試用期間中に解雇された!?解雇するには正当な理由が必要

2018年1月23日1,697 view

解雇通知書

企業が労働者を採用してからその人物の勤務態度や能力、適性等を見極めるために本採用と区切りをつけて労働させる期間を「試用期間」と言います。企業と労働者、互いに深くを知らない状態での勤務となる試用期間中は何かとトラブルが起きがちですが、今回はその中でも誤認する人が多い、試用期間中の解雇について解説します。

試用期間中でも法律によって保護されている

試用期間

採用はされたもの、しばらくは試用期間と告げられる…そんな経験をお持ちの人も多いでしょう。この“試用”の意味するところを“試しに働かせてみて、良ければ本採用、悪ければ解雇”と思っている人は多いのではないでしょうか?

実はそうではないのです。

試用期間中でも自由に解雇はできない

アルバイトにしても正社員にしても、働いたことがある人なら「試用期間」という言葉を聞いたことがある人が多いのではないでしょうか。しかし、その定義や法律上の区分を詳しく知っている人は少ないでしょう。そこでまずは、試用期間について法的観点から詳しく解説していきます。

試用期間は「お試し期間」ではない

試用期間とは、会社の従業員として相応しいかどうかを見極めるための期間のことです。試用期間を設けることは労働基準法で認められています(第12条)。確かに使用期間は本採用後と比較して解雇の条件は緩いですが「お試し期間」の様なものではなく、使用人が労働者を自由に解雇できる訳ではないのです。試用期間であっても法律上、労働契約は期間の定めのない一般従業員としてのそれと同等の内容が成立しています。

試用期間中は労働契約の“解約権”が留保

試用期間中は、会社の従業員として相応しくないことを理由とした労働契約の“解約権”を使用者が持っている状態です。つまり「勤務態度が非常に悪く、とても社員として雇い続けることはできない」あるいは「看護学校を卒業したと言うから採用したが、重大な医療過誤を起こした」等の目に余る理由があれば解雇できる権利が試用期間中には使用者に認められています。

試用期間中でも簡単には解雇できない

そうは言ってもこの解約権は無制限に行使できるわけではありません。気に入らないから、あるいは少々仕事の見込みが悪いから等の安易な理由できるものではなく、厳しい要件を満たした場合にのみその有効性が認められるとされているのです。

試用期間中でも解雇するには高いハードルがある

そもそも一旦労働契約を結べば、“労使関係”が成り立ちますが、労働を通して賃金を与える者と収入を得る者とでは摩擦が生じます。労働者は雇われる側になるので、どうしても立場が弱くなってしまうのです。特に、右も左も分からない試用期間中なら尚更です。そんな中で使用者の“気まぐれ”による解雇がまかり通ることがないように、一定の条件を満たさなければ試用期間中でも解雇は認められないことが労働基準法に規定されています。

解雇する場合予告も必要

労働基準法労働基準法第20条に

使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少なくとも30日前にその予告をしなければならない。30日前に予告をしない使用者は、30日分以上の平均賃金を支払わなければならない。但し、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合又は労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合においては、この限りでない。

との規定があります。

これは試用期間中の労働者にも当てはまり、雇い入れから14日を経過した場合、30日前までに解雇を通知しなければならないのです。従って試用期間の終了と共に解雇することも認められません。なお、雇い入れから14日以内の解雇では通知も解雇手当も必要ありません。

試用期間中の解雇が認められるケース

解雇

では解雇が認められるケースは、どういったケースなのでしょうか。

前提として解雇が有効となるには

法律で定められている解雇禁止事由に該当しないこと
従業員に解雇予告を30日前にするか、これに代わる解雇予告手当を支払うこと
労働契約書、就業規則、労使協約に解雇に関する機影があればそれに従っていること
解雇事由に合理性、相当性があること

の4つを全て満たしている必要があります。

ここでは使用者が試用期間中にある労働者を解雇できる、つまり労働者の本採用を拒否できるケースを解説していきます。

労働者側都合の場合

試用期間中の労働者の解雇が認められる条件は通常の労働者の場合より若干緩いですが、基本的にはこの4要件に則している必要があります。まずは正当な解雇の内労働者側に問題があるケースを具体的に見ていきましょう。

業務に支障が出ることが予想されるケース

出退勤状況の不良、勤務成績、態度不良、性格の業務不適格性、上司の指示や命令に従わない、協調性がない、健康状態の不良、犯罪行ためを行った場合等です。こうしたケースでは、一般従業員より程度が軽微でも解雇が認められることがあります。

信頼関係が構築・維持できないケース

入社試験や面接等選考時の適法な検査、質問に対して事実を隠蔽したり、虚偽申告をした場合がこれに当たります。よく問題に上がるのが経歴・学歴詐称です。少しの詐称ならば本採用を拒否されることは基本的にはありませんが経歴や学歴が採用の決め手となった場合等では解雇されても文句は言えません。

会社都合による場合

いくら労働者の勤務成績や態度が良好で協調性もあり、本採用するのに申し分ないくらいの状況であったとしても、会社側の事情でやむを得ず解雇されるケースがあります。

一般社員に普通解雇事由が発生した場合

労働者に非がなくとも、会社側の事情で解雇されることがあります。それは試用期間中に一般労働者に整理解雇等の普通解雇事由が生じたケースです。

整理解雇つまりリストラが実行されるには「経営上の必要性があること」「倒産を回避するために他の手段を尽くしたこと」「整理解雇対象者の選定が、合理的かつ公平に行われること」「労働組合または社員代表者との協議を尽くしたこと」の条件を全て満たしている必要がありますが、この場合、アルバイトや非正規従業員が優先的に解雇されるべきとされています。従ってこの場合、試用期間中の労働者も一般社員と同様に、若しくは優先的に解雇されます。

天災事変その他やむを得ない事情が発生した場合

地震や洪水被害等、天災事変やその他やむを得ない事情のために事業の継続が不可能となった場合の解雇も認められます。この場合は解雇予告や解雇予告手当がなくとも違法ではありません。

試用期間中の労務について知っておきたいこと

解説

ここまでの解説で試用期間中でも、大半のことは一般従業員と同じく保護されることが分かったと思います。しかし少なからず立場の違いがあるのは事実で、それゆえに発生するトラブルも存在するのです。そこでここでは試用期間中に注意すべきことや知っておきたいことを紹介します。

試用期間中の不当な扱い

試用期間中は労働者としての権利もおざなりにされがちで、解雇以外にも不当な扱いを受けることが多いと言えます。注意しましょう。

パワハラ、セクハラ等

試用期間中にある労働者は立場上、どうしても正規従業員の言うことには逆らえない、との思いに捉われがちです。そうした弱みに付け込んでセクシュアルハラスメントやパワーハラスメント等をしてくる従業員は、存在します。被害に遭った場合、法的措置をとることも可能です。

曖昧な文言で解雇された場合は不当解雇を疑おう

試用期間中の解雇理由として最も多いのが、使用者から「仕事に向いていない」「他の職場で働いた方が君のためにもなる」等と抽象的に告げられ解雇されるケースです。この様に言葉を濁された場合、不当解雇である可能性があるので、不当性を争う場合は弁護士に相談するなどしましょう。もっとも不当解雇をしてくるような事業所に復職しても先は見えているので、争うにしても解雇の撤回ではなく賠賞金を請求して、次の働き先を見つけることに力を注ぐのが賢明でしょう。

正当な賃金が支払われない

試用期間の賃金は、本採用後と差を付けることが認められています。しかし試用期間中であることを理由に残業代が支払われなかったり賃金が未払いである場合、あるいは最低賃金を下回っている場合は違法なので、然るべき対応をとりましょう。

試用期間を延長される

従業員として相応しいかどうかを判断し兼ねるとして試用期間を延長されるケースが稀にあります。しかし一定の要件を満たさなければ延長は認められません。その期間についても制限がかけられています。

一定の条件下でのみ延長は認められる

始めに契約した試用期間を会社の独断で延長させることは基本的にはできません。ただ、試用期間を延長する可能性がある旨が就業規則・労働契約書に記載されていて、なお且つ延長する合理的な理由がある場合には、概ね1年を限度に試用期間の延長が認められています。これらの条件全てに当てはまらない場合、違法なので拒否することができます。

労働者としての権利を主張することが大切

試用期間中であってもほとんどのことは一般従業員と同様の法的保護を受けられます。理不尽な扱いを受けた時あまり“下手”に出てばかりいると、本採用後の処遇も危ぶまれます。労働者としての権利をしっかりと把握し、毅然とした態度で主張することが大切です。

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