解雇予告は解雇の30日以上前!解雇予定手当が支払われることも

2018年1月23日1,581 view

解雇予告

職を失えば労働者の生活に大きく影響するため、使用者はある日突然労働者を解雇すること出来ず通常解雇する30日以上前に予告をしなければならない決まりがあります。予告しない場合、使用者には解雇予告手当を支払う義務が発生するのですが、解雇予告が必要ないケースもあります。今回は解雇予告について具体的に解説します。

解雇予告とは

解雇

労働者は法律によって保護されており、簡単に解雇は認められませんが、相当の理由があった場合に認められます。しかし解雇予告と言って、解雇する際には、基本的に使用者は30日以上前に解雇する旨を労働者に伝えなければならず、予告しない場合は解雇予告手当を支払う義務が生じる決まりになっています。

突然の解雇は認められない

労働者は多くの場合、会社からの収入で生計を立てており、突然解雇されれば生活の基盤を失うことになります。そこで労働基準法では少なくとも30日前までに解雇する旨を通知しなければならないと定めています(第20条)。この30日間で労働者は再就職先を探し、会社側も仕事の引き継ぎ等を完了させる訳です。

通例30日以上前に解雇予告通知書が送付される

会社が労働者を解雇しようとするとき、口頭で「会社に来なくてよい」と伝えれば、法律上は解雇が成立します。しかしこれでは何月何日をもって解雇とするのか、解雇の理由は何か等が不明瞭であり、通知も残りません。労働者側としてもこれまで勤めてきた会社を離れることになる訳ですので、口頭で通知を済まされるのは極めて不愉快であり、その後のトラブルに発展し兼ねません。

そのため通例、解雇が実施される場合は解雇対象者の氏名や解雇日、解雇理由、解雇予告通知日、会社名、代表者職氏名等を記載した「解雇予告通知書」が送付されることになります。

雇用形態によって解雇予告が不要のケースもある

しかし解雇予告が不要とされるケースがあります。試用期間中の解雇では14日以内なら解雇手続きが不要ですし、日雇契約の場合は1ヶ月以内は不要となります。また、例えば2ヶ月以内の短期契約なら2ヶ月以内は不要、2か月を超えれば必要と言った具合に有期雇用契約では契約期間内、即ち契約更新をしない場合不要となります。

解雇予告手当について

解雇予告を行わない場合、解雇予告手当が支払われます。突然解雇されれば労働者の収入は途絶え、生活が困窮するため、経済的な補助がなされなくてはなりません。なお、解雇予告手当は解雇日より前に支払われなければなりません。

解雇予告手当の計算方法は

解雇予告手当の一日当たりの支給額「平均賃金」は原則として、解雇予告日間近の〆切から遡って3ヶ月間の賃金総額を3ヶ月間の“歴日数”で割った額で算出されます。歴日数とは労働日数ではなくカレンダー上の日数を指すものです。例えば3月分なら31日、4月分なら30日をカウントします。

また入社してから3ヶ月経たない場合は、解雇予告日直近の賃金〆切日から遡って、入社月までの賃金総額を歴日数で割った額で計算されます。そうして割り出された額が支給日数分、支払われます。

アルバイト等出勤日数が少ない場合

しかしこうした計算方法だとアルバイト等出勤日数が少ない場合、手当の額が極端に少額となるケースが出てきます。そこで最低保障の制度があり、原則的な計算と比較して、労働者側に有利な方の計算を採用することになります。最低保障を適用した場合は、解雇予告日前3ヶ月間の賃金総額をその間の出勤日数で割ったものに60%をかける方法で算出されます。

解雇予告の適用除外とは

犯罪

また、前述の雇用形態によるケース以外にも解雇予告、及び解雇予告手当が受けられないケースがあることを覚えておかなければなりません。解雇されたからと言って必ずしも手当を受け取れる訳ではないのです。ここでは解雇予告の適用除外について説明します。

労働者の責めに帰すべき事由があった場合

労働基準法は第20条で「労働者の責に帰すべき事由があった場合」を解雇予告の適用が除外されるケースに定めています。つまり解雇予告制度で保護するに値しない程の重大、悪質な義務違反や背信行為が労働者にみられた場合、解雇予告及び手当は受けられません。ここで言う労働者の責に帰すべき事由は以下の6つになります。

事業所内で窃盗や恐喝、横領等の犯罪を行った場合

まずは「1、極めて軽微なものを除き、事業所内で窃盗や恐喝、横領等の犯罪を行った場合」です。

しかし一般的に見て極めて軽微とされるものであっても、「使用者があらかじめ事件の防止策を講じていて、なお且つ労働者が繰り返し盗取、横領、傷害等を行った場合」や、事業場外で行われた場合でも「当該事業所の名誉・信用や労使間の信頼関係を損ねる、或いは取引関係に悪影響を与えるに足りると認められた場合」は労働者の責に帰すべき事由と見なされます。

賭博、風紀紊乱等により職場規律を乱し、他の労働者に悪影響を及ぼす場合

次に「2、賭博風紀紊乱等により職場規律を乱し、他の労働者に悪影響を及ぼす場合」です。またこれらの行為が事業場以外で行われた場合でも、それが著しく当該事業場の名誉・信用や労使間の信頼関係を損ねる、あるいは取引関係に悪影響を与えるに足りると認められた場合には労働者の責に帰すべき事由となり、解雇予告や手当は受けられません。

その他会社への背信行為があった場合

その他の労働者の責に帰すべき事由となるケースは「3、雇入れの際の採用条件の要素となるような経歴を詐称した場合」や、「4、他の会社へ転職した場合」、「5、原則として2週間以上正当な理由なく欠勤し、出勤督促に応じない場合」、「6、出勤不良または出欠常ならず、数回にわたって注意を受けても改めない場合」等、会社への背信行ために該当する場合です。

就業規則に影響されない

なお「労働者の責に帰すべき事由による解雇」は、就業規則にも記載されている事項ですが解雇予告の適用除外における労働者の責に帰すべき事由は“限定列挙”、つまり上記のものに限られます。あくまでも会社が定めた基準ではなく、行政機関が定めた基準で判断がなされるのです。

また判断に当たっては、現実には様々なケースがあるため、これらの基準に過度に捉われるのではなく、総合的かつ実質的に判断することとされています。

天変事変やその他やむを得ない事由で事業の継続が不可能になった場合

同じく労働基準法第20条は、こうした労働者側に責任がある場合に加えて、「天変地異やその他やむを得ない事由で事業の継続が不可能になった場合」についても解雇予告の適用除外としています。

天変事変その他やむを得ない事由とは

天変事変と同じ、もしくはそれに準ずる程度の不可抗力によるもので、なお且つ突発的に発生した事由を指します。例えば、震災に伴う工場、事業所の倒壊や、類焼等により事業の継続が不可能になった場合、火災によって事務所が焼失した場合等が該当します。

しかし事業者の経営ミスや、取引が休業状態に陥ったこと並びに事業者が違法行ためで逮捕・収容されたことで事業の継続ができなくなった等、事業者に重大な過失があった場合は“やむを得ない”とは言えないため、これに含みません。天変事変が発生しさえすれば適用除外になるわけではなく、社会通念上、経営者がとるべき全ての措置を講じてもどうしようもない場合に限られるのです。

事業の継続が不可能になるとは

では、事業の継続が不可能になるとはどの程度の損害を指すのでしょうか。これに関しては事業の全部または大部分の継続が不可能になった場合を言います。

しかし例えば震災や火災が発生したものの、事業所の要となる建物や設備、機材の損壊・消失は免れ、多少の従業員を解雇すれば従来通りの操業をできる場合や従来の事業を継続することは不可能なものの、多少の従業員を解雇すれば別の事業を始めることが可能な場合等はこれに含みません。

つまり事業の継続に関わる建物や設備、機材における被害や資金等の状況全てを加味したとき、全従業員を解雇せずとも近く再開復旧の見込が明らかである様な場合は該当しないのです。

解雇予告について覚えておくべきこと

解説

こうした決まりがあるにもかかわらず近年、解雇通知や手当を与えないケースが増えています。経営者の無知が原因の場合もありますが意図的なものも存在します。そこで最後に、労働者が覚えておくべきことについて解説します。

解雇予告適用除外認定とは

会社は労働者を解雇する場合、仮に解雇理由が正当なものであったとしても、解雇予告する若しくは解雇予告手当を支払わなくてはなりません。それを免れる方法が解雇予告適用除外を利用することなのですが、解雇予告の適用除外が有効になるには上記の条件を満たすだけでは足りず“解雇予告適用除外認定”が必須となるのです。

認定があって初めて解雇予告適用除外が有効になる

解雇予告適用除外認定は使用者が労働基準監督署に申請して受けるもので、この認定があって初めて解雇予告適用除外が有効になります。しかし、労働基準監督署長の除外認定を受けずになされた解雇であっても、解雇予告手当の支払いがなされていれば、何ら違法とはなりません。

使用者が解雇予告除外認定を受けていても不当解雇のケースも

使用者側にとって解雇予告手当を支払うことは負担になります。それ故、解雇予告適用除外認定を受けていないのに、解雇予告・手当が与えられないケースがありますがそれは違法となります。ただし、解雇予告除外認定を受けてさえいれば国が認めた適法な解雇となるというわけではありません。正当な理由のない解雇は解雇権濫用となり、不当解雇に該当します。

解雇の不当性を争う場合

解雇の不当性を争うには、外部の専門機関や専門家に相談し、解雇の撤回や賠償請求をする手段があります。

弁護士に相談する

解雇の撤回や賠償金請求をする場合、やはり頼りになるのは弁護士でしょう。個々の法律事務所に相談したり、弁護士等が設けている相談窓口を利用する方法がありますがいずれの場合もまずは会社との話し合いを詰めていき、それでも解決しない場合には訴訟等の法的手段をとる流れになります。

訴訟を起こす

解雇の不当性や賠償請求に関する案件は、労働訴訟の中でも多いものの一つです。この場合、解雇理由の不当性を立証できる書類等を事前に集めておくことが重要です。また不法行ためにおける賠償金の額は概ね100万~150万円程度ですが、解雇が不当と判断された場合には、解雇期間中に支払れるはずであった分の給与も別途支払われます。これを「バックペイ」と呼びます。

解雇予告について正確な知識を持とう

解雇予告・解雇予告手当に限らず、退職前後の手続きは何かと煩雑で分かりにくいものです。法律の知識がないがゆえに、泣き寝入りするケースが多いのも事実です。知識がないことで損をしないように、正確な知識を身に着け、自らの権利を主張することが大切です。不当な解雇などで困ったことが生じたら、ひとりで解決しようとせず、弁護士などの法律のプロに相談するようにするとよいでしょう。

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