不当解雇の裁判にかかる費用と期間~不当解雇は弁護士に相談を

2017年8月1日5,146 view

法廷

不当解雇について裁判に訴える場合は、弁護士に協力を求めるのがベストですが、気になるのが弁護士費用です。弁護士に手続を依頼すれば、着手金、成功報酬金、日当、実費などがかかります。また、最初に訴訟を提起してから第1審の判決が下されるまでは最低でも1年ほどかかるため、長期戦になることは覚悟しておいたほうがよいでしょう。

会社から「解雇する」と言われたら不当解雇を疑おう

解雇

法律上、解雇は「客観的に正当な理由がない場合は無効である」と定められています。近年の不況のあおりを受けて、人員整理などのために退職勧奨や退職強要が行われることが増えていますが、解雇が法律上適切に行われているケースは少ないと言われています。

解雇を認めない姿勢を示す

会社側から退職勧奨や退職強要をされて、どんなにプライドを傷つけられることを言われても、解雇を認めるような発言はしないようにしましょう。いったん解雇を認めてしまえば、あとで争いになったときに会社側から「あのとき退職を認めたはずだ」と言われ、こちらの立場が弱くなってしまうからです。

また、退職届や辞職願などの書類に署名を求められても、応じる必要はありません。署名をしてしまうと、退職に合意したことになり、不当解雇を認めてもらえない可能性もあるからです。

解雇が有効なものであることを前提に支給される解雇予告手当も、受け取ってしまえば解雇を認めたことになるため、できる限り受け取らないのがベストです。生活のためにやむを得ず受け取る場合は、「解雇予告手当としてではなく、従業員の立場として将来発生する給与の一部として受け取る」と明確に書面に記した上で相手方に通知するようにしましょう。

解雇通知書・解雇理由証明書をもらおう

こちらに非はないのに突然解雇を突き付けられた場合は、会社側が自分を解雇したことを示す「解雇通知書」を必ずもらうようにしましょう。解雇予告を受けたときも、解雇予告書をもらうようにします。

また、解雇が正当な理由に基づいて行われたものであるかどうかを判断するために、解雇理由証明書の交付も必ず会社側に申請しましょう。会社側が解雇理由証明書の発行を拒んだ場合は法律違反となります。どうしても発行してもらえない場合は、会社の担当者から口頭で受けた説明をICレコーダーで録音しておくと、あとで争いになったときに有力な証拠とになります。

また、会社を去る前には、就業規則や会社側とのやり取りがわかるメールや文書などのコピーも必ずとっておきましょう。これらのコピーさえあれば、いざ争いになったときに弁護士や裁判官に、解雇されたいきさつや理由などについて説明をするのに役に立ちます。

不当解雇を訴えるときの裁判の流れと期間

法律相談

不当解雇されたら、できるだけ早いうちに労働問題に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。弁護士に相談すれば、さまざまな解決方法を提示してもらえますし、会社をすぐに訴えることも可能です。

不当解雇を訴えるときの裁判の流れ

不当解雇を理由に裁判を起こす場合は、労働審判と同様に自力でできなくもないですが、相手方と対等な立場で争うためには、弁護士の協力が不可欠です。まず弁護士に現在の状況について相談するところから始めましょう。

法律相談

労働問題に関する経験や実績が豊富で信頼できそうな弁護士を見つけたら、事務所に電話を入れてアポイントを取ります。弁護士事務所に出向くときは、以下のような資料を持参しましょう。

必要となる資料 あると望ましい資料
・就業規則
・賃金規程・退職金規程
・給与明細書(または源泉徴収票)
・解雇通知書
・解雇理由証明書
・履歴書
・雇用契約書または労働条件通知書
・労働協約(会社と労働組合が交わした契約)
・経緯を時系列で説明した資料

民事保全手続き

実際に訴訟を提起する前に、労働契約上の権利を確保するための「地位保全仮処分」や、給与・賞与などの支払いを確保するための「賃金支払い仮処分」の申立てを行うことが裁判所により認められています。それらの手続きは「民事保全手続き」と言います。

訴訟の提起

訴訟を起こすための訴状は、原則として会社の本店所在地または勤務地を管轄する地方裁判所に提出しましょう。いきなり訴訟を起こすケースもあれば、労働審判を先に行ったが不服申立てがあったために訴訟に移行するケースもあります。

第1回期日以降

第1回期日以降、当事者双方が相手方の主張に対して反論する書面や証拠を出し合って争います。事実関係に争いがある場合は当事者尋問・証人尋問が行われることもあります。また、裁判中にも随時裁判官を交えて当事者同士が話し合う場が提供されます。、

和解または判決

裁判官を交えた話し合いの場では、和解を促されることがあります。当事者双方が和解に合意できれば争いは終了しますが、合意できなければ判決が下されます。訴訟提起から第1審の判決が言い渡されるまで、1年以上かかることも珍しくありません。中には最終的に決着がつくまで5年、10年とかかる場合もあります。

不服申立てまたは判決確定

第一審の判決内容に不服があれば、判決書が発送されてから2週間以内に控訴することが可能です。控訴すると、地方裁判所ではなく、地方裁判所の上級裁判所である高等裁判所で争われることとなります。第一審の判決に不服がない場合は判決が確定します。

控訴審・上告審へ

高等裁判所で再び争われます。控訴審についても裁判長が判決を言い渡しますが、そこでも判決内容に異議があれば不服申し立てをして、最高裁判所での上告審に進みます。

復職へ

申立人の従業員としての地位を認容する判決が確定した場合(または和解が成立した場合)には、会社側の解雇は無効とされます。そのため、従業員は元いた職場に復帰できるようになります。

不当解雇の裁判にかかる費用

裁判にかかる費用

不当解雇を裁判で争う際には、弁護士に代理人を依頼ケースが多くありますが、弁護士を立てると高額な費用がかかります。具体的にどれくらいの費用がかかるのかについて見ていきましょう。

不当解雇について裁判で争うときの費用とは

不当解雇を裁判で争うときにかかる費用は、主に着手金と成功報酬金です。それに付随して、法律相談料や日当、交通費や郵便代などの実費がかかってきます。(※1)

法律相談料

法律相談料は、30分毎に5,000円(税別)と設定している弁護士事務所が大半です。中には、労働問題に関する相談は初回無料と掲げている事務所もあるので、調べてみるとよいでしょう。

着手金

弁護士と委任契約を結んだ時点で着手金が発生します。着手金は収入金額や請求金額によって異なることが多くなっていますが、最低金額を20万円などに設定している事務所もあります。(※2)

年収(請求)の金額 着手金の金額
300万円以下の場合 年収(請求)金額の8%相当額(税別)
300万円を超え3000万円以下の場合 年収(請求)金額の5%相当額+9万円(税別)
3000万円を超え3億円以下の場合 年収(請求)金額の3%相当額+69万円(税別)
3億円を超える場合 年収(請求)金額の2%相当額+369万円(税別)

成功報酬金(復職が認められた場合)

復職が認められた場合の成功報酬金は、年収や得られる経済的利益によって変化します。中には、成功報酬金を最低400,000円(税別)などと定めている事務所(※2)や、給与の3か月分などと固定している事務所(※3)もあります。

年収(経済的利益)の金額 成功報酬金の金額
300万円以下の場合 年収(経済的利益)金額の16%相当額(税別)
300万円を超え3,000万円以下の場合 年収(経済的利益)金額の10%相当額+18万円(税別)
3000万円を超え3億円以下の場合 年収(経済的利益)金額の6%相当額+138万円(税別)
3億円を超える場合 年収(経済的利益)金額の4%相当額+738万円(税別)

成功報酬金(金銭的解決をした場合)

金銭的解決をした場合の成功報酬金は、回収金額によって変化します。中には、成功報酬金を最低400,000円(税別)などと定めている事務所(※2)や、回収金額の25%などと固定している事務所(※4)もあります。

回収金額 着手金の金額
300万円以下の場合 回収金額の16%相当額(税別)
300万円を超え3000万円以下の場合 回収金額の10%相当額+18万円(税別)
3000万円を超え3億円以下の場合 回収金額の6%相当額+138万円(税別)
3億円を超える場合 回収金額の4%相当額+738万円(税別)

証拠保全・民事保全などの手数料

訴訟を提起する前に証拠保全・民事保全などの手続きをした場合は、1回につき,100,000円(税別)などの手数料がかかります。(※2)

日当

日当とは、弁護士が裁判所に出廷するときの手間賃のようなものですが、近距離であれば無料とする事務所もあれば、1回出頭につき10,000円(税別)などと設定している事務所もあります。(※2)弁護士事務所から裁判所までの距離がある程度ある場合は、往復2時間半を超える場合30000円+税、5時間を超える場合は50000円+税などと設定している事務所もあります。(※5)

実費

訴訟を提起する際の手数料としての収入印紙代や郵便代、交通費などの実費がかかります。訴訟を提起する裁判所や弁護士事務所によっても金額は異なるので、何にいくらかかるのかをあらかじめ確認しておきましょう。

不当解雇を裁判で訴えるときの費用が気になる場合は弁護士に相談を

不当解雇を裁判で訴えるときには多額の費用がかかりますが、具体的な金額が知りたい場合は弁護士に問い合わせてみましょう。弁護士費用が一括で払えない場合には、分割払いにも応じてもらえるので、遠慮なく担当弁護士に申し出ることをおすすめします。

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