リストラされそうになったら、解雇理由証明書を請求!

2021年7月2日19,250 view

リストラ

リストラは本来の意味を離れ、日本では整理解雇されることを指します。リストラは必ず受け入れなくてはならないわけではありません。また、リストラされても行動をきちんと起こせば損害を最小限にできる可能性もあります。ここではリストラされたらどのような対応をすればよいのかを解説します。

リストラとはどういうもの?

リストラとは、英語の「restructuring(リストラクチュアリング)」の略で、本来は企業が成長を維持するために行う事業の再構築のことを言います。しかし、バブル崩壊後の不況の中でリストラを整理解雇の意味で多用する風潮が日本で起こり、今でも「リストラ=クビ」のようなネガティブなイメージが定着しました。一般的に会社がリストラをする場合、はじめに希望退職者を募ります。それでも人件費のコストがかかりすぎていると判断されると、整理解雇、いわゆるリストラを行います。また、リストラという手段を取らずに、通称「肩たたき」と呼ばれる退職勧奨をしてくる場合もあります。

リストラと希望退職と退職勧奨の違いとは

リストラの他にも似た表現に「希望退職」や「退職勧奨」があります。それぞれ、どのような違いがあるのでしょうか。

リストラ

リストラは会社都合の整理解雇なので退職金が出ますし、勤続年数や役職などによって割り増しされることが見込まれます。しかし、定年退職に近い年齢だった場合、通常の退職金よりも少ない場合が多いようです。

希望退職

人員整理に伴う希望退職は自分から退職している形にはなりますが、会社都合の退職になります。多くの場合、退職金が割り増しされますが、希望退職の募集から期間が経つにつれ退職金の割り増しも減っていく傾向にあります。

退職勧奨

とはいえ、一番注意したいのが退職勧奨です。この場合は自己都合退職となり、退職金が割り増しされる場合もありますが、リストラや希望退職より少なくなります。また、失業手当において会社都合か自己都合退職かで待遇が大きく変わります。自己都合退職の場合、給付制限があったり、給付日数が短かったり、支給開始が遅かったりするので不利な場合が多いです。退職勧奨をされてもきちんと納得ができない限り、応じないようにしましょう。

退職勧奨が執拗な時はどうするか

上司にポンと肩をたたかれ、小部屋に呼ばれて「君にこの仕事は合わないのではないか?辞めたらどうだ?」と言われたら、それは退職勧奨です。このようなやりとりは労働者を精神的に追い詰めます。この退職勧奨がしつこい場合、パワーハラスメント(通称パワハラ)として訴えることができ、さらに違法性が高くなると強要罪にあたります。こうした退職勧奨を受けたら、ボイスレコーダーで録音したり、回数や言われたことをメモに残したりして証拠を残しましょう。そして、労働組合や労働問題に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。

ほかにもある、早期優遇退職

「早期優遇退職」という、いわゆるリストラの一環として行われる制度も、企業によっては導入しているところがあります。これは慣例的に従業員全員に対して行われる企業もあれば、経営が悪化したときに臨時で行われるものがあります。会社を辞めてくれるなら、退職金を多めに出すなど、優遇処置がとられることが多いでしょう。有利な条件を提示されれば、労働者も会社を辞めてもいいと思うかもしれません。早期優遇退職であれば、解雇されたというマイナスの感情もあまりなくなるので、労働者にとっても、使用者にとってもメリットがあると言えるでしょう。

リストラを回避するために起こすべき行動

まず、リストラの対象者になったからと言って、必ずしもリストラが成立するとは限りません。リストラには厳しい4要件が課されており、それを満たさなければ成立しません。

エストラの4要件

  1. 人員削減が必要かどうか
  2. 解雇を別の手段で避けられないか
  3. 対象者を公平に選んでいるか
  4. 適正な手続きを経たか

以上が満たされていなければリストラではなく不当解雇になってしまうのです。
自分の会社がこれらの要件を満たしているか確認し、不当解雇の可能性を感じたのなら弁護士や労働組合に相談するのが適切です。しかし、大企業ではこれらの要件が重視されますが、中小企業では緩やかに判断される傾向になっており、不当解雇とするのが難しい場合もあるので注意が必要です。しかしながら、何の説明もなく解雇通知が来たり、求人募集が出ているのにリストラを言い渡されたりしたときは不当解雇を疑いましょう。

リストラされてしまったら何をすべきか

自分は納得していないのに、リストラされてしまうこともあるでしょう。
納得のいかないリストラをされた場合には、必ず解雇理由証明書を書面で交付するように請求しましょう。労働基準法の定めにより、労働者から請求があれば使用者である会社はこれを交付しなければならないため、臆せずに行うようにしてください。

解雇理由証明書があれば、動かぬ証拠となりますので、不当解雇が疑われる場合にはそれを持参し、労働問題に詳しい弁護士に相談するか、労働組合に相談しましょう。場合によっては慰謝料も請求できるので、あきらめないことが肝心です。

リストラのときに力を発揮する解雇理由通知書

労働者は解雇されたときやされそうになったとき、使用者(会社)に解雇の理由を具体的に聞くことが労働基準法で認められています。これが、解雇理由通知書です。これによって、使用者都合で労働者を解雇するなど、解雇権の濫用を抑制できます。

解雇の理由は具体的に

解雇理由証明書によって証明されるのは、労働者が解雇されたことと、その理由です。
解雇理由証明書では、解雇の理由を具体的に示さなくてはなりません。就業規則の条項にあてはまったことによる解雇の場合は、就業規則の当該条項の内容と、それに至った事実関係を証明書に記載するように示されています。

解雇理由証明書に解雇理由や解雇に至った経緯が具体的に記載されていれば、仮に第三者機関が目を通したときに、判断しやすくなります。もちろん、記載内容に労働者が反論することもあるでしょう。その場合は反論のための証拠を提供し、解雇理由証明書に書かれた内容と照らし合わせることになります。

解雇理由証明書を拒否されたら

解雇理由証明書を作成してほしいと、会社に申し出ても拒否されるかもしれません。そのときは、あわてずに、内容証明郵便などを利用して書面で解雇理由証明書を請求しましょう。解雇理由証明書を求めるのは労働者の権利です。解雇理由証明書を出さないこと自体が使用者の労働基準法違反にあたります。

不当なリストラに立ち向かうなら弁護士に相談!

本来、使用者である会社と労働者は対等な関係にあるとされています。とはいえ、労働者は使用者に従うことが社会では当然と考えられているでしょう。しかし、リストラや退職勧奨を「会社の言うことを聞かなくては…」と鵜呑みにすることはよくありません。法律は労働者を守ってくれるので、法的措置がとれないかどうか、不当な解雇ではないか、パワハラではないか、一度立ち止まって考えてみるようにしましょう。そして、法に反する可能性が高いと感じたら、法律のプロである弁護士に相談するのが確実です。

関連記事一覧

一緒に読まれている記事

会社の待遇や人事でお悩みなら相談を!

今すぐ弁護士を探す