労働問題に強い弁護士の探し方と3つの注意点
労働トラブルを解決するに際しては、社内機関や労基署への申告も一つの手段ですが指導や勧告にとどまり解決に至らないことも多くあります。やはり最も解決が期待できる方法は法律の専門家、弁護士に相談することでしょう。そこで今回は労働問題に強い弁護士について、選び方や相談する際の注意点等を具体的に解説していきます。
労働問題に強い弁護士について
残業代の不払いに不当解雇、労働災害に各種ハラスメント…。一口に労働問題と言ってもその内容は実に多岐に渡ります。こうした労働トラブルを解決する方法としては、社内機関や労働組合への相談、労働局や労働基準監督署への申告等も挙げられますが、この様な手段では解決に至らないことも多いと言えます。そう考えた時、頼りになるのは弁護士でしょう。まずは労働問題を弁護士に依頼することのメリットやデメリットを解説します。
労働トラブル解決の強い味方になる
弁護士と言うと敷居が高く、偉そうな態度をとるイメージが持つたれがちで、相談を躊躇する方も多くいます。しかし弁護士は、素人にはない深く的確な法知識と経験を持ち合わせていて、労働問題の解決の力強い味方になります。
適切な法的アドバイス
ただでさえ、労働問題は法律トラブルの中でも難しいところ、専門知識や経験のない一般人だけで解決するには非常に高いハードルがあると言えます。例えば、相手方の行為の不法性を主張する場合には関連法を完璧に把握して置く必要がありますが、弁護士を雇えば、的確な法知識による適切なアドバイスによって違法性を指摘できるのです。また労働問題解決の最終手段である訴訟に踏み切った場合も、必要書類は煩雑ですし、特に相手方に弁護士がついている場合、素人に勝ち目はありません。しかし弁護士がいれば、必要な手はずを整え、問題を解決へと導いてくれるのです。
精神的負担の軽減
このような利点に加えて、弁護士に労働問題の解決を依頼することで、精神的に楽になる点も大きなメリットと言えます。一般的にトラブルの当事者と直接交渉するのは苦痛を伴うものですし、セクハラやパワハラといった類の労働問題ならなおのこと、間に専門家に入ってもらう方が良いでしょう。
また、裁判がもつれた場合等は、判決が下るまでに数年を要すケースも少なくありません。素人だけでそれほどの歳月を戦い抜くのは精神的にも苦しくなります。弁護士が味方に付いていることは、精神的な支えにもなります。
費用がかかる等のデメリットも
言うまでもなく、弁護士に相談すると「相談料」や「着手金」が、事案が上手く解決すれば成功報酬も支払わなければなりません。弁護士を雇うにはそれなりにお金がかかるのです。特に解雇された後、再就職先が決まっていない状態での相談となると、労働者も経済的な余裕がありません。
弁護士を雇っても必ず思い通りの結果になる訳ではない
また、金銭面に加えてネックとなるのがこの点でしょう。弁護士は法律に沿って依頼人にトラブル解決への道のりを示してくれるだけであり、法律を変えることはできません。従って依頼人である労働者の望む結果になる保障はどこにもなく、お金を払ったのに不満が残る結果になることも十分に考えられるのです。
悪徳弁護士も存在する
加えて近年の弁護士増のどさくさに紛れて、法外な料金を“ふっかけて”くる悪徳弁護士も存在します。更に悪いことにその様な弁護士でも、事務所の外見からはなかなか判断できません。
労働問題に強い弁護士の探し方
ではどうすれば労働問題に強い弁護士を見つけることができるのでしょうか。弁護士過剰と言われる現代ですから、その中から闇雲に探すのは効率が悪いというものです。そこでここでは、労働問題に強い弁護士を雇うためのポイントを解説します。
友人に弁護士の知り合いがいる場合はそこから紹介してもらえばよいですが、そんなケースは稀ですので、一般の人の場合の探し方について見ていきましょう。
インターネットを使って探す
最もオーソドックスな方法がインターネットを利用することです。昔と違って現在はほとんどの法律事務所がホームページを構えています。弁護士比較サイトも多く存在し、地域や悩み等、分野ごとにカテゴリー分けされ、事務所の特色や実績、料金体系等を一覧できるものもあるので便利です。
相談所に紹介してもらう
労働問題は時代、地域を問わず発生するもの。「法律総合相談所」「労働相談情報センター」「雇用相談センター」「生活科学総合センター」等呼称は様々ですが、各都道府県に労働問題を相談できる機関が設けられています。このような所に赴き、労働トラブルを相談して弁護士を紹介してくれるように依頼するのも良いでしょう。相談の段階で詳しい経緯を伝えれば、適任の弁護士を紹介してもらうことができます。
弁護士を選ぶ際の判断基準は
労働問題に強い弁護士の探し方が分かったら、次は依頼する弁護士の判断基準について解説します。労働問題の解決は弁護士が中心となって進めていくことになるため、ここは極めて重要なポイントとなります。
実績があるか
弁護士に依頼する際に大切なのは、実績豊富な事務所を選定することです。労働トラブルは違法性の判断が難しいものが多く、経験がものを言います。例えばパワハラやセクハラ等、人によって感じ方が異なるトラブルや、リストラや誓約書の妥当性については曖昧な部分があります。こうした問題が争点となった場合、現行の法律のみに依拠して判断することは難しいでしょう。過去に似た様な事案を経験したことがあるであろう、労働問題に強い弁護士を選ぶことは重要なポイントになります。
コミュニケーション能力があるか
盲点になりがちなポイントが「コミュニケーション能力の存否」です。依頼人、即ち労働者の真の利益に叶う解決策はどの様なものなのかは、話し合いの中で専門家である弁護士が模索していくものです。そのプロセスにおいて問題や解決方案に対する両者間の認識に差が生じれば、不都合が発生します。つまり、理想的な解決には弁護士と労働者との密な意思疎通が必須であり、そのためには弁護士のコミュニケーション能力が重要となってくるのです。
労働問題を弁護士に相談するに際して知っておきたいこと
ここまで、労働問題に強い弁護士の探し方について解説してきました。しかし、いざ弁護士を雇っても、思わぬところでつまずくケースもあります。最後に、労働問題を弁護士に相談する上で知っておきたいことを紹介します。
相談に際して気を付けたいこと
弁護士に頼むにしても、結局のところ依頼人である労働者も一丸となって進めていくことになります。少しでもスムーズに解決するためには、労働者側もできることは積極的に行うべきと言えます。ここでは相談の際のポイントを労働者の視点から3つのポイントに分けて解説します。
- 事前に証拠を確保しておく
- 相談の際は隠し事をしない
- 弁護士を途中で替えない
事前に証拠を確保しておく
いかなる労働問題であっても証拠が重要となります。まずは前もって必要になりそうな証拠を収集しておくことが肝心です。例えばハラスメントの場合は嫌がらせの実態が分かるメモや音声記録、加害者からのメール等が証拠となり得ますし、残業代の未払いについて争う場合は出退勤簿やタイムカード、給与明細等を用意しておきましょう。
相談の際は隠し事をしない
相談の際、依頼人にとって極まりが悪いことや、不都合なことを弁護士に伝えていなかったがゆえに、後にそれが発覚して事態がこじれるケースは非常に多く見受けられます。自分に有利か不利かに関わらず知っている情報は全て弁護士に伝え、隠し事をしないことが大切です。
弁護士を途中で替えない
弁護士は依頼人に雇われているわけですから、途中で弁護士を解任し別の人に替えることは可能です。解任する弁護士にその旨を伝えて辞任通知を受け取り、前任弁護士の辞任後、後任の弁護士が委任状を裁判所に提出すれば交替手続きは完了します。しかし前任弁護士に支払った着手金は少しでも事件処理が進んでいれば戻ってきませんし、何より新任弁護士がトラブルの詳細を掌握するまでに時間がかかるのです。労働トラブルには時効が設けられているものも多く、スピーディーな対応が肝心であるため、弁護士を途中で替えるのは賢明ではありません。
法テラスの存在
弁護士への相談を試みるとき、場合によっては当面の間料金を支払う程の経済的余裕がないこともあります。そのような場合に有効なのが“法テラス”です。
法テラスとは法律トラブルを抱えた人が利用できる公のサービスです。2006年に、当時は適切な紛争解決へ誘う相談窓口の整備が不十分だったことや、法的支援を必要としながらも経済的な理由から支援を受けられないケースが急増していたこと等を背景に「日本司法支援センター」として設立された機関で、交渉や調停、裁判等の手続きにかかる費用や成功報酬等、弁護士費用の立替払いを行っています。
法テラスを利用するには
法テラスを利用するには、まず電話やメールで連絡を取りましょう。直接訪問して利用することも可能ですが、その際は事前に電話を入れておくとスムーズです。法テラスと提携している弁護士に、法テラスを利用したい旨を伝えて利用することもできます。但し、利用に際しては一定の条件を満たしていなければなりません。
まずは『相談者の収入・資産に関する条件』です。月収と保有資産が一定額以下であることが第一条件となります。その額については支部や出張所ごとに若干異なりますが、世帯全体の収入が考慮されます。加えて「勝訴の見込みがないとは言えないこと」や「相談内容・請求が妥当であること」と言った相談・請求に関する条件もクリアーしている必要があります。相手への報復といった目的では利用はできません。
労働問題に強い弁護士の利用のすすめ
労働トラブルについての定めは法律上でも曖昧な規定しかないものも多く、素人だけで解決するのは困難を極めます。労働トラブルはスピーディーな対応が肝なので、早めに労働問題に強い弁護士に相談することをおすすめします。
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