不当解雇の相談先はどこ?労働基準監督署に相談するのが正しい?

2018年2月14日13,522 view

不当解雇

労働者にとって雇用は命にかかわる問題です。そのため、合法に解雇できるケースは極めてまれで使用者の好みで解雇するなどもってのほかです。法に反した違法解雇は適切な手続きを踏むことで解決できますが、どこに相談すればよいのでしょうか?労働基準監督署や労働局、労働組合に相談する前にぜひお読みください。

不当解雇に当たるのはどんな場合?

会社が労働者を正当に解雇するためには厳しい条件が求められます。解雇には人を雇いきれない時に行う整理解雇(リストラ)、会社に害を与えた社員を解雇する懲戒解雇、このどちらにも当たらない普通解雇の3種類があり、どの解雇であっても就業規則と法律、判例によって不当解雇か否かチェックされます。

不当解雇に当たるのはこのような場合です。「お前なんかやめてしまえ!」と言われるレベルではまず解雇されないでしょう。

使用者の好みや思想によって行われる解雇

これは論外ですね。たとえ使用者が嫌だと思っても問題なく働いている社員を解雇する権利を認めれば、解雇をちらつかせた脅迫ができるようになります。

例えば、このようなケースは絶対に許せません。

  • 性格が気に入らない
  • 社員の中で孤立しがち
  • 飲み会や社員行事に消極的
  • 有休を使った
  • 産休・育休をとった
  • 仕事を残して定時帰った
  • ハラスメントを訴えた
  • 未払いの残業代を請求した

労働者は社員である以前に国民です。法を逸脱した行為のまかり通る会社のいいなりにならないでください。

仕事をできない人間の解雇

仕事をできない人間を解雇したいと思うのは、経営者の立場なら仕方ないことです。特に小さな会社ほど社員のパフォーマンスが目立ちやすいです。

しかし、仕事のパフォーマンスが他の社員に劣るくらいであれば解雇の対象になりません。もし、仕事ができない=解雇を認めてしまえば意図的に仕事を教えないことや仕事を奪ってしまうことを理由に解雇できてしまいます。

ただ何度注意しても改善が見られない、勤務態度が著しく悪い、整理解雇のため仕方がないという場合は正当な解雇となります。整理解雇の場合も解雇理由を厳しく追及しましょう。

アルバイトに対する理由なき解雇

アルバイトは正社員より身分や待遇が軽視されがちです。そのため、「アルバイトなら簡単に解雇していいだろう」と考える経営者が少なくありません。

言うまでもありませんが正社員とアルバイトは働き方の違いであって同じく雇用されています。正社員もアルバイトも理由なき解雇から守られます。

就業規則に載っていない理由の解雇

解雇理由は予め就業規則に定めなければいけません。「他社がそうしているから」「社会の常識だから」という理由で就業規則にない理由で解雇したり、勝手に就業規則を変えて解雇したりすることはできません。

よく問題になるのは副業を理由とした解雇ですが、副業禁止の規定を就業規則に書いていなければ不当解雇になります。

また、就業規則を変えた場合は全社員に伝えなければいけません。

不当解雇の相談を受けてもらえる相談先

解雇を言い渡されてしまった時は、専門家に相談してください。仮に正当かもしれないと思った時でも不当解雇の判断がなされるケースはよくあります。

不当解雇について相談できる選択肢はこのようなものがあります。

労働基準監督署に相談する

労働基準監督署は労働者からの申請を受けて会社に業務改善の指導をしてくれる機関です。労働環境で悩んでいる人の相談を無料で受けてくれる点が利用しやすいです。

ところが、労働基準監督署は労働環境について指導を行うだけで解雇の有効性を判断してくれません。詳しい内容は後述します。

都道府県労働局にあっせんの申請をする

労働問題があった時は労働局にあっせんの申請をすることが可能です。これは弁護士や社労士などの専門家でつくられた紛争調整委員会が仲立ちして紛争解決を図るもので、不当解雇について争うことも可能です。

しかし、あっせんは会社側に拒否する事由があることや判決を出せるわけでないことから有効と言えません。

労働組合に相談する

会社の労働組合に加入している場合は、そこに相談できます。会社の労働組合に加入していない場合は個人加盟の労働組合に加入すれば協力してもらえます。労働組合の行う団体交渉は会社が拒否できない点で優れていますが、団体交渉によって解決できると限らない点や労働組合に加入しなければいけない点も理解してください。

弁護士に相談する

弁護士は法律のプロで交渉にも慣れています。弁護士のメリットは訴訟まで担当してもらえることと、紛争の代理をしてもらえる点です。社員自らでは会社側とやり取りが難しいときも弁護士が守ってくれます。弁護士報酬はそれなりにかかるので具体的な費用と支払方法については最初のうちに確認してください。

不当解雇は労働基準監督署に相談しても解決しない

不当解雇の問題を労働基準監督署(労基)に相談することは有効と言えません。悩みを聞いてもらうことはできても、不当解雇を解決してもらうことは不可能です。その理由は労働基準監督署の性質にあります。

労働基準監督署は労働基準法に反した労働の実態について改善指導を行う機関です。

まず、解雇については労働基準法ではなく労働契約法で決められています。その時点で労働基準監督署が不当解雇の撤回を指導できません。次に、労働基準監督署の指導は法的拘束力を持ちません。つまり不当解雇について労働基準監督署が動いてくれたところで解雇は撤回されないのです。

労働基準監督署が解雇について指導できることは「解雇予告から30日間の権利を守ること」「解雇予告手当を支払うこと」くらいです。解雇の理由についての判断は裁判所だけができます。

実行力を求めるなら弁護士への相談がベスト

不当解雇について実行力のある相談先は弁護士です。弁護士は不当解雇を撤回すべく会社との交渉から訴訟まですべての手続きに携わることができます。

相談先として社会保険労務士や司法書士、行政書士なども選択肢として考えられますがこれらの資格では弁護士に比べて携われる範囲が限定されます。基本的に、弁護士以外は書類作成のみ頼めるという理解で構いません。

不当解雇問題の解決は大きく3方向

不当解雇を解決するときは大きく3方向に分かれます。どの方向に決まったとしても弁護士への相談が有益です。

不当解雇の撤回

まず、不当解雇を撤回します。解雇が認められないともともと解雇されなかったものとして扱われますから会社に居続けることができます。会社を辞めたいときであっても退職金の確保や失業期間の短縮のために解雇は撤回しておきたいものです。

退職の意思表示をしないこと

不当解雇は無効ですが、こちらから退職の意思表示をしてしまえばたとえ解雇が無効でも退職が有効になってしまいます。そのため、一時の判断で「こんな会社辞めてやる!」と退職届を出さないように注意してください。

退職の意思表示をしないことと同時に、就労意思の表明もしておきましょう。働く意思があることの証明は、証拠が残るように内容証明郵便で会社に提出します。

未払い賃金・慰謝料請求

未払い賃金や慰謝料請求を行います。もちろん、解雇を撤回する場合も同時にこれらの請求を行います。

未払い賃金として取り戻せるもの

解雇の未払い賃金として取り戻せるのは解雇まで払われていなかった基本給や残業代と解雇されてから撤回されるまでの賃金です。

まず、不当解雇まで払われていなかった賃金は通常の残業代請求と同じく和解交渉や訴訟を通して払ってもらうことができます。不当解雇は「無効」なので解雇が撤回されるまでの間は「会社の都合で出社を拒否されていた」ことになります。ゆえに基本給の6割を受け取る権利があります。

慰謝料請求は難しい

不当解雇はあくまで解雇の合法性を問うもので、慰謝料請求とは別です。ただし、不当解雇によって著しく心に傷を負った場合や、パワハラ、セクハラが関わっている場合は慰謝料の請求が可能です。

よって、「不当解雇と関係なく心を傷つけられた」場合はむしろ積極的に慰謝料請求をしたいです。

次の仕事を探す

解雇を撤回されても、その会社で気持ちよく働けるわけではありません。もはや労働者が会社を辞めたいと考えている場合も多いです。それなら、不当解雇が撤回される前に今より待遇の良い仕事先を探しましょう。

転職で迷った時も様々なクライアントと関わっている弁護士ならある程度のアドバイスが期待できます。怪しい企業の見分け方や、気を付ける労働問題について聞いておくことも望ましいです。

会社からお金を多めにもらおう

生活に先立つものはお金です。シビアですが、会社にはできるだけ多くお金を請求してください。実際に支払われる額が請求した金額を下回るケースはよくある一方で、請求額を上回る支払いをされるケースはめったにありません。

失業保険は仮給付してもらえる

不当解雇問題が解決する間を生き抜くために失業保険も利用してください。失業保険を利用したことを理由に退職の意思ありと認められません。ただし「仮給付」という形で受け取ることになります。

解雇が無効になれば雇われ続けていたことになるため、仮給付は全額返還となります。解雇された日に退職とした場合は通常の失業保険給付として受け取れます。仮給付を返還するときは未払い賃金や慰謝料で賄いましょう。

不当解雇されたらまずは弁護士に相談を

解雇されたらまずは弁護士に相談してください。わが国の解雇規制は非常に厳しいので不当解雇の要件を調べる前に弁護士へ相談しても良いくらいです。もし、解雇が正当だと判断されても初回の相談料を支払うだけ。不当解雇で失う利益を考えればほとんどデメリットにならないはずです。

労働法に詳しい弁護士であれば不当解雇の問題と一緒にハラスメントによる慰謝料請求や未払い残業代の請求、労災認定などについても相談できますよ。

  • シェア
  • ツイート
  • 追加
弁護士に相談したら、未払い残業代が請求できた
残業代を請求することができるのはどんな人?
1日8時間以上、週40時間以上働いている人
次の項目に当てはまる人は、すぐに弁護士に相談
  • サービス残業・休日出勤が多い
  • 年俸制・歩合制だから、残業代がない
  • 管理職だから残業代が出ない
  • 前職で残業していたが、残業代が出なかった
未払い残業代請求に強い弁護士を探す
残業代請求に不安を感じる方へ

一緒に読まれている記事

悩んだらお気軽に相談を!携帯からも通話無料

今すぐ弁護士を探す