不当解雇の紛争中でも受けられる「失業保険の仮給付」

2018年2月19日2,048 view

失業保険

急な解雇をされた場合でも不当解雇が認められれば復職でき、出社しなかったときの休業手当も受け取ることができます。しかし、不当解雇の係争中はお金の余裕がなくなってしまいます。そんな時は失業保険の仮給付がおすすめです。

不当解雇の係争中は失業保険を受けられるのか

不当解雇が認められれば解雇は無効となり労働者の権利を取り戻せます。出社できなかった間は休業手当と同様に給与の6割を請求できます。しかし、不当解雇の係争中はお金が減っていくばかりで生活の余裕がなくなってしまいます。

「解雇されたなら失業保険をもらえば良い」と思われるかもしれませんが解雇の有効性で争っている以上「失業」を認めることはあまり良くありません。ただし、失業保険を受け取ったからと言って裁判で不利になることは考えにくいです。

実は、不当解雇で争う労働者の生活を守るためにハローワークは失業保険の「仮給付」を認めています。正しくはこちらの制度を利用してください。

失業保険の仮給付とは

失業保険の仮給付とは解雇の有効性を争っている場合に仮として失業保険を支給する制度です。仮給付を受けられれば労働者の生活は最低限守られますし、解雇が正当だと認められてしまった場合はそのまま失業保険として受け取ることができます。

ただし、仮給付なので解雇が無効になった時は支給されたお金を返さなければいけません。この注意点については後で詳しく説明します。

失業保険の仮給付の手続き方法

失業保険の仮給付を受ける方法は失業保険と同じように行います。失業保険の申請をするためにはハローワークに行きましょう。

必要な書類はマイナンバーの分かるものと身分証明書、印鑑、写真、離職票です。そして解雇で争っていることを示す書類も必要です。

失業保険を受けられるのは雇用保険に6か月以上加入していることや、就業できる意思と能力があることが条件です。雇用保険に入っていない場合はさかのぼって加入できます。

そもそも、失業保険をすでに受けている人でも仮給付に変えることができます。失業保険を仮給付に変える際は不当解雇で争っている事実を示す書類が必要です。

不当解雇なのに離職票が必要な理由

たとえ不当解雇でも失業保険を利用する以上は離職票が必要です。離職票の発行を求めることもまた解雇を認めているように思われがちですが不当解雇で争っている事実を示すことができれば問題なく失業保険の仮給付を受けられます。

不当解雇で争っている事実を示す書類

解雇の有効性で争っている事実を示す書類にはこのようなものがあります。

  • 訴状及び訴訟の受理証明書
  • 労働審判申立書及び受理証明書
  • 労働委員会によるあっせんの申立書及び受理証明書
  • 内容証明郵便による通知書及び配達証明

裁判や労働審判はもちろんとして和解交渉を行っている場合でも内容証明郵便による通知書と配達証明があれば失業保険の仮給付を受け取れます。

失業保険の仮給付はどのくらいもらえるのか

失業保険の仮給付は失業保険と同じ金額を同じ期間もらえます。不当解雇の場合は通常の解雇と同じく会社都合退職として失業保険が計算されます。重大な解雇理由がある場合は自己都合退職と同じように失業保険の仮給付がされます。

金額は6か月のうちにもらっていた給与の平均をもとに計算されます。年齢や給与の高さに応じて賃金日額の80%~7775円までの幅があります。

失業保険の仮給付は「返還」すべき場合がある

失業保険の仮給付はあくまで「仮」で給付されるもの。めでたく不当解雇が認められたら場合に応じて失業保険の仮給付を返還しましょう。「失業」していない以上、失業保険を受け取る理由がないからです。

仮給付を返還するのは痛手に思えますが、それをカバーできるだけのお金を受け取れるためそこまでの損失にならないでしょう。

もちろん、解雇が正当だと認められた場合や不当解雇についての紛争を途中でやめてしまった場合は通常の失業保険として受け取ることができます。

解雇が撤回されて復職した場合

解雇が撤回されて復職した場合は失業保険の仮給付を全額返還します。

不当解雇が認められ解雇が撤回されれば会社に戻ることができます。和解交渉の場合でも解雇が無効だと合意できれば復職となります。

解雇が無効となれば不当解雇の係争中は「会社に雇われていたこと」になります。つまり、1日も失業していません。

復職した場合は会社に戻るまでの未払い賃金がもらえる

失業保険の仮給付を全額返還することでお金が無くなってしまうように思えますが、不当解雇で争っていた間は会社都合による出社拒否とみなされ最低でも給与の60%がもらえます。

人によっては失業保険の仮給付より金額が少なくなるかもしれませんが、雇用関係が保たれる利益はそれ以上です。新しく仕事を探すリスクに比べれば弁護士費用を考えても安いと思えるでしょう。

場合によっては和解金や慰謝料がもらえることもあります。

解雇を撤回したうえで退職する場合

解雇を撤回したうえで退職する場合は和解契約に合意した日までの失業保険の仮給付を返還します。

不当解雇は撤回したいけれど会社に居たくないという場合は退職が選択肢になります。解雇を撤回したうえで退職する場合の多くは和解契約に合意した日を退職としています。

つまり、不当解雇をされてから和解契約に合意した日までは会社に在籍していたことになります。

和解金と合意するまでの賃金をもらえる

和解によって退職する場合は退職と引き換えに和解金をもらえる場合が多いです。もちろん、退職するまでの間は解雇が無効になっているため給与の60%以上が受け取れます。

解雇された日に退職という形で解決した場合

解雇された日に退職という形で解決した場合は失業保険の仮給付は一切変換しなくて良いです。

和解契約の条件によってはあえて解雇した日に合意退職したことにするケースもあり得ます。このケースは十分な和解金がもらえることが多いです。

不当解雇された日をもとに失業保険の仮給付を受け取っていることから、不当解雇の日=退職した日となれば通常通り失業保険をもらえます。よって失業保険の仮給付を返還は不要です。

係争中の未払い賃金は請求できない

不当解雇された日と退職した日を同じとするなら係争中の雇用関係が認められません。すでに辞めているから当然ですね。そうである以上他の場合のように係争中の未払い賃金が発生しないのです。

失業保険の仮給付は、不当解雇紛争中の心強い味方

失業保険の仮給付は不当解雇紛争中の心強い味方です。突然の解雇は労働者の未来を不安にさせますが不当解雇で争っている時も失業保険がもらえればお金の余裕ができますね。

紛争は何かとお金がかかります

不当解雇は会社に非がある行為ですが問題を解決するために労働者もお金をかけなければいけません。弁護士費用は相談料だけでも30分で5000円かかりますし、和解交渉や内容証明郵便の作成についても費用がかかります。

不当解雇が撤回される利益の大きさが分かっていてもためらう気持ちはよく分かります。でも、失業保険の仮給付や和解金があれば弁護士費用を払いやすくなります。

裁判や労働審判になった時も分割払いを活用したい

労働審判の場合は20万円ほど、裁判になれば30万円以上の費用がかかります。こちらも会社からの和解金で支払うことが望ましいですが余裕を持って払えるとは限りませんね。そんな時は弁護士費用の分割払いを認めてくれる弁護士がおすすめです。

失業保険の不正受給は3倍返しになります

失業保険の仮給付が生活の助けになるからと言って、返還を先延ばしにしてはいけません。仮給付を返還しない場合は失業保険の不正受給になってしまいます。

失業保険を不正受給したらそのお金に加えて不正受給した失業保険にあたる金額を支払う必要があります。つまり不正受給は3倍返しになって生活を脅かします。

不当解雇の問題が解決した時はすぐにハローワークに問い合わせると良いでしょう。

不当解雇についての対策や生活の不安は弁護士に相談を

不当解雇をされてしまったときは失業保険の仮給付が使えますから、まずはお金を確保してください。そのうえで不当解雇の問題を解決するなら弁護士への相談がおすすめです。解雇規制がいくら厳しくても不当解雇を立証しなければいけないのですが、そのためには豊富な事例や判例が役に立ちます。あなたの事例に近いもの、不当解雇を立証するための道筋が分かれば精神的な不安も和らぐはずです。

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