会社から雇い止めの通告を受けたら|労働者が知っておくべき対処方法

2018年1月23日7,331 view

雇い止め

2008年に起きたリーマンショックをきっかけに、非正規社員の雇い止めが全国的に横行しました。業務内容が正社員と変わらない、契約が複数回更新されている、雇用継続を期待できる上司からの発言がある等の場合は、雇い止めが無効になるケースが多く見られます。雇い止めの通告を受けたときには、弁護士の力も借りて対応することが大切です。

雇い止めとは有機雇用契約の更新を止められること

2008年9月に起きたリーマンショックをきっかけに、世界的に金融危機が発生したことはまだ記憶に新しい人も多いのではないでしょうか。日本もそのあおりを受け、当時有期雇用で働いていた契約社員や派遣社員の多くが強制的に契約を終了させられる「派遣切り」が日本中で横行しました。その派遣切りと同様に社会問題となったのが、「雇い止め」です。

雇い止めにも厳格なルールがある

雇い止めとは、有期雇用契約の満了時に更新を打ち切られることを言います。リーマンショック後、派遣切りだけでなく雇い止めも横行したことから、厚生労働省は全国の事業者(企業)向けに「有期労働契約の締結、更新及び雇い止めに関する基準」を策定し、雇い止めに関するルールを厳格に設けました。では、その内容について具体的に見ていきましょう。

契約締結時の明示事項

会社と労働者が有期雇用契約を締結する際には、以下の内容を雇用契約書に明確に記載することが必要です。

①契約更新の有無

「自動的に更新する」「更新があり得る」「契約の更新はしない」等

②更新に関する判断基準

「労働者の能力により判断」「契約期間満了時の業務量により判断」等

雇い止めの予告

会社は、以下のいずれかの条件にあてはまる労働者について契約を更新しない場合は契約期間満了の30日以上前にその旨の予告をしなければなりません。

  • 有期労働契約が3回以上更新されている
  • 1年未満の契約期間の労働契約が(反復)更新され、最初に労働契約を締結してから通算1年以上経過する場合
  • 1年を超える有期労働契約を締結している

雇い止めの理由の明示

労働者が雇い止めの理由について証明書を請求した場合、会社側はすみやかにこれを発行することが求められています。雇い止めの理由は、「事業縮小のため」「担当していた業務が終了したため」「業務遂行能力が十分でないと認められる」等、「契約期間の満了」とは別の理由にすることが必要とされています。

④契約期間についての配慮

労働者が有期雇用契約を1回以上更新し、かつ1年を超えて雇用されている場合は、契約の実態や希望に応じて、契約期間をできるだけ長くしてもらうことができます。ただし、契約期間の上限は3年(一定の条件を満たす場合は5年)となっているため注意しましょう。

雇い止めに関する判例の傾向

雇い止めについても、解雇と同様に労働審判や訴訟で争われるケースが多くなっており、裁判例も積み重ねられてきました。雇い止めに関する判例の傾向を見ると、以下の4つに大別できることがわかっています。

純粋有期契約タイプ

契約上の業務内容や地位が臨時的なもの、当事者が有期契約であることを認識している、更新手続きが厳格に行われている、同じ立場の労働者で雇い止めの例が多くある等の事情がある場合は、原則通り契約期間の満了で雇用契約関係も終了すると考えられます。

亜細亜大学事件(東京地裁 昭60(ワ)5740号 昭63・11・25判決)

亜細亜大学で非常勤講師として勤務し、過去に20回にわたり有期雇用契約を更新してきた原告に対して、大学側がそれ以降、雇用契約が終了したとして原告の就労を拒否しました。裁判所は、原告と大学側との結びつきが専任教員に比べて薄く、雇用契約が1年契約であることを原告が認識していたことを受けて、「契約が20回更新されても期間の定めのないものに転化したとは認められない」として大学側の雇い止めを認めました。

②実質無期契約タイプ

業務内容が正社員の業務内容と差異がない上に、実質的には契約更新手続きが形骸化されており、多くの契約社員や派遣社員等が何度も契約を更新して継続雇用されている実態があれば、実質的に期間の定めのない契約と何ら変わりないと一般的には考えられています。

東芝柳町工場事件(最高裁第一小法廷 昭45(オ)1175号 昭49・7・22判決)

電気機器メーカーが臨時工として雇い入れた従業員に対し、労働契約を5回ないし23回更新した後、期間満了として雇い止めをした事件がありました。裁判所は、「業務内容が本工と差異がなく、契約満了の都度更新手続きをとっていたわけではないため、長期間にわたり継続雇用されている実態があれば、雇い止めは解雇と同じと考えるべきだ」と述べました。

③期待保護(反復更新)タイプ

過去に雇い止めをされた労働者がいるものの、実質的に業務内容が恒常的なものであり、労働契約が何度も更新されている場合は、労働者が継続雇用を期待できるものとして保護されるべきと考えられています。

日立メディコ事件(最高裁第一小法廷 昭56(オ)225号 昭61・12・4判決)

工場の人員を削減するために、他部門への配置転換や希望退職者の募集も行わず、臨時従業員を全員雇い止めにした事件がありました。この事件で、裁判所は「業務内容が臨時的なものではなく、雇用関係がある程度継続することが期待されており、5回にわたり契約が更新されていることから解雇に関する法理が類推される」との解釈を述べました。

④期待保護(継続特約)タイプ

労働契約を締結した当初から継続雇用への合理的期待が生じていると認められる場合は、雇い止めは許されないと考えられています。

福岡大和倉庫事件(福岡地裁昭62(ワ)3383号 平2・12・12判決 )

ある会社の下請会社で臨時従業員として雇用された原告が、下請会社に代わり作業を請け負うことになったときにそのまま被告会社でも勤務することになりました。その際、被告会社と労働組合との間で「契約更新を前提とする」旨の取り決めがなされたにも関わらず、被告会社の責任責任者が雇い止めを宣言します。裁判所は、「契約を終了させるやむを得ない事情は存在せず、契約期間が満了したことを理由とする雇い止めは許されない」と述べました。

雇い止めの通知を受けたときの対策方法

もし、契約社員や派遣社員として働いているときに、会社側が急に「契約の更新はしない」と通知してきたら動揺してしまうのではないでしょうか。過去に複数回契約更新を繰り返してきた場合は、なおさら青天の霹靂のように思う方も多いと考えられます。

労働者が確認すべきこと

そういうときは、まず雇用契約書の内容を今一度確認しましょう。また、自分が行ってきた業務内容や、会社の上司などの契約更新や雇用継続に関する発言についても思い返してみることが大切です。

有期雇用契約の更新の有無・条件について

雇用契約締結時に交わした雇用契約書の内容を見てみましょう。そもそも有期雇用であるかどうか、契約はどれくらいの期間で何回更新されたか、契約更新の際に所定の手続きがされてたかなどを調べることが第一です。それと併せて、契約更新の有無や契約更新の基準についても確認しましょう。

有期雇用契約の終了について

雇い止めを通告された場合、契約期間満了日のどれくらい前に言われたか、退職届の提出を求められたか、実際に提出したかについて思い返してみましょう。また、働いていて上司に契約更新や継続雇用を期待させるような発言があったかどうか、実質的には期間の定めのない契約と変わらないのではと思ったことがあるかどうかについても考えることが必要です。

行っていた業務について

また、行っていた業務が一時的なものか継続的なものか、プロジェクトのように期間が限定されているものか、業務内容や契約期間を誰が決定していたかなどについても振り返ってみることが大切になります。

労働者が行うべきこと

確認すべきことを確認し終えたら、次は雇い止めに対して行動を起こしましょう。雇い止めが無効であることを示す証拠を集めるほか、会社に対して何らかの意思表示を行うことも大切です。自力で行うことが難しい場合は弁護士の力も借りましょう。

①雇い止めが無効である証拠を入手・保管

労働契約を締結した際に受け取った雇用契約書や労働条件明示書を探して手元に保管しておきましょう。次に、有期雇用契約者に適用される就業規則があれば入手しておきます。有期雇用契約者を対象にしたものがなければ、正社員用のものが適用される可能性もあるので、入手しておくことが大切です。

雇い止めに関する異議申し立て

また、会社に「雇い止めは受け入れられない」との意思を示しておくことも重要です。その旨を会社に提出する書類に記載するほか、別の書面にも異議の内容をしたためた上で、内容証明郵便で会社に送付しましょう。

5年経てば無期契約にできる

労働契約法の改正により、2013年4月1日以降に労働契約を結び、何度も更新して通算5年を超えたときは、労働者の申し込みにより無期契約に転換できるようになりました。会社側はこれを拒むことができないとされています。ただし、その5年間の中で6か月以上の契約がない「空白期間」がないことが条件となっています。

雇い止めを通告された場合は弁護士に相談を

「有期雇用だけど何度も更新されていたから次も更新されると思っていたのに、いきなり更新を打ち切られた」などの場合には、すぐに労働問題に詳しい弁護士に相談しましょう。弁護士であれば、どういうケースで雇い止めが無効になるかどうかを熟知しているため、会社側の対応が不当なものであるかどうかを判断してくれるでしょう。雇い止めが無効となりうる場合は、弁護士に協力してもらって復職できるように会社に働きかけることが大切です。

  • シェア
  • ツイート
  • 追加
弁護士に相談したら、未払い残業代が請求できた
残業代を請求することができるのはどんな人?
1日8時間以上、週40時間以上働いている人
次の項目に当てはまる人は、すぐに弁護士に相談
  • サービス残業・休日出勤が多い
  • 年俸制・歩合制だから、残業代がない
  • 管理職だから残業代が出ない
  • 前職で残業していたが、残業代が出なかった
未払い残業代請求に強い弁護士を探す
残業代請求に不安を感じる方へ

一緒に読まれている記事

悩んだらお気軽に相談を!携帯からも通話無料

今すぐ弁護士を探す