パワハラの慰謝料請求相場!判例に学ぶ高額な慰謝料を請求する方法
現在職場でパワハラ被害に遭っているという方は「パワハラをやめさせたい・償わせたい」と考えていることでしょう。もしパワハラで慰謝料を請求するなら、不利な状況にならないようにするためにも、先に事前知識をつけておくのが賢明です。そこで今回は、パワハラでの慰謝料相場からパワハラで慰謝料請求をする方法、パワハラの慰謝料請求にかかる費用、慰謝料を増額させるためのポイントまでわかりやすぐ解説します。
- これっておかしい?と思ったら弁護士に相談を
- 自分のおかれている状況がパワハラ・セクハラに該当するかわからない
- セクハラ・パワハラで悩んでいるが相談できる人がいない
- どのような解決方法があるのか相談したい
- 弁護士に相談することで円満解決や慰謝料がもらえるケースも!
- 相談は完全無料まずはお気軽に相談を
この記事で分かること
パワハラの慰謝料相場
まずは、パワハラを理由に慰謝料を請求した場合、どれくらいの金額が請求できるのか、請求額にはどのような事情が反映されるのかをご説明します。
パワハラでの慰謝料請求相場は50~100万円程度
では、パワハラの慰謝料相場はどれくらいなのでしょうか。
結論からいうと、パワハラの慰謝料相場は50万円〜100万円程度といわれています。相手に与えられた苦痛を考えると、「少ない」と感じた方が多いのではないでしょうか? もちろん、パワハラの内容や期間などによってこれより少なくなることも多くなることもあります。相場はあくまで目安であると捉えてください。
パワハラにあたる行為とは?
ところで、皆さんはどのような行為がパワハラに当たるかをご存知でしょうか。実際の裁判などでは、パワハラに当たるか微妙な事案も多く、そもそもパワハラと認定されてないケースもあるのです。そのため、パワハラだと認定されることがまず重要だとお考えください。
パワハラに当たるかどうかは以下を満たすかどうかがポイントです。
- 職場の地位や有利性を利用していたか
- 業務の適正な範囲を超えた指示命令であったか
- 著しい精神的苦痛を与える行為、あるいはその職場環境を害する行為であったか
上司の立場を利用して、評価を下げるといった圧力を示しながら業務に関係のないことを押し付けてきた場合や罵倒するような文言を浴びせられた場合にはパワハラになる可能性が高いでしょう。
このように、相場を理解することも大切ですが、被害者への行為がパワハラに当たるのかを見極めることも大切です。
パワハラ慰謝料で考慮すべき事情
パワハラ慰謝料請求をする際、どのような事情が金額に影響するのでしょうか。
パワハラを理由に慰謝料請求をする場合、以下のような事情が影響します。
- パワハラ加害者の立場
- 被害の悪質性
- パワハラの期間
パワハラ加害者の立場
パワハラは職場の地位を利用していたかどうかがポイントとなります。つまり、上司など自分より上の地位にあることが前提となります。自分より上の地位でも、上司なのか、それとも社長なのかによって被害者が不利益を受ける程度も異なるため、金額が左右されます。
被害の悪質性
パワハラ被害の慰謝料請求では、被害の悪質性も問題となります。内容によって金額は大きく左右されると言うことです。例えば、加害者の人数や暴行や脅迫などの行為があったか、精神的苦痛を与えた程度はどれほどであったのか、によって金額が変わります。
パワハラの期間
被害の期間が長ければ長いほど、精神的苦痛は大きくなります。そのため、パワハラを受けていた期間は金額に影響するといえるでしょう。しかし、一度だけの行為でも怪我をするほどの暴力であった場合などは金額が大きくなる可能性もあります。
このように、パワハラで考慮すべき事情は上記の3つが基本となります。
慰謝料を請求する!パワハラで訴える方法
パワハラを理由に慰謝料請求を検討している方は、パワハラで慰謝料を請求する方法について理解しておく必要があります。そこで、パワハラ慰謝料の請求先、慰謝料請求の流れ、パワハラ慰謝料が認められた判例についてご説明します。
パワハラで慰謝料を請求する相手
パワハラで慰謝料を請求する場合、誰に請求する必要があるのかを先に理解しておく必要があります。
まず、加害行為をした上司などの個人に請求します。実際に相手方から被害を受けたのですから、当然の請求先といえます。
もう1つの請求先は、会社となります。会社がパワハラを放置していた場合は、雇用主としての責任があります。したがって、この二者を相手どってパワハラの慰謝料を請求するのが一般的です。
パワハラ社員にだけ請求したい場合でも、まず会社へ相談すること
しかし、パワハラを理由に慰謝料を請求する場合は、十分に考えて行う必要があります。加害者だけに請求したとしても、必ず会社にも影響が出るためです。そのため、加害者だけに請求したい場合でも、先に必ず会社に相談することが大切です。今後その会社で働いていく中で、働きやすい環境を作っていくことも大切であるためです。理解してくれそうな上司に報告する、人事部に相談してみる、組合に聞いてみる、などまずは内部に相談を持ちかけてみてください。
ちなみに、労働審判を申し立てる場合には、加害者個人に対してではなく会社を相手方とする必要があります。会社に話していたのに黙認されたケースなどでは、会社も請求先にすることも考えてみてください。
このように、パワハラ慰謝料の請求先は、加害者と会社です。状況を見て、加害者だけでなく会社も訴えるかどうかを判断してください。
- これっておかしい?と思ったら弁護士に相談を
- 自分のおかれている状況がパワハラ・セクハラに該当するかわからない
- セクハラ・パワハラで悩んでいるが相談できる人がいない
- どのような解決方法があるのか相談したい
- 弁護士に相談することで円満解決や慰謝料がもらえるケースも!
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パワハラで慰謝料請求を行う流れ
パワハラで慰謝料請求を行う場合、どのような手順で進めていくのが良いのでしょうか。慰謝料請求をする場合の流れとしては、以下の通りに進めていくのが一般的です。
- パワハラの証拠を収集する
- パワハラ被害を会社に相談・交渉をする
- 加害者や会社に内容証明郵便を送付する
- 労働基準監督署に相談する
- 労働審判の申し立て
- パワハラ慰謝料請求の裁判を起こす
以下、詳しくご説明します。
パワハラの証拠を収集する
まずはパワハラの証拠収集を開始しましょう。パワハラが証拠がないと慰謝料請求が難しいといわれています。パワハラの内容を記録した音声データやメール、病院での診断書など、被害の証拠となるようなものは全て集めておくようにしてください。
会社に相談・交渉を行う
ある程度の証拠を集めたら、会社の人事部や法務部、信用できる上司などに相談してみましょう。会社が対応してくれない場合や交渉が決裂した場合は、弁護士に相談してください。弁護士が間に入ることで交渉が円滑に進む可能性も高いでしょう。
加害者や会社に内容証明郵便を送付する
直接交渉でうまくいかない場合は、パワハラ被害の内容をまとめた書面を内容証明郵便で送付するという方法もあります。「ハラスメント差止要求書」というタイトルで、いつ、どこで、誰に、どのような行為をされたのかを書いた書面を作成しましょう。よくわからない場合は、弁護士にお願いするのも1つの方法です。
労働基準監督署に相談
社内で相談も行った、内容証明も送ったのに一向に進まない場合は東堂基準監督署に相談する方法もあります。社内で解決できる方法を提案してもらったり、あっせんや助言、指導などを会社に行ってくれます。
労働審判の申し立て
仮にパワハラを申し出たことを理由に解雇などの不利益な取り扱いを受けた場合は、老働審判を申し立てることもできます。パワハラにおける会社の不法行為責任や安全配慮義務違反を追及することになります。
パワハラ慰謝料請求の裁判を起こす
パワハラ被害に関して、会社と交渉をしてもうまく示談を成立させられなかった場合は、裁判を起こします。加害者と会社の両方を訴えるのが一般的です。訴訟を起こす場合は、弁護士に依頼する必要があるでしょう。
パワハラで高額慰謝料が認められた判例
パワハラの慰謝料請求は必ずしも被害者にとって良い結果が出るとは限りません。そのため、過去の判例とご自身の状況などを照らし合わせて、訴訟に踏み切るべきかどうかを判断すべきとも言えます。
そこで、ここではパワハラで慰謝料請求が認められた事例についてご説明したと思います。認められた金額別に、どのような内容がパワハラと認められ、高額な慰謝料の理由となったのかをみていきましょう。
100万円以下の事例
消費者金融従業員の事例
まずご紹介するのは、消費者金融で勤務する従業員が元上司と会社に対し慰謝料請求を求めた事件です(日本ファンド事件)。認められた金額は、従業員3人それぞれに10万円〜60万円です。
パワハラの内容としては、必要がない時期に扇風機を当て続けた行為、背中を殴打する行為、叱責して足を蹴る行為、「給料をもらいながら仕事をしていませんでした」とする始末書を書かせたこと、などが挙げられます。
裁判所が認めた理由としては、被害者が抑鬱状態となったこと、長期間にわたり執拗に不快感を与えたこと、殴打する行為は不法行為であること、が根拠となっています。
派遣従業員の事例
派遣労働が派遣先の会社の従業員にパワハラを受け、就労できなくなった事件(2012年10月30日判決)です。この事例では、企業に対し30万円の支払いが命じられました。
パワハラ内容は、車に危害を加えるような発言を執拗に行う、病欠したら「仮病でパチンコに行ったのだろう」と罵られる、などです。裁判所が認めた理由としては、会社には従業員を教育する義務があるのに怠ったことが挙げられますが、個人の感覚によって聞き流すことも不可能ではない点で、30万円という低い賠償金になったようです。
100万円〜150万円の事例
自然退職扱いにされクビになった事例
上司からのパワハラが原因で長期休業となったのにもかかわらず、自然退職として扱われ、退職後の賃金を請求した事例(ザ・ウィンザーホテルズインターナショナル事件)。この事例では、150万円の請求が認められました。
パワハラの内容は、飲酒の強要、被害者が海外出張の打ち合わせを断ったことを理由に「辞表を出せ!」と脅したこと、などがあります。もっとも、自然退職後の賃金については、精神疾患との関連性がないとして退けたため、上記のような金額にとどまっています。
350万円以上の高額慰謝料の事例
海上自衛隊の事例
海上自衛隊の被害者が上官から誹謗中傷を受け鬱病になり、自殺した事例(長崎・海上自衛隊員自殺事件)。この事件では、遺族に350万円の支払いが認められました。
パワハラの内容としては、「覚えが悪い」、「三曹失格」など誹謗を繰り返し、被害者の心理的負荷を強めたことが挙げられています。指導の域を超えていることに安全配慮義務違反があり、うつ病の末に自殺したことが重く評価され、高額な慰謝料が認められています。
准看護師の事例
病院で准看護師として勤務中に、上司からパワハラを受け、被害者が自殺した事例(誠昇会北本共済病院事件)。加害者に対し1000万円(うち病院が連帯責任を負うものとして500万円)の請求が認められました。
パワハラの内容としては、必要のない個人的な命令や、「死ね」などの暴言やメール、朝まで無理やり飲み会につき合わせるなどの行為が認められました。職場内のいじめであることが認められ、高額な慰謝料の判断になっています。
パワハラ慰謝料請求にかかる費用
パワハラ慰謝料を請求する際、訴訟を起こしたり、弁護士に依頼したりすると必然的に費用がかかります。どれくらいの費用がかかるのかを具体的にみていきましょう。訴訟費用、弁護士費用、請求すべきか見極めるポイントについてご説明します。
訴訟でかかる手数料は5000円程度〜
パワハラで慰謝料請求をする場合、最終的には裁判になってしまうことがあります。この場合、訴訟にかかる費用も事前に知っておくと心の準備ができるはずです。
訴訟の手数料に関しては、裁判所がホームページに早見表を公開してくれています。これをもとに、どれくらいの費用がかかるのかを確認してみてください。
訴訟にかかる手数料は、請求する金額によって変わります。パワハラ訴訟の相場は50万円〜150万円ですから、早見表によると訴えの提起には5,000円〜13,000円程度がかかります。家族がパワハラで自殺したケースの場合は、慰謝料請求が高額になりますが仮に1000万円の請求をする場合は50,000円の手数料がかかります。
訴訟にかかる手数料は、裁判所に対し必ず治めなければいけないものであるため、事前に弁護士に相談した上で確認しておきましょう。
パワハラの訴訟にかかる費用は大きく分けると2種類になります。1つは訴訟を起こす際に必要となる「手数料」。もう一つが、訴訟を個人で起こすことは難しいので、弁護士に依頼する際の「弁護士費用」です。
弁護士費用は、50万円〜100万円程度
訴訟を起こす場合や会社との交渉で有利に立ちたい場合は弁護士に依頼することが必要になってきます。しかし、弁護士に依頼すると心配になるのが弁護士費用です。
弁護士費用の相場としては、50万円〜150万円程度といわれています。交渉だけをお願いするのか、訴訟までお願いするのかによって値段は前後します。費用の内訳としては、着手金で訴訟がくの8%程度、成功報酬で16%程度となります。この他にも相談料として0円〜1万円程度、裁判の日当3万円程度等がかかってきます。
パワハラ訴訟の場合、着手金や成功報酬に関しては、コストを抑えるのは難しいかもしれません。しかし、相談料に関しては、「初回相談料無料」とする法律事務所も増えていますので、うまく活用することで費用負担を抑えることができます。
また、初回相談時にどれくらいの費用がかかるのかを積極的に聞いておくことも大切です。
パワハラで慰謝料請求をすべき?判断のめやす
パワハラを弁護士に依頼する場合は、どうしても費用がかかってきます。しかし、弁護士に依頼しないと解決が難しいケースもあるため、慰謝料請求をするかどうか迷ってしまう方もいらっしゃるでしょう。
慰謝料請求をすべきか迷う場合は以下のポイントを参考にしてみてください。
- 100万円以上の慰謝料請求が見込める事案か
- 精神疾患にかかったなど、被害が大きいか
- 加害者や会社ににどうしても償わせたいほどの大きな精神的苦痛であったか
ご説明した通り、パワハラの訴訟では50万円〜100万円の費用がかかります。この場合、費用倒れを防ぐためにも、過去の判例や弁護士のアドバイスから100万円以上の慰謝料請求が見込める事案かどうかで検討してみてください。
うつ病などの精神疾患にかかるほど、強い精神的苦痛を経験している場合は会社や加害者に治療費などの請求をすべきです。これは本人が自殺などで亡くなっている場合や暴行・脅迫などの刑事事件に当たるようなケースでも同じです。被害が大きい場合は十分に慰謝料を請求できる可能性も高いため、弁護士に相談してみましょう。
ひどい扱いを受けたという場合、お金の問題ではなく加害者や会社に償って欲しいという思いが強いでしょう。このようなケースの場合、経済的負担に問題がないのであれば、訴訟に踏み切る判断も間違っていません。弁護士と相談して、最終的な決断は下しましょう。
パワハラでの慰謝料請求、増額成功のポイントは?
パワハラ慰謝料請求をするなら、適正な額を支払ってもらうべきです。そこで、パワハラ慰謝料請求で増額できるポイントについて、ご説明します。
確固たる証拠があること
パワハラ慰謝料請求では、交渉でも裁判でも証拠が非常に重要となります。実際の裁判では、パワハラの確固たる証拠がなかったことにより、パワハラの慰謝料請求を認めな買った事例もあります。そのため、公正な判断を裁判所で下してもらうためにもできるだけ多くの書類を用意するようにしましょう。
具体的には、「パワハラで慰謝料請求を行う場合の流れ」でもご説明したように、音声データやメール、医師の診断書などの客観的な証拠が有効です。最近では、スマートフォンのアプリで録音する方も多いので、いつでも起動できるようにアプリをダウンロードしておきましょう。
また、 上記以外でも、パワハラを訴えたら部署移動になったなどの不当な取り扱いがあった場合は、その事実を証明できる書類や同僚の証言なども得ておくことが大切です。パワハラと精神疾患の関連性を指摘されることも多いので、日記などで加害者から暴言を受けたこと、病院に行ったことの内容・日付などを記しておき、関連性が証明できるようにしておくのも有効です。
他の違法な問題がないかを探してみる
パワハラがある職場環境では、残業不払いなどの他の違法行為も散見されます。パワハラで慰謝料請求をする場合、退けられる可能性も考えて、確実な他の違法行為を探しておくというのも賢い方法です。
パワハラを訴えたら解雇された、長時間労働の上未払い賃金がある、などの問題がある場合はこの証拠も押さえておくことが重要です。不当な取り扱いに対する損害賠償請求はもちろん、未払い賃金の支払い請求も一緒に請求することが可能です。
パワハラ慰謝料の増額事情を知ること
パワハラ慰謝料請求で、どのような事情が増額事情になるのかということを知っておくこともポイントの1つといえます。具体的には、以下のような事情がある場合には増額する事情として働くでしょう。
- 暴行・脅迫など明らかに悪質性が高い場合
- 社長がパワハラを行っている場合
- パワハラを受けていた期間が半年以上・頻度も多いなど長期間にわたる場合
- パワハラをしていた加害者が複数いる場合
- パワハラを相談したのにも関わらず、会社が相手にしなかった場合
- 退職、精神疾患、自殺などの重大な結果が生じている場合
上記のような事情がある場合は、増額できる事情として働きます。ポイントを押さえて、証拠収集を行い、弁護士に相談してみましょう。
パワハラ慰謝料請求は、弁護士に相談を
パワハラの場合は、精神的にも疲弊してしまっていることが多いため、誰かに相談して頼ることが大切です。精神疾患など重大な結果が発生する前に、まずは信頼できる人に相談しましょう。
パワハラ慰謝料を請求する場合は、会社を退職するのか、会社に止まるのかも含めて検討する必要があるため、慎重な判断が必要です。請求するか迷っているという方は、まず専門家である弁護士にご相談ください。
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