代や残業時間がわかりません。

会社は固定残業代の制度を取り入れている場合、求人票だけではなく採用時の雇用契約書などにその金額と時間をはっきり明記する必要があります

一定時間に満たないと残業代が支払われない

固定残業時間を80時間など長時間に設定し、この時間を超えないと残業時間を支払わないというブラック企業がありました。労働者は残業代がでないと、生活が厳しいため、必死に働き過労死を招く原因にもなっています。

前述したように、固定残業代の制度では一定の残業時間に満たなくても、固定金額を支払われないといけません。

超過時間分の残業代が支払われない

一定時間を超えて残業した場合、超過した分の残業代は追加で支払われる必要があります。「固定残業代なので追加分は支払わない」という会社は違法です。

残業代の単価が最低賃金を下回っている

労働基準法では、会社は労働者に対し最低賃金以上の賃金を支払うことが定められています。最低賃金単価は、都道府県ごとに毎年設定されています。

これは固定残業代の単価にも言えることであり、「時間単価×1.25」の残業代単価である必要があります。

例えば、「固定残業手当:月2万円(月30時間分)を含む」と残業時間、金額ともに明記されていても、時給に換算すると666円で最低賃金を下回っているため実は違法、というケースがあります。

固定残業代の違法性が発覚!不足分の残業代を取り返すには

取り返す

一定時間を超えて残業しているにもかかわらず、固定残業代以上の金額が支払われない場合など、明らかに会社側が違法であることが発覚した場合、どうしたらよいのでしょうか。

不足分の残業代の考え方

残業代が関わっているケースで、未払いの残業代を請求するには、2つの残業代の考え方のパターンが考えられます。一つは、固定残業代で定められた時間以上働いた分を計算し、残業代を請求する方法。もう一つは、固定残業代自体を無効とし、残業代全てを請求する方法です。固定残業代については「労働者の同意が得られていること」と「固定残業代の金額と時間が明確になっていること」が重要な判断材料になります。

個人で残業代を取り戻す3つの方法

未払いの残業代を取り返す方法として、以下の方法があります。

自分で未払い残業代を計算して会社に請求する

自分で未払いの残業代を計算し、内容証明郵便で会社に請求する方法です。ただし、個人で送っても無視される場合も少なくないので、弁護士に依頼して請求書を書いてもらう方がよいでしょう。

残業代の計算方法

(月給)-(固定残業代)-(手当など)=(基本給)
(基本給)÷(月の労働日数)×(8時間)×(1.25)×(残業時間)=(支払われるべき残業代)

固定残業代を超えた残業代

(支払われるべき残業代)-(固定残業代 )=未払いの残業代
※残業代の時効は2年なので、2年前まで遡って計算します。

固定残業代を無効とした場合

(基本給)+(固定残業代 )÷(月の労働日数)×(8時間)×(1.25)=(1時間分の残業代)
(1時間分の残業代)× 全ての残業時間=未払い残業代

労働基準監督署に報告する

労働基準監督署に報告に行く方法です。個人が残業代を請求しても相手にされない場合がありますが、行政が動けば会社も放置しない可能性があります。

労働審判を起こす

労働問題の場合、労働審判を申し立てることができます。裁判を起こすよりハードルが低いので検討の余地はあるでしょう。ただし、労働審判制度は個人と会社との労務問題を扱う制度なので集団では申し立てられません。

しかし、個人で行動を起こすには難しいこともあるでしょう。

前述したように、固定残業代に関する残業代未払いの問題には2種類あり、固定残業時間以上の残業代を未払いとする場合と、固定残業代自体が無効であり残業代全てが未払いとする場合があり、計算は複雑で個人ですべてを行うのは困難でしょう。

雇用契約書や就業規則、給与明細、タイムカードなど給与や雇用に関する書類を準備し、労働問題の残業代請求に精通した弁護士に相談することが一番早い解決方法でしょう。

残業代は2年前まで遡って請求することができますので、退職した場合でも諦めてはいけません。

固定残業代(みなし残業)の制度は労働者側もしっかり理解せよ

労働問題が世間で頻繁に取り上げられるようになり、会社は「残業代未払い」や「週40時間以内」など労働基準法違反から表面的に逃れるため、固定残業代の制度を導入する会社もあります。

労働者も自分の権利を守るために固定残業代についてしっかり理解する必要があります。気になる場合は、雇用契約書や給与明細書、就業規則をあらためて確認する必要もあるでしょう。

個人が動かなければ、会社が自ら未払いの残業代を支払うことは稀でしょうし、個人が会社を相手にして残業代を請求するのも大変な労力です。残業代請求に困ったときは、労働問題に精通した弁護士に相談するとよいでしょう。

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