セクハラを受けたらどういたらいいの?その実態と対処法

2018年1月23日2,381 view

セクハラ

近年、過重労働や賃金不払いといった様々な労働問題のほか、パワハラやマタハラに上回って取り沙汰されているのが「セクハラ」です。セクハラといっても、その方法や程度は様々で、場合によっては精神的ダメージからうつ病になったり、退職に追い込まれることもあるほど、軽視できない問題なのです。そこで今回はセクハラの実態や対処法等について具体的に解説していきます。

セクハラは不当

セクハラ

職場におけるセクハラの問題は今に始まったことではありません。女性が社会進出してからセクハラ問題は常に存在していたものの、これまでの男性中心だった時代は大きな問題として取り上げられてはきませんでした。しかし、近年、女性が働くのが当たり前になり、ようやく重要な問題として意識されるようになったのです。

女性にはセクハラを受けない権利がある

かつての日本では男女の役割分担の名の下に、合理的な理由のない男女差別が慣行されていました。しかし、女性の基本的人権を保障し、労働力として有効活用するためには女性の労働環境を改善・保護する必要があります。そこで、この数十年間で様々な法整備が行われました。

1985年に施行された「男女雇用機会均等法」を皮切りに、1992年には、いわゆる「育児介護休業法」が、1999年には「男女共同参画社会基本法」が施行される等、女性の労働条件を保護するための法律がこの四半世紀の間にいくつも制定されました。

しかしこのような法律が存在しても、現場を完全に監視することは不可能です。同じことをされても感じ方は人それぞれで、そもそも、問題視された行為がセクハラに当たるか否かの線引きは非常に難しく、セクハラの定義が曖昧なままの状況が続き、被害が一向に無くならない現状があります。またセクハラは、女性にとって表沙汰にしたくない「性的」な側面から、泣き寝入りされることも多くあります。

男女雇用機会均等法の「セクハラ指針」とは

こうした状況を改善する目的で男女雇用機会均等法第21条には「事業主が職場における性的言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置」いわゆるセクハラ指針として以下の10項目が規定されており、企業はこれに従う義務を負います。セクハラ被害を訴えるためにはこの辺りの知識は必要です。なお、セクハラ指針は改訂され、2017年1月以降、LGBTも対象となります。
※LGBT:レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーなど、性的少数者の人たちを広く指す表現

事業者の方針の明確化及びその周知・啓発

1. 職場におけるセクシュアルハラスメントの内容・セクシュアルハラスメントがあってはならない旨の方針を明確化し、管理・監督者を含む労働者に周知・啓発すること

2. セクシュアルハラスメントの行為者については、厳正に対処する旨の方針・対処の内 容を就業規則等の文書に規定し、管理・監督者を含む労働者に周知・啓発すること
企業はセクハラとはどのような行為を指すか、及び加害者は懲戒既定の対象になる旨等を明記したポスターや小冊子を作成し、掲示、配布等する義務を負います。

相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備

3. 相談窓口をあらかじめ定めること。
社内に相談窓口を設けるだけでは不十分で“きちんと機能”しなければなりません。

4. 相談窓口担当者が、内容や状況に応じ適切に対応できるようにすること。また、広く相談に対応すること
相談に対応する係を前もって決めておくことや、外部の機関に相談への対応を委託できる体制を整えること等が求められます。
職場におけるセクシュアルハラスメントに係る事後の迅速かつ適切な対応

5. 事実関係を迅速かつ正確に確認すること
事が起きてからでは対処が遅れる恐れがあるため、問題が生じた場合の担当部署や対応の手順等を事前に定められている必要があります。また相談者と加害者の間で主張に食い違いがある場合は第三者からの意見も聞く措置を講ずることが要求されます。

6. 事実確認ができた場合には、速やかに被害者に対する配慮の措置を適正に行うこと

7. 事実確認ができた場合には、行為者に対する措置を適正に行うこと
セクハラの事実が確認されても軽視されがちです。知っていたのに、放置すれば事態の悪化を招く場合があります。行為者に対しては立場に関係なく、公正なルールに基づいて制裁する必要があります。また必要に応じて被害者の配置転換や行為者の謝罪等の措置が求められます。

8. 再発防止に向けた措置を講ずること(事実が確認できなかった場合も同様)
再発を防ぐために、改めてセクハラとはどのような行為を指すか、また加害者は罰則を与える旨等を明記したポスターや小冊子を作成し、掲示、配布し全社員に認知させることが求められます。“再発”と言っても事後に限らず、予防の目的でも必要となります。

これらの措置と併せて講ずべき措置

9. 相談者・行為者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講じ、周知すること
セクハラの事案は極めて私的な領域における個人情報が問題となります。行為者、被害者双方のプライバシー保護の観点から、企業は必要マニュアルを作成したり担当者に研修を行ったりしなければなりません。

10. 相談したこと、事実関係の確認に協力したこと等を理由として不利益な取扱いを行ってはならない旨を定め、労働者に周知・啓発すること
就業規則や服務規程等の書類に、相談や協力をしたことを理由として解雇や減給等不当な扱いを受けてはならない旨を明記することが求められます。

セクハラの手口と被害に遭った時の対処法

セクハラ

セクハラには、断固とした対応が必要です。被害を主張するにはセクハラになるのはどういったケースかを理解しておく必要があります。

対価型セクハラとは

職場におけるセクハラは大きく「対価型」「環境型」に分かれます。対価型は労働者の意に反する性的な言動を行い、被害者の対応次第で、昇給や昇進等の利益を受ける、また逆に解雇、降格、減給等の不利益を受けるといったパターンのセクハラです。

代償型

性的関係をもつことを昇進や昇給等の条件にするパターンです。つまり良い成績評価を与えることを“エサ”に性的関係を迫るのです。

報復型

性的関係を持つことを拒まれた場合に、労働条件で不利な扱いをするパターンです。例えば「事業主が労働者に性的な関係を要求したが、拒否されたためその労働者を解雇した」場合や「事業主が労働者に性的な発言をしたが、抗議されたためその労働者を降格させた」等が該当します。

地位利用型

相手が断れない弱い立場であることに付け込んで、性的な関係を強要するパターンです。

環境型セクハラとは

労働者の意に反する性的な言動により、その就業環境が不快なものとなり、能力の発揮に重大な悪影響が生じる等、業務に支障をきたすパターンです。この場合“平均的な感覚”が基準となるため、司法判断は容易ではありません。

身体接触型

尻や胸に触る、抱きつく等するパターンです。その他にも不必要にスキンシップをとる、あるいは肩をもむ等も該当する可能性があります。

発言型

性的な発言をするパターンです。「不細工」「デブ」等、容姿に関する中傷をしたり、性的な冗談を執拗に繰り返したり、私生活上の秘密を意図的に吹聴すること等も該当します。また、一昨年、都議会で女性議員に対して「結婚しないのか」等と発言したことが“セクハラ野次”として問題になりましたが、価値観を押し付けるようなものも、発言型に含みます。

視覚型

労働者が抗議しているにもかかわらず、ヌードポスターを掲示し続けることや雑誌のグラビアページを開いたままにしておくこと等が該当します。

セクハラをやめさせるには

セクハラに遭遇した場合、対処法を間違えるとかえって事態が悪化しかねません。ではセクハラをやめさせるにはどのような手段が有効なのでしょうか。

他の社員を介して伝える

セクハラ問題では特に、加害者に直接やめるように伝えるのは、はばかられるものです。できれば、他の社員を介して伝えると良いでしょう。大切なのは、例えば上司や人事等、社内で加害者と比較して同等、ないしは優位な立場にある人物に伝えてもらうことです。

各専門機関や専門家に相談する

社内での解決ができない場合は各専門機関に相談しましょう。具体的には、まず「労働局の雇用均等部」が挙げられます。ここは労使間で男女均等取扱い、育児・介護休業、パートタイム労働者の雇用管理等、民事上のトラブルが起きた場合、解決に向けた援助を行う相談所です。各都道府県の労働局に設置されています。

また「労働基準監督署」や「労働相談コーナー」もセクハラの相談先として適当です。労働基準監督署は働問題解決機関ですが、労働相談コーナーは厚生労働省が設置した機関で、労働局や労働基準監督署内にあり、労働条件、セクハラ、いじめ・嫌がらせ等労働問題に関する様々な分野についての相談を受け付けています。また弁護士セクハラ問題に強い弁護士に相談するのも手です。

証拠は必須

具体的な解決のステップに踏み出す場合は必ず証拠が必要です。いつどこでどんな経緯でどのようなセクハラがあったのか、一度きりなのか継続的なのか、目撃者はいるのか等を証明できるものを用意しておきましょう。メールやメモ、第三者の証言も有効ですし、出来れば録音データがあるとよいでしょう。

セクハラに対する会社の対応

セクハラ

近年、テレビや雑誌でセクハラ問題の特集が組まれたり、講習会が開かれる等、世間のセクハラに対する意識が高まりつつあります。しかしそうした中でも、セクハラは無くならないないどころか、大阪や東京等主要10都市では増加傾向にあるとの調査結果も出ています。

セクハラの根絶は容易でない

セクハラのほとんどは男性が女性に対して行うケースです。セクハラが発生する根本的な原因は、男性が女性を軽んじている考え方にもありますが、これを正すのは容易ではありません。

法整備がされても、セクハラ被害を過剰に騒ぎ立てることは社内の立場において良い働きをするとは言えません。例えば、加害者である上司がセクハラを訴えた女性社員の軽微なミスをあげつらって不当な人事をする可能性は依然としてあり得ますが、実質的にそれが女性社員のセクハラの申告が原因であることを証明するのは難しいでしょう。セクハラの被害者がそれを訴えず泣き寝入りするケースが多いのも、そういった理由がひとつなのです。

海遊館事件から見るセクハラ対策

セクハラ問題については、会社の考え方や対策方法を根本から見直さない限り解決は難しいと言えます。2015年、水族館「海遊館」の運営会社(大阪市)で、「言葉のセクハラ」があったとして女性社員にセクハラ申告された男性社員2名が出勤停止や降格処分を言い渡されたことを不当処分だと上告した裁判で、2015年、最高裁は「処分は妥当」と判決した事件がありました。

この判決から見えてきたことは、セクハラの被害申告を受けたとき、会社は加害者に事実確認を行い、もし事実だった場合は、適切な懲戒処分を速やかに行う必要があるということです。それができなければ、企業側は女性の雇用に消極的になり、かえって女性の社会進出を逆行させることに繋がるかもしれません。

セクハラは個人が気を付けることが重要

企業のセクハラの被害を根絶することは難しいものの、被害を減少させるには、結局のところ個人が気を付けること以外に方法はありません。

セクハラ被害に遭った女性の中には何年たってもその行為を許せないままの人もいますし、イライラや睡眠障害、パニック等の症状がでる“PTSD(心的外傷後ストレス障害)”に長く苦しみ続けるケースもあります。男性が思っているよりもセクハラ被害は深刻なのです。こうした事実を重く受け止め、“これを言ったら、あるいはこんな行為をしたら相手はどう感じるだろうか”と職場のひとりひとりが発言や行動に気を付け、思いやりの心を持つことが大切ですし、それがセクハラを無くすだけでなく、職場全体の士気を向上させ、企業にとってもプラスに働く可能性があります。

セクハラ問題の解決は個人のモラルにかかっている

セクハラは非常に根深い問題で、そう簡単には解決できません。上司に相談してその場限りの解決は可能かもしれませんが、個人個人が意識しない限りセクハラがなくなることは無いと言えます。

自分はセクハラをしたつもりがない!と言っても相手がセクハラを受けたと思えば、セクハラになってしまう可能性はあります。つまり、行為者がどう感じるかではなく、受けた人がどう感じるかが重要ということです。

セクハラを受けて、対策を講じてもうまくいかず悩んでいる方は、ひとりで何とかしようとせずに、周囲に相談したり、セクハラ問題に強い弁護士に相談したりするようにしましょう。

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