不当解雇か有効な解雇かを判断する方法|会社から解雇通知を受けたとき

2018年1月23日1,601 view

判断

裁判所では、従業員の身分を守るため、会社が従業員を解雇できる要件を厳格に定めています。そのため、従業員の能力や勤務態度に問題がある場合でも、改善の見込みがないと思われるケースを除き、会社は従業員を簡単には解雇できません。過去の判例でも、よほど従業員のほうに非がなければ、解雇を無効とする判決が多くなっています。

不当解雇と有効な解雇の境目は?

解雇

法律上、解雇は「客観的に合理的な理由がなく、社会通念上相当であると認められない場合は無効」とされています。裁判所の考える「合理性のある解雇」にはかなり厳格な要件が求められているため、一見解雇に正当性がありそうな状況でも、裁判では認められないケースが多くなっています。

4つの種類の解雇は有効?無効?

解雇には、「普通解雇」「整理解雇」「懲戒解雇」「試用期間中の解雇」の4つの種類があります。それぞれの解雇が不当解雇にあたるのかそうでないのかについては、個別具体的な事案により判断されるのが一般的です。また、厳密には解雇にはあたりませんが、「内定取り消し」が不当解雇にあたるか否かという問題もあります。

  1. 普通解雇
  2. 整理解雇
  3. 懲戒解雇
  4. 試用期間中の解雇
  5. 内定取り消し

①普通解雇

一般的に、「解雇」とは「普通解雇」のことを指します。普通解雇は、従業員の成績不振や能力不足、適格性の欠如などを理由に、会社と従業員とで結んだ雇用契約を終わらせるためのものです。

②整理解雇

整理解雇とは、会社の業績が悪化し、人員削減をしなければ会社が存続できないようなときに行われる方法です。過去の裁判例から、整理解雇を行うには以下の要件を満たすことが必要と考えられています。(※1)

  • 人員削減の必要性があること
  • 会社が解雇を回避するための努力をしたこと
  • 人選が合理的であること(恣意的でないこと)
  • 手続が相当であること(労働組合との間で協議・説明義務があるときはそれを実施すること)

③懲戒解雇

懲戒解雇とは、従業員のある違反行為に対して制裁を加えるといった意味で従業員を辞めさせる方法です。懲戒解雇を行うためには、あらかじめどういった行為が懲戒解雇の対象となるのかについての規定を就業規則に盛り込んでおく必要があります。従業員が何かをしてしまってから、就業規則に懲戒解雇に関する規定を設けることはできません。

④試用期間中の解雇

試用期間中の解雇に限っては、比較的解雇が認められやすくなっています。しかし、使用期間中は会社側が雇用契約を解除できる権利を留保しているものの、従業員に明らかに非があるような場合を除き、会社側が使用期間中の従業員を自由に解雇できるわけではありません。

⑤内定取り消し

就職活動で内定を勝ち取った学生に対する「内定取り消し」に関しても、その学生が内定を得た時点で使用期間中の従業員と同等の立場になったと考えるべきだと解釈されています。そのため、内定取り消しは、事実上解雇と同じ扱いとなり、客観的に見て合理的な理由がなければできないと考えられています。

従業員自身の問題で解雇する場合

従業員

近年は、素行があまり良くない社員を「問題社員」と位置づけ、なんとかやめさせたい」と考える経営者が増えています。そのため、会社側はいろいろな手口を使って、双方の合意による合意退職をさせる流れに持っていこうとすることが横行しています。

従業員自身のことで解雇するのは不当解雇?

従業員の行動や態度に問題があるからと言って、会社は従業員を辞めさせることはできるのでしょうか。ここでは、以下の個別具体的なケースについて、解雇が有効であるか不当解雇にあたるかを考えてみましょう。

成績不振・能力不足

なかなか成績が出せない従業員を、単に能力不足だからとの理由だけで解雇することは違法であると考えられています。能力不足を理由に従業員を解雇できるのは、当該従業員の能力不足のために会社自体の業績に大きく支障が出ており、配置転換や研修、教育訓練を行っても能力の向上が認められない場合のみに限られています。

遅刻、欠勤

従業員が数回程度遅刻したり休んだりするだけでは、会社側が正当に解雇できるとは言えません。遅刻、欠勤を理由に解雇する場合は、従業員が毎週のように遅刻・欠勤をしており、上司が再三注意をしても改善が見られないことを会社側が示すことが必要です。

ケガ・病気で働けない

従業員が業務を行う中でケガや病気をして療養している場合は、会社は解雇することができません。また、従業員がケガや病気のために今の仕事ができなくなっても、配置転換や他の事業所に異動すればできる仕事がある場合には、解雇が認められなくなっています。

労働組合に加入した

従業員が会社から不当な扱いを受けたことなどをきっかけに労働組合に加入した場合、そのことを理由に会社がその従業員を解雇することは、法律上「不当労働行為」にあたるとして禁止されています。

妊娠・出産

従業員が妊娠や出産のために産前産後休業・育児休暇を取ったことを理由に、会社がその従業員を解雇することはできません。労働基準法だけでなく、男女雇用機会均等法でも、結婚・妊娠・出産を理由とする解雇は制限されています。

横領などの罪を犯した

従業員が会社のお金を使い込んだ、横領したなどの場合、懲戒解雇が認められる可能性は非常に高くなります。横領は、会社側の信頼を大きく裏切る行為だからです。そのため、たとえ横領したのが1万円などの少額でも、解雇が有効となるケースは多いと言えます。

不当解雇とされた事例・解雇が有効とされた事例

会社から解雇を突き付けられた従業員から公的機関への相談が増えるにつれ、労働審判や裁判で解雇の無効を争うケースも増加しています。過去に解雇の無効(不当解雇)が争われた事例で、解雇が無効(不当解雇)とされたケースと有効とされたケースについて、それぞれ見ていきましょう。

不当解雇・解雇が無効とされたケース

不当解雇や解雇の無効が争われる裁判では、よほど従業員に落ち度がない限り、「会社側の解雇権の濫用であり、解雇は無効である」との判決が下される傾向があります。(※2)

高知放送事件(最二小判昭52.1.31 労判268-17)

高知放送のアナウンサーが2週間の間に2度寝過ごし、ラジオのニュースが定刻通りに行えず放送が5分間または10分間中断されたとして解雇された事例があります。裁判所は、「寝過ごしは悪意・故意によるものではなく、また当該アナウンサーの日頃の勤務成績も悪くないことから、解雇はいささか過酷である」として、解雇を無効としました。

三井倉庫港運事件(最一小判H01.12.14 労判552-6)

会社がユニオンショップ協定を結んでいる労働組合と、「当該労働組合に加入しないあるいは脱退した組合員を解雇する」との取り決めを行っていたところ、ある従業員がその労働組合を脱退して別の労働組合に加入したことを理由に解雇されました。裁判所は、「当該組合から脱退・除名され他の組合に加入した者について会社が解雇義務を定めるのは公序良俗に反するため無効である」と結論づけました。

解雇が有効とされたケース

逆に、従業員の非が認められて解雇が有効とされたケースもあります。以下のケースではどのようないきさつがあって、解雇が有効となったのかについて見ていきましょう。

東京電力事件(東京地判H10.09.22 労判752-31)

慢性腎不全で生体腎移植手術を受けた嘱託社員が、体調がすぐれず入退院を繰り返し、ほとんど出社できない状態となったため、会社側が解雇予告を行ったとする事例があります。裁判所は、このケースが会社の就業規則の規定で定められている「心身虚弱のため業務に耐えられない場合」に該当し、解雇理由として相当であると認めました。(※2)

日本ストレージ・テクノロジー事件(東京地判H18.3.14 労経速1934号)

物流専門職として採用された従業員が、商品納入に欠品を生じさせたり、発注確認や書類の提出を遅延させたりしており、そのことで顧客や他部門の社員から会社に多くの苦情が寄せられ、他部門に異動しても勤務態度を改めなかったため解雇された事例がありました。裁判所は、当該従業員が「業務の遂行に必要な能力を著しく欠」いているとして、「解雇は、客観的に合理的な理由が存在し、社会通念上相当」であるとの判決を下しました。

「不当解雇かも?」と思ったら弁護士に相談を

近年の不況のあおりを受けて、従業員を突然解雇したり、退職勧奨をして合法的にやめさせようとするケースが後を絶ちません。解雇を通知されたら、解雇通知書や解雇理由証明書を必ず入手し、今後の対応の仕方についてすみやかに弁護士に相談することをおすすめします。「不当解雇かも?」と思ったら、泣き寝入りせずに弁護士とともに会社と争う姿勢を示すことが解決への第一歩です。

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