労災は弁護士に相談を!労働災害の解決で弁護士にできること

2020年6月19日421 view

労働災害

業務中に事故にあった場合や通勤途中で事故に遭った場合、労災を申請することは可能です。しかし、労働者だけでは労災申請が難しいケースもあるため、早めに弁護士に相談すべきケースも存在します。そこで今回は、労災の内容、弁護士依頼のメリット、弁護士に相談すべきケース、労災を弁護士に相談する際にかかる費用についてご説明します。

労災(労働災害)は弁護士に相談しよう

業務量が多すぎて体調を壊し会社に行けなくなってしまったら、労災の申請を検討しましょう。まずは、労災の意味や具体的内容についてご説明します。

労働災害とは

「休日出勤が多く休みが取れない」、「毎日朝早くから遅くまで仕事をしている」という状況の場合、体調や精神を壊し、健康な状態で仕事に従事することができなくなってしまうことがあります。これを法律上は、労働災害(労災)といいます。

具体的には、労働者が仕事に従事したことにより疾病や負傷、後遺障害、死亡などの結果が発生する場合を指します。労災を申請すると聞くと、工場で作業中に怪我をしてしまったというような肉体労働での労務を想像される方が多いのですが、実際上事務仕事であったとしても労災を申請することは可能です。

労働過多やパワハラ・セクハラなどによる精神病、会社内のいじめなどによる自殺も、労働災害として認定されます。

このように「労働災害」とは、業務中の怪我や疾病などを指します。

労災における5つの会社の責任

業務を起因として身体の怪我、精神病、後遺障害などが起きると、従業員を管理する会社としてはさまざまな責任を追うことになります。例えば、以下のような責任です。

  • 労働関係法違反による刑事責任労働安全衛生法21条1項、119条1項)
  • 業務上過失致死傷罪が成立する場合の、刑法による罰則(刑法第 211 条)
  • 安全配慮義務違反に基づく民事での損害賠償請求(民法415条、709条、715条など)
  • 使用停止・作業停止などの行政処分
  • 補償上の責任

以下で、具体的にどのような責任が発生するのかを見ていきましょう。

労働関係法違反による刑事責任(刑法第 211 条)

労災に関しては、直接的には労働基準法や労働安全衛生法などの労働関連法によって規律されています。法律の規定に反した場合には、懲役または罰金の可能性もあります。例えば、労働安全衛生法21条の危険防止措置に反した場合は、「6ヶ月以下の懲役又は50万円以下の罰金」が処される可能性があります。そのため、違反が重大である場合は、労働基準監督官によって捜査され、起訴されるでしょう。

業務上過失致傷は成立する場合の、刑法による罰則(労働安全衛生法21条1項、119条1項

業務上必要な注意を怠って、労働者を負傷または死亡させてしまった場合、業務上過失致死傷罪に問われる可能性もあります。この場合、「5年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金」(119条1項)が科せられる可能性があります。

安全配慮義務違反に基づく民事での損害賠償請求(民法415条、709条、715条など)

治療費などの基本的な補償に関しては、労災補償においてカバーされますがこれで全ての損害を補償できないケースも多いといえます。この場合、労働者や遺族から安全配慮義務違反に基づく損害賠償請求が行われることがあります。労働者を労災から守るべき義務があったにもかかわらず、それがをしなかった行為に債務不履行責任(民法415条)が認められるとする主張です。

機械設備の使用停止・作業停止などの行政処分

労働安全衛生法違反がある場合には、機械設備等の使用停止命令や「労災発生の急迫した危険かつ緊急の必要があるとき」(労働安全衛生法98条文、99条)として、作業停止命令などの行政処分が下るケースもあります。

補償上の責任

労働者が労災に遭った場合、労働基準法や労働災害補償保険法では、当該労働者並びに家族が生活に困窮しないよう治療の補償と生活補償が定められています。労働関連法では、労災にあった労働者に対し、さまざまな補償が規定されているのです。

業務災害と通勤災害

労災として認定されるためには、次のどちらかに当てはまるケースでなければいけません。具体的には、「業務災害」か「通勤災害」のどちらかです。

業務災害

「業務災害」とは、業務中における負傷や死亡などを指します。業務上と言えるかどうかが問題となりますが、業務と認められるためには業務遂行性と業務起因性が必要です。

業務遂行性とは、会社の支配管理下にある中での負傷・疾病等であることを指し、業務起因性とは、事業主の支配下にあることにより危険が現実化したことが経験則上認められることを指します。

通勤災害

「通勤災害」とは、文字通り通勤中の事故や怪我などを指します。どこまでの範囲が通勤といえるのかが問題となりますが、家から仕事場までの移動、仕事場から仕事場への移動、単身赴任先から帰省先の家への移動などは通勤と認められています。

もっとも、通勤途中であっても、仕事とは関係のない場所に行くと通勤災害とは認められない可能性があります。仕事に行く途中にコンビニに寄ることなど、日常的に必要な短時間の寄り道は問題ありませんが、飲み会の場所に移動するなどは適用されない場合もあります。

このように、労災には2つの種類があり、どちらかに認定されない限り補償を受け取ることはできません。

労災について弁護士に依頼するメリット

労災を申請するにあたり「会社との関係を壊すのが怖い」という方も多いのではないでしょうか。しかし、実際の被害が出ているのに、労災を請求しないと労働者の負担が大きすぎます。

労災を申請すれば、労働者は多くのメリットを受け取れるのです。以下、メリットの具体的な内容をご説明します。

  • 適正な額の損害賠償金が受け取れる
  • 後遺障害等級認定手続きを任せられる
  • 労災認定の証拠を集められる
  • 会社に解雇されない

適正な額の損害賠償金が受け取れる

できる限りコストを下げるためにご自身で労災に関わる損害賠償請求を行おうと考える方もいらっしゃいます。しかし、労災は内容なども多岐にわたり、適切な知識がないと、適正な損害賠償金を受け取れない可能性もあります。

労災の損害賠償金と一言でいいますが、中にはさまざまな項目があります。治療費や慰謝料などの代表的な損害だけでなく、通院交通費、休業損害、逸失利益などがあるのです。後遺障害が残るほどの重篤な結果が発生した場合には、装具・器具購入費、自宅改造費なども請求できます。過労死による自殺の場合は、葬儀費用も請求できます。

これらすべての損害に対し、適切な金額を労働者やご家族だけで割り出すのは困難です。弁護士に任せれば、これらの適切な金額を割り出し会社に請求することができるのです。労働者からの請求は会社がまともに取り合わないケースも多いですが、弁護士を挟めばそのような問題も起きにくいでしょう。

後遺障害等級認定手続きを任せられる

労災による疾病、怪我が重いケースの場合、後遺症が残ってしまうケースも少なくありません。後遺症が残ってしまった場合、後遺障害慰謝料というものがプラスで請求できるのですが、会社に対し直接請求したところで認めてもらえることはありません。というのも、労災により後遺症が発生した場合には、後遺障害等級認定手続きにより、等級を獲得しなければ後遺慰謝料を請求できないためです。

後遺障害等級認定では、労災に起因する疾病や怪我が完治しなかった場合に、その障害に対し等級を付与することで後遺障害に対する損害賠償請求を認めるものです。後遺障害等級認定では、重い順に1級から14等級までの等級が規定されていますが、これを獲得するにはご自身あるいは弁護士により申請をしなければいけません。

申請手続きには、後遺障害に対する知識はもちろん、医学的知識、法的知識が必要になりこれが不十分の場合は適切な等級が獲得できず損害賠償額が下がってしまうという問題が発生します。

後遺障害等級認定手続きに慣れた弁護士に依頼すれば、このような問題は起きず適正な等級獲得が期待できます。

労災認定の証拠を集められる

労災として認定されるためには、業務中の事故など起因する怪我や疾病として認めてもらわなければいけません。これを証明するためには、怪我や疾病の診断書だけでは足りません。怪我や疾病と業務中の事故との因果関係を証明するための証拠が必要となるのです。

工場勤務などで、機械によって指を切断した場合などは照明も比較的簡単ですが、うつ病などの精神病や脳疾患などの場合は、他に要因があるのではないかと疑われてしまうことも多く、証明は難しくなります。

会社が協力的でない場合は、特に難しいケースが多いでしょう。弁護士がいれば、証拠の集め方などに対し適切な助言をすることもできるため、迅速に証拠を集められ労働者にとって有利な結果となりやすいといえるのです。

会社に解雇されない

弁護士に依頼すれば、会社との示談交渉も全て任せられます。労働者は雇用主に対して弱い立場にあるため、強い主張ができないことも多いでしょう。特に、解雇を恐れて労災認定を諦めてしまうケースも存在します。

弁護士に依頼すれば、労災申請時に解雇されないよう手を尽くします。すでに解雇されてしまった場合でも、「不当解雇」を訴えることができるのです。労災認定を得れば、療養で会社を休んでいる間も会社は当該労働者を解雇することはできません。

弁護士に任せることで、不当な取り扱いや解雇から守ってくれるというメリットもあるのです。

このように、弁護士に依頼することにはさまざまなメリットがあります。労災を申請する際は、プロのサポートを得る方が安心して労災申請や会社に対する損害賠償請求を進められるでしょう。

労災を弁護士に相談すべきケース

「自分のケースでは労災は認めてもらえるの?」など、不安や疑問をいただいている方は労災を弁護士に相談すべきか迷っているという方も多いでしょう。そこで、労災を弁護士に相談すべきケースについてご説明いたします。

労災を会社に認めてもらえない場合

まず、労災を弁護士に相談すべき事例としてあげるべきなのが、「会社に労災を認めてもらえない」というケースです。

会社によっては、労災申請に否定的な会社も少なからず存在します。ひどいケースでは、協力しないだけではなく、労災自体がなかったかのように振る舞う「労災隠し」を行う企業もあるのです。労災によって企業が受けるリスクをできるだけ回避したいという気持ちからこのような事例が発生しています。

このようなケースの場合は、労働者一人で頑張っても労災申請が進まず困難といえます。会社が否定的な態度を取ったら、迷わず弁護士に相談するようにしましょう。

労災による後遺障害等級認定に納得できない場合

後遺障害が残った場合、ご自身で後遺障害等級認定手続きを行う方もいらっしゃるでしょう。ご自身で手続きを行なった場合、後遺障害等級認定にて希望等級を獲得できなかったというケースがあります。

この場合、諦めてしまう方も多いのですが、弁護士に相談すれば希望する等級を獲得できる場合があります。付与された等級に納得できない場合は、審査請求や裁判も可能であるためです。もちろん、ご自身でも審査請求をすることは可能ですが、同じような内容を提出しても結果は変わりません。異なる結果を得たい場合には、専門家による徹底した資料収集が必要です。

後遺障害等級認定の場合、1等級変わるだけでも、数百万円変わることがあります。等級結果に納得できない場合には、弁護士に相談すべきです。

会社からの慰謝料、損害賠償金が少ない場合

労災を申請したいという意向を会社に伝えた当初から、会社が協力的であれば労働者としては有利といえます。しかし、会社は労働者に協力しつつも、会社に対する損害賠償額を低く済ませたいと考えているケースは少なくありません。協力的だったのに、会社に損害賠償請求をすると手のひらを返したように冷たくなってしまうケースもあります。

実際に、会社に安全配慮義務違反に基づく損害賠償を行ったとしても、反論によって低い額の請求で止まってしまうことがあるのです。企業側に弁護士がついているのが通常であるため、労働者だけでは十分な主張を行うことは難しいと言えます。

相手の提示する損害賠償額に納得できない場合は、労働者も弁護士に相談すべきです。労災では、補償が行き届かない部分について会社に賠償させることは可能です。

家族の過労死、過労自殺の場合

近年問題となり、増加していると言われているのが、過労死や過労死自殺の労災認定です。本人が亡くなっていることから、遺族が労災を申請することになります。

過労死や過労自殺の場合、業務に起因した死であることを証明しなければいけませんが、本人からの証言が得られず、家族も雇用関係にあったわけではないため、内部事情が詳しくわからず、証明が難しいケースといえます。

厚生労働省では、「業務による明らかな荷重負荷」があった場合に業務が死の原因だったと証明できるとしていますが、これだけではどれほどの負荷なのかを具体的に理解するのは難しいでしょう。

過去にあった事例では、長時間労働時間を証明するためにタイムカードが証拠として必要となりますが、会社でタイムカードでの管理が行われていなかったケースもあります。この場合、労働者が働いていた時間についてパソコンのログイン履歴などから証拠を集めるなどの、さらなる調査が必要となります。

ご遺族だけでは、これらの調査を行うことは非常に困難です。会社の業務が原因で家族が過労死、過労自殺した場合は、専門家である弁護士の力を借りてください。

労災を弁護士に依頼する場合の費用

弁護士に相談するにしても、費用が心配という方も多いでしょう。そこで最後に、労災を弁護士に相談する場合の費用についてわかりやすくご説明します。

労災の弁護士費用相場

労災を申請するにあたり、弁護士に相談したいが費用の相場がわからず不安になります。実際に依頼する弁護士や法律事務所によって費用は異なりますが、一定の相場というものも存在します。以下を参考にしてみてください。

  • 相談料 5000円〜(30分)
  • 着手金 10-30万円程度
  • 成功報酬 獲得金の10-15%程度
  • その他(日当、実費など)

相談料

相談料とは、弁護士に労災に関する問題を相談する際にかかる費用です。最近では、初回相談料0円という法律事務所も増えてきました。費用を押さえたい方や複数の法律事務所に相談してみたいという方は、相談料が低い事務所を選ぶのがおすすめです。

着手金

着手金とは、当該労災事件に弁護士が取り掛かるための費用です。依頼を決めて契約をしたら、最初にかかるお金です。着手金に関しては法律事務所によって費用が異なりますが、着手金が低いと成功報酬が高いなど、バランスをとっている事務所が多いといえます。そのため、全体でいくらかかるのかを考えることが大切です。

成功報酬

成功報酬とは、実際に労災が認定された場合や会社に対し損害賠償金を請求できた場合にかかる費用です。多くは、獲得できた損害賠償金に対し○%という基準を設けています。もっとも、法律事務所によっては、一律20万円などとしている場合もあります。

その他(日当、実費)

その他(日当、実費)のうち日当は、弁護士が裁判所や会社などに出張した場合にかかる費用です。書類などを相手方に送付するためにかかる郵便切手代や印紙代、交通費などが実費となります。これらの金額は変動しますが、事務所によっては一律日当3万円、実費1万円などを決まっているケースもあります。

弁護士費用に関する注意点

労災に関わる弁護士費用は、通常よりも少しややこしいケースがあります。というのも、会社に損害賠償請求にかかる費用、労災申請手続きにかかる費用、労働審判にかかる費用などが分けられていることも多いためです。特に、労災手続き自体にかかる費用、労働審判の場合にかかる費用には注意が必要です。

まず、会社に損害賠償請求をする場合と労災申請手続きでは、別で費用が発生する場合があります。損害賠償手続きに関しては先にご紹介したような、着手金、成功報酬金として費用がかかりますが、労災申請手続きん関しては、タイムチャージ制として申請手続きに費やした時間ごとにお金がかかる仕組みをとっている事務所もあります。

また、労働審判を依頼する場合には、これらとは別に着手金、成功報酬金がかかってくるケースもあります。着手金としては、20〜30万円程度、報酬金は獲得金額の15〜20%程度が多いでしょう。

勝訴すれば会社に弁護士費用が請求できる

弁護士費用に関して「負担が大きい」ことを理由に依頼を諦めようという方もいらっしゃるでしょう。しかし、弁護士費用は相手方の負担になる場合もあります。

例えば、会社に安全配慮義務違反などがあった場合は、雇用主に損害賠償請求することが可能ですが、会社が和解に応じなかった場合は裁判となります。裁判で勝訴が確定すれば、これを請求するためにかかった弁護士費用も会社に請求できるのです。安全配慮義務違反がなければ、裁判もなく、弁護士費用も発生しなかったという理由です。

このように、場合によっては相手が弁護士費用を負担するケースもあるため、弁護士費用に不安がある場合は、初回相談時にどれくらいの費用がかかるのか、弁護士費用負担が減少できる可能性があるのかについても聞いておくことが大切です。

労災(労働災害)を巡る会社との交渉・損害賠償請求は弁護士に相談を

労災について弁護士に相談すべきか迷う方は非常に多いです。ここでご説明したように、労働者だけでは対処できない問題も発生します。また受け取るべき損害賠償額で損をしてしまう結果は出来る限り避けるべきです。

適切な損害賠償額を請求するためにも、ぜひ弁護士に相談してください。会社からの不当な取り扱いなどに対しても、責任を取らせることができます。迷ったら、専門家に相談するのが正解です。

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