会社から強制解雇された!未払いの給料はちゃんと支払われる?
会社から強制解雇されても、未払い賃金は諦めないでください。会社は解雇した労働者や退職した労働者に対しても未払い賃金を支払う義務を持っています。しかも強制解雇の多くは法律上「なかったこと」にされる不当解雇と認められやすいです。
会社からの強制解雇!未払い分の給料はどうなる?
「今日でお前は首だ」「明日から会社に来なくていいよ」といきなり強制解雇されてしまった時、問題となるのはあなたの地位と未払い賃金です。
まず労働者の地位については解雇の正当性を巡って争うことができます。もし、労働契約法で無効となる不当解雇だと認められたら解雇は撤回されて会社で働くことができます。
労働者の未払い賃金は会社を辞めた後でも請求できます、たとえ解雇であっても同じです。賃金は「これまで働いた」分のお金ですからどんな辞め方をしようとどんなミスをしようと支払いを拒否できません。一方でやめる時に時に受け取る退職金については支払いが認められないこともあります。(就業規則に解雇と退職金について明記されている場合があります)
働いた分の賃金はきちんと支払われる
働いた分の賃金はしっかり請求してください。未払い賃金は本来払い終わっているべきお金で民法に基づく遅延損害金や商法に基づく遅延利息も合わせて請求できます。
未払い賃金にはこのようなものがあります
未払い賃金にはこのようなものがあります。見落とさないよう注意してください。
- 基本給
- 残業代
- 割増賃金
- ボーナス
基本給については働いた日の計算が少ない時や給与が最低賃金に満たない時に問題となります。残業代については会社の命令である限りサービス残業の分もお金を払ってもらえます。残業には割増賃金が付くのでそちらも忘れずに請求しましょう。ボーナスについては不当に減らされている場合や他の手当と相殺されている時に請求の可能性が発生します。
賃金の計算は法律と多様な働き方のせいで非常に複雑です。法律のプロに計算をお願いして請求漏れを防いでください。
不当解雇で争っている間の賃金も請求できる
不当解雇が認められると解雇が無効になります。つまり不当解雇で争っていた間も雇用され続けていたことになりますから会社都合による出社拒否の場合と同じく平均賃金の60%を請求できます。
せっかくの権利ですから気後れせずに行使しましょう。
本人に心当たりのない強制解雇は「不当解雇」の可能性あり
解雇とは本来使用者が一方的に突きつけるものですが本人に解雇されるような理由が見当たらない場合は不当解雇の可能性が高いです。仮に「これなら解雇されてもしょうがないかな」というミスがあった場合もやはり不当解雇の可能性が高いです。
解雇規制は非常に厳しい
労働者は立場が弱いためわが国では理由なき解雇が認められていません。そのため使用者の好みで解雇することやその場の勢いで会社を辞めさせることは認められていません。
解雇権の乱用は労働契約法第16条で禁止されています。労働契約法第17条では派遣労働者や契約社員のような有期雇用で働く人の解雇が制限されています
強制解雇されたときは、絶対に合意しないこと
強制解雇が不当解雇と認められたら解雇が無効になります。しかし、労働者の方から解雇に同意した場合や退職した場合はその意思表示が有効になってしまいます。
売り言葉に買い言葉で「こんな会社こっちから辞めてやる!」なんて言わないよう注意してください。どんな理不尽な理由であっても同意してしまえばもう会社に戻れません。
ただし、解雇に同意してしまった場合でも未払い賃金は請求できます。
強制解雇を撤回させるためにできること
強制解雇を撤回させるためにできることは会社との交渉か裁判です。解雇の有効性は裁判でしか争えませんが解雇を無効と言えるだけの強い理由があれば会社との話し合いで解雇を撤回してもらえます。
解雇の有効性を判断するために欠かせないのが解雇理由証明書です。解雇理由証明書は解雇した理由やその詳しい経緯が記録されているのでとても重要です。不当解雇をする会社はまず解雇理由証明書を開示しないので会社から追い出される前に発行してもらうと良いでしょう。
解雇の成立には「条件」がある
日本の解雇規制は非常に厳しく多少のミスや経営難ではまず解雇されません。その厳しさは経営者が積極的な採用活動をためらうほどです。
こちらでは解雇が成立するための条件を分かりやすく解説します。これだけ見てもいかに多くのケースが不当解雇になるか想像できると思います。
解雇には「客観的合理的理由」と「社会的相当性」が必要
労働契約法第16条では解雇についてこのように定められています。
“解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。”
詳しく見ていきましょう。
客観的合理的理由とは
客観的合理的理由と定められている以上、解雇理由は客観的かつ合理的でなければいけません。
解雇理由が客観的であるためには会社への悪影響を説明できなければいけません。逆に会社にとってどのように問題なのか説明できなければそれは主観的な理由です。それこそ、「仕事はできるが気に食わない」「飲み会に出席しない」という理由は客観的と言えません。
解雇理由が合理的であるためには解雇によって問題解決できることを説明できなければいけません。例えば、仕事でミスをしてばかりの社員や社内の風紀を乱す社員を解雇することは合理的と言えます。
社会的相当性とは
社会的相当性とは社会の常識を見た時にその行為がふさわしいことを判断する基準です。」
解雇においては「社員を解雇する前にできることはなかったか」が社会的相当性の問題となります。例えば仕事でミスをしがちな社員については解雇する前にミスをしないような指導ができるはずです。過失でセクハラと注意された社員であれば異性 の価値観を知ることができれば会社に残せるでしょう。
要するに「理由は納得できるがそれで解雇は重すぎる」場合は社会相当性があると言えません。
整理解雇が認められる4要件
普通解雇や懲戒解雇が良くない社員を解雇するものであるのに対して整理解雇は会社が社員を抱えきれないことを理由に解雇するものです。いわゆるリストラです。
整理解雇は労働者に非が無くても解雇できることからこのような点で客観的合理的理由や社会的相当性が問われます。
人員削減の必要性があること
人を減らさなければ会社が立ち行かないことが整理解雇の条件です。もし、人員削減しても会社が回るというだけで解雇が許されるなら「嫌いな社員から仕事を奪って解雇させる」ことが合法になってしまいます。
だから、人員を減らせるだけでは整理解雇が認められません。整理解雇をしながら採用活動をしている会社は論外です。
解雇を回避するための努力を尽くしたこと
確かに業績不振になった時や部署や支所が閉鎖せざるを得ない会社は仕事のない労働者を抱えることになります。それでも会社は他の労働者と仕事を分け合う形をとることや新しい部署を作ること、業績を回復させることなど努力の余地があります。
このように安易な整理解雇は認められません。「リストラじゃしょうがない」と諦めないでください。
解雇の対象となる労働者を合理的な基準で選んだこと
人員削減せざるを得ない状況でもやめさせる社員は厳正に選ばなければいけません。社員として残れるか、残れないかは労働者の生活がかかっています。
もし自分がリストラの対象になった理由に納得がいかなければ不当解雇を疑いましょう。
労働者が事前に説明され、誠実な協議を行ったこと
整理解雇が強制解雇であってはいけません。会社から事前に説明される権利があります。そのうえで会社と労働者で話し合ったことも整理解雇が認められるためにひつようなことです。いきなり整理解雇を突き付けられた場合は不当解雇と訴える余地があります。
段階を経ないと、解雇は認められない
解雇をするためには必要な段階があります。強制解雇を言い渡されたときは解雇に必要な段階を踏んでいるか注意深く思い出してください。大きなミスをした場合も適切な段階を踏んでいないことで不当解雇が認められます。
たった一度のミスで強制解雇されたら不当解雇の可能性大
解雇の理由として仕事のミスや能力の低さ、普段の勤務態度などが指摘された場合は不当解雇の可能性が高いです。会社は解雇せずに社員の問題を解決する努力が求められるので少なくとも1回のミスでの解雇は不合理です。
仕事ができないから解雇されても仕方ないという方はこのような点で不当解雇といえる可能性があります。
仕事ができない人は改善指導を受けられる
仕事ができない人や遅刻を繰り返す人について会社は改善指導を行う義務があります。会社が社員を正す努力をしなければ会社に落ち度があると見なされます。問題のある社員を放置することは「ミスを誘発させて解雇するため」という見方もできます。
改善指導はミスがあるたびに行われ、採算の指導をしても効果が見られなければ解雇が認められます。「平均的な社員より仕事ができない」というレベルならまず不当解雇が疑われます。
指導に反抗的でなければ長い目で見てもらえる
改善指導をされてもそれに対して従わず反抗し続けることも解雇の正当性を強めます。たとえ仕事が人並みにできても素行不良が改善されなければやはり解雇が有効になります。
逆に指導に従って改善する意欲が見られるなら長い目で見てもらいやすいです。もし、すぐに期待される水準に至らなくても改善がみられるなら解雇を撤回できるかもしれません。ただ、さすがに5年や7年も改善が見られないようなら厳しいです。
会社からの強制解雇に納得できないなら弁護士に相談を
今日壊死解雇をされたらすぐに弁護士へ相談しましょう。解雇理由が正しいように思えても解雇が有効になるハードルはとても高いです。不当解雇の事例をたくさん知っている弁護士なら不当解雇の問題を速やかに解決し、労働者の地位を守ってくれます。
1週間連続で無断欠勤しても解雇の有効性で争えるくらい労働者の権利は大きいです。強制解雇も賃金の未払いについても毅然と立ち向かいましょう。
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