労働問題に強い弁護士の選び方~残業代請求・不当解雇など職場トラブル解決のポイント
労働問題の原因は労使関係の不均衡にあります。使用者の立場が強く労働者に対して不当な扱いがまかり通ることで苦しんでいる労働者は労働基準法を活用して自分の身を守る必要があります。しかし法律問題を自分一人で解決するのは難しいし、いくら法的に正しくても会社や上司、同僚を敵に回すかもしれない恐怖は大きいです。
あなたがいち労働者として企業に立ち向かおうと考えているなら、労働問題に強い弁護士への相談しましょう。こちらでは弁護士が解決できる労働問題と弁護士の選び方について詳しく紹介します。
この記事で分かること
弁護士が解決できる労働問題とは
残業代が支払われない、正当な理由なく解雇されたなど、職場には様々なトラブルがあります。小規模の会社の場合は法律の理解が足りず、大企業の場合は法に違反すると分かっていても力を振りかざして違法な状態を労働者に強いるのです。
労働者は「社会のルールだからしょうがない」「企業の方針には逆らえない」と諦めてしまいがちですが職場トラブルの多くは弁護士に相談することで解決可能です。
弁護士が解決できる労働問題は明確な法律違反があるもの、逆に何らかの法律によって義務を課すことができるものです。
我が国には労働者の安全を守るための様々な法律があります。企業は労働者とトラブルになっても解雇やその他不利益な扱いを仄めかして脅すことができ、非常に有利だからです。
例えば労働基準法や労働契約法、労働安全衛生法、労働組合法などがこれに当たります。
ここで弁護士に相談すべき労働問題の一例を紹介します。
残業代の未払い
残業代の支払いは労働基準法に義務付けられています。そのため契約や就業規則に残業代を支払わないと書かれている場合ですら残業代の請求が可能です。残業代の請求をするときは残業時間と労働基準法に定められた割増賃金を間違いなく計算しましょう。
残業代の請求にはこのような難しさがあります。
割増賃金の計算が面倒
残業代には法定労働時間より多く働いた場合に支払われる時間外手当、22時から翌朝5時まで働いた場合に支払われる深夜割増、法定休日に働いた場合に支払われる休日手当があります。
まず時間外手当は容易に計算できますが深夜手当もしっかり計算しないと損をしてしまいます。しかし休日労働についてはすでに休日手当が付いているので時間外手当が計算されず深夜手当のみが必要に応じて上乗せされます。また休日労働は一週間のうち企業が法定休日と決めている曜日に計算されます。
このように割増賃金を計算するだけでも難しいし、時間外手当については1日8時間を超えた場合だけでなく1週間に40時間を超えて働いた場合にも支払われます。
また、これが変形時間労働や裁量労働が関わるともっと難しくなります。
残業代は残業時間に応じて支払われますが、どの部分が残業となりどの割増が適用あるいは併用されるのか調べると以外に面倒くさいものです。
残業時間の算定が難しい
そもそも残業時間の算定が難しいというのも弁護士に頼むべき理由です。残業代を払わない会社の多くはサービス残業の名の下にタイムカードの改ざんを強制したり勤怠記録を正しくつけていなかったりします。そのため勤怠記録に基づいた残業代請求すると不当に少ない残業代しか払ってもらえないことが予想されます。
そのため残業代を正しく請求するにはその時間に働いていた証拠を揃える必要があります。証拠の強さや使い方によって企業から引き出せる残業代が左右されるので最新の注意を払いましょう。
他にも管理監督者という残業代の支払いが不要な立場か否かで争ったり、残業が会社の命令か自発的な残業かで争うこともあります。もしここで企業の主張を飲むと残業代を1円も払ってもらえない可能性があります。
不当解雇
労働は労働者の生計を支えるライフラインとしての役割を持っています。そのため企業が自由に労働者を解雇できてしまえば労働者の生活が著しく不安定になるでしょう。「解雇するぞ」と脅すだけで労働者を意のままに操れる恐れがあります。
そのため、不当解雇は厳しく制限されています。主観的にどうこうという理由では解雇されないし仕事が他の社員よりできないという理由でも解雇が不可能です。本来、労働者を解雇するためにはそれだけの懲戒自由や物理的に働けない事情、会社が雇えない背景があります。
ちなみに、よく話題になるリストラは整理解雇と呼ばれるもので解雇しないと経営維持できないほど企業の体力が衰えている場合や情勢変化があった場合に用いられます。整理解雇についても解雇回避努力義務を履行していない場合や他に解雇すべき人間がいる場合、整理解雇をしておきながら採用活動を続けている場合は不当解雇になるでしょう。
不当解雇に立ち向かうためには弁護士の力が必要になります。解雇されている間を耐えるためにも知恵を貸してくれます。
退職強要された場合も弁護士へ相談を
最近は解雇要件の厳しさについて理解する企業が増えてきました。コンプライアンスに対する世間の目が厳しくなったことも不当解雇への厳しさになっていると思います。そこで企業は不当解雇で争わず気にくわない人間を排除するために退職強要という手口を取り始めています。
退職強要は退職するように迫ることで違法です。そこで用いられる退職勧奨も退職を進める体をとって退職を迫るためやはり違法です。
しかしこちらから退職の意思表示をした場合、脅迫を立証できなければ復職できなくなります。不当解雇された場合も売り言葉に買いことばで退職届けを叩きつけないよう注意してください。
急に起きた事態が飲み込めないときこそ弁護士への相談が最優先です。
ちなみに退職の拒否も違法です。
不当解雇で出社できない間の対処法
たとえ解雇が不当でも、解雇が無効と認められたり会社が撤回しない限り出社することができません。もちろん給与は払われなくなります。そこで不当解雇で争う場合は失業保険の仮給付を受けます。
そして和解の結果で解雇を受け入れ和解金を払ってもらうか、解雇を撤回して出社できずに失った給与の6割を支払うか決めます。解雇の撤回は弁護士があなたの代理で会社と話し合ってくれます。
パワハラ・セクハラ
パワハラやセクハラは労働者の尊厳に関わる行為で、コンプライアンスが厳しくなったというよりはこれまでの不満を主張できるようになったという見方が正しいです。決して今の人がハラスメントに過敏というわけではないと思われます。
パワハラやセクハラについては労働基準法に規定がありません。しかし労働契約法に基づく安全配慮義務違反として会社に慰謝料請求することが可能です。もちろん個人に対しても賠償請求が可能です。
酷い場合はハラスメントによって身体および精神に損害を受けることもあります。この場合は治療費を請求します。
慰謝料は判例を元に計算する
治療費などは明確な金額が決まる一方精神的苦痛という見えない損害の賠償である慰謝料はいくら請求するのが妥当かわかりづらいところがあります。もちろん、言い値で請求して良いはずはありません。慰謝料は裁判の結果である判例を参考にして妥当な額を導き出すので慰謝料の関わる事案は間違いなく弁護士に相談すべきです。
労災隠し
労働災害保険は厚生労働省から保険給付を受けられる制度ですが労災が増えると会社の保険料負担が増えることから労災を企業が認めずその場の治療費だけで済ませようとする場合があります。
しかし労災の影響がどのくらいあるかわからないし年金が関わるなら非常に多額のお金を損する危険があります。労災隠しにあった場合は弁護士に相談ししかるべき行動を取りましょう。
労災が認められなかった時も弁護士に相談を
時には厚生労働省が労災を認めてくれないことがあります。その場合は再審査請求を申し立て、それでも労災認定できずという結果に納得いかない場合は訴訟で決着をつけます。
不利益変更・不当人事
労働基準法は労働者を守るため就業規則の不利益変更を原則禁止しています。不利益変更が許されるのは労働者の同意があった時のみですから強制的に給与が減ったり福利厚生の質が落ちたりした場合は弁護士へ相談しましょう。
また、労働紛争を起こしたことで企業から何らかの報復を受ける場合があります。しかし、例えば追い出し部屋に飛ばされたり地方に左遷されたりという不当人事は撤回可能です。「企業の報復が怖くて権利主張できない」という方こそ弁護士に守ってもらう必要があります。弁護士はあなたに代わって交渉や書類作成をしてくれるので転職準備をしたい方も安心して相談できます。
労働問題を弁護士に相談するメリット
労働問題を弁護士に相談するメリットには次のようなものがあります。
・法律に基づいたアドバイスを聞くことができる
・経験に裏打ちされた問題解決力
・難しい計算や立証を丸投げできる
・任意交渉、労働審判、裁判を代理してもらえる
・隠れた法的トラブルに気づくことができる
法律に基づいたアドバイスを聞くことができる
労働問題や職場トラブルで最も労働者を悩ませるのが「どう解決したら良いかわからない」ことです。このまま耐えるしかないのかと絶望しているときは精神が打ちのめされるものです。でも、違法行為がなぜ違法なのか理解できれば希望が見えます。
企業に訴える場合のリスクについてもそれを避ける方法がわかれば権利を主張するためのハードルが大きく下がるでしょう。
弁護士は法律のプロとして、あなたの抱えている問題がどんな法律違反にあたるのか、逆にどの法律に基づいて義務を請求できるのか分かりやすく教えてくれます。法的に解決するためには法的に解決されるべきという根拠が必要なので一人での解決は危険です。
お悩み相談としての弁護士
これは副次的なメリットですが誰にも相談できなかった悩みを打ち明けられることは心を落ち着かせてくれます。違法行為で精神的に耐えられないという理由でも弁護士を利用して良いのです。
経験に裏打ちされた問題解決力
弁護士はあなたの法的トラブルを解決する存在です。ただ法律や判例を知っているだけでは不十分で、1日でも早く残業代を取り戻す問題解決力も弁護士に必要です。労働問題の解決実績豊富な弁護士はどうすれば企業が請求を受け入れてくれるのかを第一に考えます。
請求書の書き方や交渉の進め方、証拠の使い方など様々な点に弁護士の実力が光ります。
難しい計算や立証を丸投げできる
法律に基づいた権利を主張するためにはしっかりと相手が違法であることを証明しなくてはいけません。そのためにどの法律や判例を使うのかを正しく判断する必要があります。一般の方には判例を検索することさえ一苦労でしょう。
また、損害賠償を請求するためには妥当な額を算定する必要があるし残業代請求に至っては分単位で残業時間を計算しかつ面倒な割増賃金などの計算をしなくてはいけません。
このような素人ではお手上げな部分を弁護士に丸投げすることができます。相談者のするべきことは弁護士が主張するための証拠を集めることです。
証拠が有利不利を決める
裁判でも任意交渉でも、証拠は持ちかける側が用意します。もし、客観的に違法だと認められる証拠がなければ少なくとも訴訟で勝つことが困難になります。決して裁判所は被害者に肩入れせず正しいと思える判決をします。
よって任意交渉においては証拠のもつ力が強いと訴訟に持ち込むリスクを主張しやすくなります。企業も損失を最小限に抑えたいので訴訟で負けるとわかればすぐに和解するでしょう。逆に言えば早期解決のためにはそのメリットを企業に訴えることが重要です。
任意交渉、労働審判、訴訟を代行してもらえる
任意交渉、労働審判、訴訟をする場合は企業側の担当者と労働者が直接向き合って話すことになります。これは労働者に対して非常な心理的プレッシャーになり特に常日頃から酷い仕打ちをしている企業ほど恐ろしいものです。
そのため企業との話し合いで圧力に負けて不本意な合意をする場合も珍しくありません。そもそも法律を知らないせいでこちらが著しく不利であることを知らないまま和解してしまうこともあります。
このような事態を防ぎたいなら、企業とのやりとりを弁護士に代理してもらいましょう。弁護士は法律資格の中で唯一任意交渉から訴訟までの手続きを代理出来ます。これは同じ実力を持っている社会保険労務士や司法書士にはできません。
したがって、弁護士に依頼すると裁判外の解決ができなかった場合に依頼先を変える必要がなくなります。
任意交渉の場合は会社へ、労働審判手続きや訴訟の場合は裁判所に赴かなくてはいけません。これだけで手間になるし、自分で審理を戦うための準備をするととんでもない時間がかかります。たとえ弁護士費用が高く感じてもあなたが軽減できる時間やストレスを考えれば案外妥当です。
隠れた法的トラブルに気づくことができる
そして労働問題に詳しい弁護士に相談することであなたが気にしていなかった法的問題に気づくこともあります。例えば残業代手当の支払いを相談した結果時間外手当だけでなく休日手当も払われていないことが分かります。他にも不当な人事やパワハラに対する問題が見つかる場合もあります。
法律問題の怖いところは被害を受けている人間が違法な状態にさらされていると気づけないことです。おかしいなと思ったらすぐに弁護士へ相談しましょう。合法ならそれはそれで良いのです。あなたは有益な情報を知ることができるので誰も損をしていません。
労働問題を弁護士に相談するデメリット
労働問題を弁護士に相談するデメリットは費用のみです。自分より詳しく問題解決に導ける弁護士と協力することは多くのメリットに見合ったコストがかかります。不当解雇の場合であればすぐに退職してしまった場合、残業代請求などについては思ったより少ないお金しか支払われなかった場合はコストパフォーマンスが悪くなってしまいます。最悪の場合として得られた利益より弁護士費用が高くなる費用倒れも懸念されます。
だからこそ、良心的な弁護士は弁護士費用を抑えられるよう力を尽くしてくれます。
労働問題解決の弁護士費用相場
労働問題解決までの弁護士費用にはある程度の相場があります。これを事前に知っておけば自分にはどのような選択肢と訴えの利益があるのか判断しやすくなるでしょう。もちろん弁護士費用の体系は事務所によって様々でこの全てがかかると限りません。
- 相談料
- 請求書作成と送付
- 法的紛争の着手金
- 日当
- 成功報酬
相談料
弁護士事務所に相談する場合は相談料がかかります。相談料は時間に基づいていて30分あたり5000円が相場です。ただ、この相談料が労働者の相談を躊躇わせないよう初回相談のみ無料にしている弁護士事務所も少なくありません。
相談内容に応じて権利を実現するための行動に移ります。着手金と成功報酬という言葉を聞いたことがあると思いますが実は手続きによって着手金が異なります。
請求書作成と送付
まず法的に解決するための準備が必要です。損害賠償や残業代を請求する場合はその金額計算が必要となるし、その他に具体的な行動を求める場合はそれがどの法律の拠るものなのか示します。
そして誰に何を請求するのか決まったら請求書の作成と送付を行います。
請求書の作成と送付までの費用相場は概ね5万円ほどです。
請求内容をまとめてくれることや、文面を考えてくれること、弁護士の名前で請求書を送れること考えれば決して高くありません。
法的紛争の着手金
請求書の送付だけで解決しないときは企業との話し合いを行います。
任意交渉(示談)をする場合は15万円ほどが相場です
労働審判手続きをする場合は20万円ほどが相場です
訴訟をする場合は35万円ほどが相場です
他には証拠や財産を差し押さえる手続きをすれば20万円ほどかかります
いうまでもなく、法的紛争が早期解決した方が着手金を抑えられ逆に裁判までもつれ込むと着手金が高くなります。さらに強制執行まで必要になればもっとかかるでしょう。
企業と戦うことで得られる利益が数100万、1000万円超というのであれば迷わず裁判まで戦うべきかもしれないです。しかし数10万円を争う場合については必ずしも裁判を起こすべきと限りません。裁判外手続きである任意交渉だけで解決できることが望ましいですね。
弁護士もこの点を理解した上で労働者が損しづらい解決方法を考えてくれます。早期解決できる弁護士を選びたいのは弁護士費用を減らす意味もあります。
日当
弁護士事務所によっては着手金と別に日当を支払う場合があります。日当は1日あたり1〜3万円ほどかかります。他の料金が安い分日当で合計費用が左右される事務所の場合は解決にかかる時間が早いほどお得です。
成功報酬
企業に金銭を支払わせることができた場合、成功報酬が発生します。成功報酬は安くて20%、高くて35%ほどです。諸費用がかかって成功報酬が安いケースと、ほとんどの費用が安く抑えられている代わりに高額の成功報酬が設定されているケースがあります。どちらが得かは比べてみないと分かりません。
ただ、成功報酬については合意した金額と実際に支払われた金額のいずれを参考にするか弁護士事務所によく確認してください。
労働問題に強い弁護士の選び方
労働問題を解決してくれるのは、やはり実力と柔軟性のある弁護士です。こちらでは労働問題に強い弁護士の選び方を紹介します。
十分な実績を持っている
労働問題はケースバイケース、会社と労働者の関係による様々な要素が絡みます。そのため実績の多い弁護士の方が安心して任せることができます。経験が豊富な弁護士はあなたの抱えている問題について過去の事例をもとに適切な解決策を出してくれます。
全国的に例の少ないトラブルであればなおさらその解決実績を持っている弁護士に頼りたくなるものです。弁護士本人の能力は大切ですが、ある事例を知っているか知らないかは大きな差になります。だから優れた弁護士は最新の情報共有や事例研究を欠かしません。
柔軟な思考と交渉力を持っている
正しい法解釈をするためには法律への深い理解力が問われます。しかし、労働者が求めるものは法律の知識ではなく問題の解決です。そのため弁護士には早期解決するための柔軟な思考と確かな交渉力が求められます。同じ事例でも弁護士によって示談で終わるか訴訟までもつれ込むか異なります。どうすれば企業が労働者の請求に応じるのか、どの部分を突かれると困るのかを熟知している弁護士に頼むと弁護士費用を抑えられる可能性があります。
また、交渉の姿勢によって企業と円満に和解できる可能性もあります。退職でなく働き続けることを考えるなら企業の印象も含めた戦略を考えなくてはいけません。
時には訴訟費用や時間的コストを考えて本来の金額より安い和解金での合意を勧められることもあります。あくまでも依頼人の手元にいくらお金が残るのかを重視してくれます。
説明がわかりやすく明朗会計
安心できる弁護士は労働者に寄り添ってくれます。専門用語を使う場合でも一つ一つ丁寧に説明し、今何が起きているのかを細やかに共有してくれます。逆に説明がわかりづらくこちらの心に寄り添ってくれない弁護士はあなたの意図を汲んでくれないでしょう。ちなみに説明がわかりやすい弁護士と協力すればこちらのすべき行動を理解できるため証拠集めや諸手続きが早くなります。
また、報酬体系も重要です。高額でも明朗会計であれば納得いきますが説明が不十分なまま着手金や日当が嵩んでしまうことは問題です。そこも含めて相談者第一に考えてくれる事務所なら信頼できます。
提携者も信頼できる
弁護士事務所の中には労働問題に対する解決力を高めるために社会保険労務士と提携している場合もあります。この場合は提携している側も信頼できるかどうか調べると良いです。社会保険労務士は訴訟の代理をすることができませんが、裁判で戦える実力があって一人前という面もあります。
こんな弁護士に要注意!労働問題解決へ向けた弁護士選びの注意点
選ぶべき弁護士がいるということは逆に避けるべき弁護士もいるということです。本当に労働問題の解決を目指すならこのような弁護士に相談するのはやめましょう。当サイトは一社一社しっかり調べた上で掲載しております。
企業弁護を得意としている
企業弁護を得意としている場合、あなたが務めている会社の顧問弁護士をしている場合があります。また企業側の弁護士に相談しても会社の利益のために言いくるめられたり黙殺されたり、最悪の場合は密告されることも考えられます。ブラック企業の場合ほど会社の人間を相談できないものです。
よって、労働トラブルを相談するなら労働者の弁護を得意としていることが大事です。
実績が少なく対応も悪い
実績が少なくて対応が悪い弁護士はどんな事件でも避けるべきです。実績が少ないということは解決するための引き出しも少ないことを意味します。難しい事例、自分が経験したことがない事例は引き受けられないか無理に引き受けて事態を悪化させることが考えられます。それで何の反省もない弁護士事務所であれば二度と頼みたくなくなりますね。
対応が悪いことも望ましくありません。企業と真正面から向き合って話せるだけの勇気と余裕を持ち合わせている弁護士と、企業の圧力に負けてしまう弁護士では交渉の結果に大きな差が出ます。また、忙しそうにしている弁護士も自分のために割いてくれる時間が少ないことから対応が良いと言えません。
弁護士を選ぶときはその事務所の特徴や担当弁護士の人となり、実績をよく理解した上で案件を任せましょう。
労働問題を解決するためのポイント
労働問題を解決するためにはこのようなポイントを意識してください。労働者の立場が弱く会社に染まっていることも労働問題の解決を難しくします。
力関係は職場の常識<法律
一つの組織にいるとその価値観に染まり、その常識が最も正しいものであるかのように感じてしまいます。しかし、ローカルルールが法律に勝ることはありません。いくら職場では非常識だと言われようと労働基準法を破る方が我が国において非常識です。
上司や会社の圧力が通用するのはあなたが下の立場にいるからです。我が物顔で振舞っている人間ほどいざ弁護士を前にすると怖気づくものです。
タイムカードを改ざんしたり、労働基準監督署が立入る前に必死に証拠を隠したりしているのは自分たちより公権力の方が強いと知っているからです。だからこそ立場の弱い人間は人権を守るために法律を味方につけてください。
それは恥ずかしいことではありません。これまで会社の力で横暴をしてきた相手に比べればずっと正当です。
可能な限り証拠を集める
労働問題の違法性を判断するためには証拠が欠かせません。証拠がなければいくら相手が悪い人間であっても何の賠償もできなくなります。いつ、何をされて、どんな損害が出たのか立証することが法的紛争の前提です。
直接的な証拠がない場合でも役に立ちそうなものは全て確保しておきましょう。ハラスメント問題の場合は新たにボイスレコーダーで録音して証拠を作るのも一つの手です。
証拠があれば相手がいくら否定しても覆りません。労働問題で長期間争うのは証拠が曖昧である場合や法解釈が不明確である場合です。
自分だけで解決しようとしない
法律を知らずに労働問題を解決するのはほぼ不可能です。会社に申し立ててもただのクレームとして受け止められること、法で認められるより著しく不利な条件で和解させられること、正当な権利を主張したのにこちらが悪であるかのように非難されることが考えられます。
ブラック企業は労働者の命さえ何とも思っていません。だから自分一人で解決するのでなく企業と対等に戦える弁護士を味方につけてください。
消滅時効に気をつける
弁護士への相談は早めに行なってください。なぜなら損害賠償や残業代などの請求権には消滅時効があるからです。時効になってしまえば確たる証拠を揃えても賠償請求ができなくなってしまいます。
例えば残業代や未払い賃金の時効は2年、退職金の時効は5年です。損害賠償については安全配慮義務違反の場合10年と長めですが不法行為に当たる場合は3年しかありません。
消滅時効は内容証明郵便を使って催告すれば最大6ヶ月間止めることができます。手続きの進め方に問わず、まずは催告で時効を止めましょう。
職場トラブルでの悩みは労働問題に強い弁護士に相談を
職場でのトラブルを解決するためには、会社内の上下関係にとらわれないことです。法のもとでは会社と労働者は対等に契約した関係にあり、労働者を守るための法律も充実しています。一般的には労働者有利と言われるくらいですからブラック企業は何とか労働者が労働基準法に基づいた行動をしないよう圧力をかけます。
職場でのトラブルを解決したいなら、上下関係の圧力に屈しない経験豊富な弁護士への相談が不可欠です。価値観や常識よりも強い法律を味方につけてください。
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