地位確認請求|訴訟・労働審判で問う不当解雇の「正当性」

2018年2月21日1,455 view

不当解雇

不当解雇で会社を追い出されてしまった時にできる法的手段が地位確認請求です。労働者の地位を認めさせるためには労働審判手続きや訴訟をしなければいけませんが、不当解雇を和解で解決することも可能です。適切な手段は弁護士に相談しましょう。

地位確認請求とは

不当解雇の主張は地位確認請求となる

不当解雇や退職の意思についてのニュースやコラムを見るとよく「地位確認請求事件」や「地位確認等請求事件」として不当解雇の事例が載っていますね。

地位確認請求とは「自分が○○の地位にあることを確認する」ための請求です。地位というのはあくまで法律や契約によって決められた地位であって社会的地位ではありません。解雇や退職の有効性を争う場合は「社員としての地位」を確認してもらうための争いになります。基本的に地位確認の他残業代請求などを一緒に行うので地位確認“等”請求事件と表記されるものが多いです。

不当解雇の他にはゴルフ会員権も地位確認請求の対象です。他には水俣病患者の遺族が補償を受けるべき地位であることを訴えた地位確認請求事件があります。

地位確認請求の結論は「労働者であること」の確認

不当解雇で地位確認請求をする場合、ゴールは労働者であることの確認です。裁判や労働審判によって不当解雇が無効とされれば、不当解雇されてから判決の日までずっと雇われていたことになります。

よって地位確認請求訴訟は労働者としての地位を復活させるためのものではありません。

だから、解雇期間の賃金請求ができる

労働者は不当解雇が認められた場合に解雇期間の賃金を請求できます。出社させてもらえなくても本来の給与の内60%以上の支払いが認められます。

もし労働者の地位がいったん無くなってから復活したのなら不当解雇されていた間は働いていなかったことになります。しかし不当解雇が認められた場合労働者は会社にずっと雇われていたことになりますから。解雇期間中の賃金を請求できるのです。

地位確認請求で争われる不当解雇 の正当性とは?

地位確認請求で争われるのは解雇の効力です。解雇は労働者の生活基盤を脅かすことから非常に厳しく制限されています。そのため心当たりのない解雇や時期尚早と言える解雇の多くが不当解雇として認められています。

不当解雇を認めさせるためには解雇の正当性を否定しなければいけません。

ここでは解雇の正当性について解説します。

解雇の正当性=解雇しか選択肢がないこと

解雇が有効であるためには客観的合理的理由と社会的相当性基準を満たしていなければいけません。つまり解雇をすべきと第三者が納得できる理由が求められるのですが、その基準を簡単に説明すると「解雇しか選択肢がない」ことです。

詳しくはこちらの記事で説明しています。

主観的な理由では解雇できない

客観的な理由が求められている以上、主観で解雇することはできません。好き嫌いや使用者との関係性、その場の勢いで解雇されてしまうようでは労働者の生活が脅かされてしまいます。

会社が客観的な証拠を出せなければ解雇が無効になりやすいです。例えば会社に対してどのような問題を起こしていたか、成績がどのくらい悪かったか等です。

ただし平均より能力が劣るくらいでは解雇の理由として弱く不当解雇を訴える余地があります。

解雇の前に労働者の改善指導をしなければいけない

どの会社も問題社員、パフォーマンスを辞めさせたいと思っています。しかし、仕事ができない社員をすぐに解雇することはできません。仮に解雇が認められる場合でも著しく能力が低くなければいけません。

不当解雇となるケースとして良くあるのが「会社が改善指導を行っていなかった」ことです。労働者は成長していくものですから多少のミスがあってもそれを改善しないのは会社の落ち度になります。もし会社から十分な改善指導をされずに解雇された場合は不当解雇の可能性が高いです。

逆に何年も注意され続けたけれど改善が見られなかった場合や会社の注意に反抗して問題を起こし続けた場合は解雇が相当とみなされます。

整理解雇の時も不当解雇を疑ってください

整理解雇された場合も不当解雇を訴えられます。諦めないでください。

本人に問題ありとみなされる普通解雇や懲戒解雇の場合は自分に解雇事由がないことが不当解雇の証明になります。しかし、整理解雇の場合は会社の都合による解雇です。

整理解雇はむしろ解雇の中でも特に厳しい制限がされています。具体的にこの4要素が問われます。

  • 人員を減らす必要があること
  • 人員を減らさないための努力を尽くしたこと
  • 合理的に整理解雇の対象となる人を選んだこと
  • 事前に周知して十分な話し合いをしたこと

場合によっては会社の状況について証明する必要が出てきます。

労働者の地位を自ら捨ててはいけない

地位確認請求とは自分がその地位にあることの確認です。どんなにつらくても労働者である地位を捨てないよう注意してください。

労働者の地位を捨てる行為とはすなわち退職です。解雇を突き付けられたときそのまま同意してしまうこと、頭に血が上って退職すると言ってしまうと不当解雇で争えません。解雇が無効でもすでに労働者の地位が失われているからです。

地位確認請求は労働審判や訴訟で行う

地位確認請求は裁判所に対して行います。よって地位確認請求の手段は労働審判手続きか訴訟となります。

労働審判や裁判に不安があれば弁護士の力を借りましょう。弁護士は法律職で唯一労働審判と裁判で訴えた人の代理ができます。

労働審判のメリット・デメリット

労働審判手続きとは労働紛争を解決するための調停です。裁判官の他に労働問題に詳しい労働審判員が2名同席して進めます。

労働審判のメリット

労働審判のメリットはわずか3回の審理で終わることです。これは裁判に比べて非常に短く期間にしておよそ2カ月です。しかも労働委員会のあっせんと違って相手がいなくても審理を進められます。

労働審判員が持っている知見を活かして労働審判が出される前に合意することも可能です。

労働審判のデメリット

労働審判のデメリットは事前準備が求められることです。3回しか審理がないのでこちらに不利な状態で労働審判が出されないよう注意してください。労働審判は合意しなければ訴訟に持ち込まれる点もデメリットと言えます。

また、労働審判員はあくまで中立で労働者に味方してくれない点も注意してください。

訴訟のメリット・デメリット

訴訟は判決を出すことができます。厳格な法解釈や証拠が求められるので労働審判に比べてハードルが高く、強い効果を持ちます。

訴訟のメリット

訴訟のメリットは判決が出せることです。判決は労働審判のように拒否することができません。

訴訟のデメリット

訴訟のデメリットは時間とお金がかかることです。弁護士に依頼する時も訴訟を起こすべきかどうか、慎重に判断してください。

あくまで訴訟は「最後の手段」という認識で構わないです。

地位確認と一緒に残業代請求もできる

不当解雇が問題だけど、よくよく調べてみたら残業代や割増賃金の未払いも発覚した場合は地位確認と残業代請求を一緒に行うことができます。せっかく法的手続きを行うのですから解雇以外の問題も洗い出したほうが得です。

不当解雇問題は和解交渉で解決することも可能

地位確認請求は裁判所に行いますが、不当解雇を解決する方法として「会社と話し合って解雇を撤回してもらう」ことも可能です。和解交渉は裁判所を通さずにできるため労働審判より早く解決することもよくあります。

そもそも、労働問題の多くは和解交渉によって解決していて労働審判中の合意も和解となりますし訴訟に持ち込まれた場合も判決が出る前に和解することが殆どです。

望ましい和解をするためには地位確認請求と同じく証拠をしっかりと集めて交渉力の強い弁護士を立てることが求められます。交渉結果によっては和解金を企業からもらえます。

和解と失業保険について

和解によって会社が解雇を撤回 した場合、解雇はなかったことになります。ここで問題になるのが失業保険の仮給付です。不当解雇で争っている時は労働者の生活を守るために失業保険が仮として給付されますが、解雇が取りやめられた場合は返還しなければいけません。

裁判や労働審判で労働者の地位が確認された場合は全額返しますが和解の場合は和解金と引き換えに退職を選ぶこともあります。この場合は不当解雇された日から和解契約によって退職と決めた日までの失業保険を返還します。

不当解雇で会社を辞めたくないなら、まず弁護士に相談を

不当解雇は労働者の生活を脅かし、精神的に大きなダメージを与えます。解雇権の乱用は絶対に認められません。不当解雇でやめたくないなら弁護士に相談しましょう。優れた弁護士なら解雇が無効になるために動いてくれることは当然としてできるだけ早く不当解雇の問題が解決できるように配慮してくれます。和解、労働審判、訴訟の中で最も適切な手段を選んでくださいね。

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