残業代が出ない・つかない場合の対処法~サービス残業は当たり前?

2020年6月19日48,087 view

残業する男性

弁護士に相談したら、未払い残業代が請求できた
残業代を請求することができるのはどんな人?
1日8時間以上、週40時間以上働いている人
次の項目に当てはまる人は、すぐに弁護士に相談
  • サービス残業・休日出勤が多い
  • 年俸制・歩合制だから、残業代がない
  • 管理職だから残業代が出ない
  • 前職で残業していたが、残業代が出なかった
未払い残業代請求に強い弁護士を探す

残業代なんて出ないもの、と思い込んでいませんか?

仕事が業務時間内に終わらない場合は、当然残業になります。しかし、残業した時間分の賃金を払わない会社が多いことが今、大きな社会問題となっています。「うちの会社では、残業代が出ないなんて当たり前。」そう思いながら働いている人は多いのではないでしょうか。

残業代を請求できる条件とは

会社ごとに決められた就業時間を超えて働いた場合、従業員であればだれでも残業代を請求することができます。特に週40時間以上働くと残業代が割増となることを覚えておきましょう。

就業時間を超えて働いていること

労働基準法によると、労働時間は「1日8時間以内」「週40時間以内」とされています。どの会社も、就業時間を設定するときはこの時間内に収めなければなりません。既定の就業時間を超えると「残業」となり、会社側は従業員に対して残業代を支払わなければならないことになっています。

週40時間以上働いたら、残業代を割増してもらえる

特に、勤務時間が1日8時間、週40時間を超えた場合は法律上「時間外労働」とされ、従業員は会社に割増賃金を支払ってもらえることになっています。割増率は、時間外労働が月60時間以内であれば25%、月60時間を超えると50%です。また、休日出勤の場合にも賃金は35%割増となります。

残業代が割増にならないケース

ただし、残業代が割増になるケースについて覚えておかなければならない点が2つあります。それぞれどのようなことに注意すべきなのかについて見ていきましょう。

労働時間が週40時間以内のときは、残業代が割増にならない

たとえば、1週間のうちに9時間働いた日が2日あっても、残りの3日間の労働時間が5時間だったときは、1週間の労働時間は9×2+5×3=33(時間)となります。この場合、1週間トータルで考えると、労働時間が40時間以内に収まっているため、9時間働いた日の残業代は割増とはなりません。そのため、残業代は就業時間の時給に換算して支払われます。

中小企業の場合は50%割増にならない

勤め先が一定基準を満たす中小企業の場合は、時間外労働が月60時間を超えた場合の50%割増賃金の適用を猶予されています。そのため、勤め先がその条件に当てはまる場合は、時間外労働が月60時間を超えても割増率が25%のままとなるので覚えておきましょう。

残業代が出ない「サービス残業」は違法です

今、有名・大手企業を中心に残業代未払い問題が大きくクローズアップされ、世間の注目を集めています。しかし、これはあくまで氷山の一角にすぎず、全国の中小企業でもサービス残業が常態化しているとみられています。

サービス残業はれっきとした法律違反

従業員にサービス残業を強いている原因は、会社の経営者が法律に関する知識が不足していたり、コストカットしたいと考えていることが多いためと考えられます。しかし、就業時間を超えてタダ働きさせる「サービス残業」は、立派な法律違反です。ここでは、サービス残業が明るみに出て大問題となった事件について見ていきましょう。

サービス残業とは

サービス残業とは、規定の就業時間を超えて働いた場合でもその分の賃金が支払われないことを指します。この「残業代の未払い問題」は昨今、メディアやマスコミに大きく取り上げられており、社会的関心事として注目が集まっています。

残業代未払いが問題となったケース1:マクドナルドの「名ばかり店長」

大手ファーストフードチェーンのマクドナルドでは、管理監督権限のない「名ばかり店長」の男性が過酷な時間外労働や休日出勤を強いられていました。しかし、「店長」であることを理由に残業代が支払われておらず、裁判で争う事態まで発展。裁判所はマクドナルドに対し、未払い残業代を含め750万円の支払いを命じました。

残業代未払いが問題となったケース2:ヤマト運輸

大手物流会社ヤマト運輸では、ドライバーが勤務時間を過ぎても荷物の配送を続けたり、残業時間を実際よりも少なくされたりするなど、サービス残業が常態化していました。このことを受けて、2017年3月現在、ヤマト運輸は全国の支店で未払い残業代の有無を調査し、未払い分の賃金精算を進めています。

残業に含まれる時間~こんな時間もサービス残業に

会社・従業員ともに業務時間である認識がないようなことでも、実際には残業にあたるケースがあります。どのようなケースがそれに該当するのか見ていきましょう。

制服や作業服に着替えている時間

会社から指定された制服や作業服に着替える必要がある場合、着替えの時間も労働時間となります。始業前や終業後に着替えをするよう指示されることが当たり前になっていますが、それはサービス残業を強要することとなり違法であることを知っておきましょう。

後片付けの時間も残業になる

業務終了後に後片付けをしなければならない場合、この後片付けの時間も業務時間に含まれます。そのため、定時を過ぎてから後片付けをすれば、それにかかった時間分の残業代を請求することが可能です。

待ち時間も立派な残業時間

たとえば「定時の17時までにお店で販売する商品が納品される予定だったが、商品を運ぶトラックが渋滞に巻き込まれ、到着を待っていたら18時になった」という場合は、18時まで業務をしていたとみなされます。そのため、この待ち時間の分も残業代を請求できることになります。

従業員には残業代を請求する権利がある

会社が残業代を支払わないのは違法であるにもかかわらず、残業代が出ないことがまかり通っているのは、会社と従業員との力関係の差が一因となっています。しかし、残業代の請求は法律でも認められてるもの。「残業代は請求できて当たり前」との認識を持ちましょう。

残業代の請求をためらっていませんか?

会社と従業員を比べると、どうしても従業員のほうが立場は弱く、思うことがあっても言いにくいことが多いものです。そのため、以下のように考えてしまい、残業代の請求がためらわれるケースもあるでしょう。

「残業代は出ないもの」と思っている

残業代を出してもらえないような会社で働く従業員の多くは、「うちの会社は残業代が出ないもの」とあきらめてしまっています。そのため、定時で上がっているように見せかけるために定時になったら打刻をして、引き続き仕事をするケースも往々にして見受けられます。

残業代を請求したら不利な立場になるのではと心配…

労使関係はどうしても会社側が強くなるもの。そのため、未払いの残業代を請求することで疎ましく思われたり、最悪の場合解雇される恐れもあります。そのため、従業員側からなかなか言い出せず、泣き寝入りするケースも多いのが現状です。

残業代を請求するのは従業員の正当な権利です

従業員なら、就業時間を超えて働いていれば誰でも残業代を請求することができます。これは法律で認められている正当な権利です。そのため、残業したことがある場合亜正々堂々と会社側に残業代を請求しましょう。ただし、残業代を請求できるのは過去2年分だけとなっていることに留意しておく必要があります。

残業代が出ない・つかない場合の対応策

残業代が支払われない場合でも、しっかり請求する姿勢を見せることが大切です。労働をした分の対価をもらうのは従業員にとって正当な権利です。請求するためには、日ごろからしておくべきことがあります。

残業代を申請できる証拠を集める

未払いの残業代を請求するためには、まず自分が本当はどれだけの時間働いたのか、証拠を残しておくことが大切です。雇用条件通知書や就業規則など、雇用条件を確認できる書類で入手できるものは可能な限り集めておきましょう。

本当の残業時間をメモしておく

会社のシステム上、ある一定の時間になったら打刻ができないようになっているところもあります。そのため、正確な出勤時刻・退勤時刻をともに手帳などにメモしておきましょう。未払いの残業代を求めて会社側と交渉するときや、訴訟を起こすときに有力な証拠になります。

勤務時間外にやり取りしたメールのバックアップを取っておく

また、勤務時間外に取引先や社内の人とメールのやり取りをしたことがあれば、会社側に消去される前にバックアップを取っておきましょう。これもその時間仕事をしていたことを示す立派な証拠となります。

会社側に未払いの残業代を請求するには

証拠がそろったら、会社側といよいよ未払い分の残業代を支払うよう交渉します。交渉がうまくいかなければ、訴訟を起こして争う方法もあります。訴訟になる場合は、労働問題に詳しい弁護士の力を借りて手続きを進めましょう。

会社側と交渉する

個人で難しければ労働組合を活用するのも一つの方法です。アルバイトや派遣などの非正規社員であれば、非正規でも入れる外部の労働組合を通して交渉するのも手です。また、労働基準監督署に申告して監督署のほうから対応してもらう方法もあります。

交渉がまとまらない場合、労働審判・裁判になることも

交渉がまとまらなかったり、決裂してしまった場合は、労働審判や裁判などの法的手段を取ることとなります。これらの手段を検討する場合は、労働問題に詳しい弁護士に相談した上で証拠集めなど対策を行うとよいでしょう。

残業代が出ない・つかない場合は早めに弁護士へ相談しよう

残業代をもらうことは従業員の権利です。泣き寝入りせず、自分が仕事をした時間分の残業代は会社側にしっかり請求しましょう。払ってもらえなかった残業代を確実に取り戻したい場合や、会社と交渉しても会社側が取り合ってくれない場合などは、労働問題に詳しい弁護士に相談し、対応してもらうことが大切です。

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