残業代請求の解決にかかる期間(時間)はどのくらい?

2020年6月19日21,602 view

裁判や交渉は時間がかかる…そのイメージは間違っていません。ニュースで見ても結論まで数か月どころか1年以上かかる事件も珍しくないですね。
では、残業代請求についてはどのくらいの期間がかかるのでしょうか?ここを知っておくと「取り戻せる額と手続きのコストが釣り合っているか」を冷静に判断できます。

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残業代の請求にかかる期間は短くて1か月、長くて1年

残業代の請求にかかる時間は短ければ1か月、長ければ1年以上かかります。正当な権利のはずなのにどうして?と思われますが、法的手続きは得てして時間がかかります。

残業代請求の場合は直接交渉する方法と裁判所を利用した手続きをする方法がありますが、直接交渉の場合はお互いが合意するまでの時間が、裁判所を利用した場合は慎重に決定や判決を出すための時間がかかります。

残業代請求を直接交渉で行えばかかる時間は1か月ほど

残業代請求をするうえで最も選びやすくかつ短期間で終わるのが直接交渉です。残業代未払いの事実を伝えて残業代を請求します。

直接交渉の場合は請求から和解契約の合意まででおよそ1か月の期間かかります。直接交渉に期限はありませんが、1か月以上かかる場合は訴訟が選択肢となります。

残業代の請求は個人でもできますが、労働者と会社という立場の違いから対等な交渉が難しいのが現状です。そのため、直接交渉を行う場合は代理人となる弁護士を立てるのが一般的です。

会社にとって労働者(元社員も)が弁護士を立てることは残業代請求への強い意志と見られます。弁護士を立てた時点で折れるケースも少なくありません。法律のプロはそのくらいの信頼があります。

直接交渉の流れは請求→交渉

直接交渉は一度、残業代請求を行ってから交渉に入ります。残業代請求は証拠を集めて正味の残業代を決めてから請求書を送ることです。請求書を送ったという事実を記録できる内容証明郵便なら相手にはぐらかされることもなく、2年の消滅時効もストップさせられます。

内容証明郵便を送ってからその返答までが1~2週間かかります。2週間経っても返答がなければ訴訟が選択肢になります。

返答が来たら、話し合いに入ります。話し合いがまとまるまでは短くて1週間、長くて1か月かかります。

交渉は裁判を避けるための手続きです

交渉はお互いにとって良い条件にならなければまとまりません。そもそも交渉は法律的な正しい、正しくないという判断ができないからです。裁判を起こせるかどうか、裁判で勝てるかという点も交渉の中身にかかわります。

労働基準監督署は残業代請求に不向き

労働基準監督署に残業代請求をするという方法があります。あっせんという形で和解交渉をする場合は労働基準監督署に請求してから1か月かかり、実際の手続きはわずか1日で終わります。

しかし、労働基準監督署の指導やあっせんには法的拘束力がないので残業代請求に不向きです。それどころか会社にあっせんを拒否される事さえよくあります。

残業代請求で労働審判を利用すればかかる時間は3か月ほど

裁判所を用いる残業代請求方法としてまず考えられるのが労働審判です。労働審判は裁判官と民間の労働審判員2人が間に入って行う紛争解決手続きです。労働審判は訴訟に比べて期間が短く、だいたい3か月ほどです。

手続きの性質は調停で、お互いに合意できなければ訴訟に移ります。

労働審判手続は審理が3回だけ

労働審判手続きは3か月にわたって争うというものでなく、2~4週間に1回の審理を3回行ってその結論(労働審判)に双方が合意するものです。

そのため、労働審判手続は負担が少ない反面1回1回の審理のために入念な準備が必要となります。

審理は3回以内ですが、双方の話し合いだけで解決ができることは独自に合意書を作って、それをもって調停成立とすることもできます。裁判官や労働審判員が同席している分直接交渉よりも法的な安心感があります。

労働審判手続きは各地方裁判所で行えます。

期間が短いからこその注意点

労働審判手続きは審理の期間が早く、非公開という性格からプライバシーの保護も安心です。しかし、期間が短いということはある程度の譲歩が求められることも考えられます。証拠が弱ければ満額の請求が難しくなります。

また、期間は短いものの原則として本人の出席が求められる点も要注意です。

残業代請求で裁判を起こせば3か月から1年以上の期間がかかる

裁判(訴訟)はお互いの主張や証拠を整理したうえで判決をだす手続きです。判決の持つ性質は強く、その通りにしなければ会社に対して残業代の支払いを裁判所が矯正することができます。

そのため、裁判を起こすことは残業代請求において最終手段です。短くても3か月、長ければ1年から数年にわたって争うこともあります。和解交渉や労働審判の時間を入れれば1年半ほどは見たほうが良いかもしれません。

裁判はお金も時間もかかるので労働者、企業ともに積極的に取りたい選択肢でないのが事実です。それでも労働者にとって裁判が望ましいという場合は膨大な残業代があるときと残業代以外にも慰謝料や治療費などを請求できる時です。

労働審判は労働組合と使用者の争いに使えない点も裁判と異なります。

裁判が判決まで行かないこともよくある

裁判は強い効果をもたらす一方で時間とお金がとてもかかります。そのため、会社も裁判が判決に行きつく前に解決できる道を探しています。つまり裁判に移行した後も和解交渉は水面下で行われます。

よく、ニュースでも裁判になった事件が和解で決着がついたと流れますね。実は多くの訴訟が和解で決着しています。

解決の期間を短くすることは裁判にかける労力を減らせることや、企業の評判を落とさないことと言ったメリットがあります。したがって裁判を起こすや否や和解を申し入れてくるケースもあります。

残業代の請求にかかる期間を短くするために

残業代の請求は労働者の権利についての問題であるとともに、生活にかかわる問題でもあります。できれば、すぐに解決してお金を取り返せた方が良いに決まっています。

たとえどのような手段をとるにしても短い時間で解決するにはこのような努力が必要です。

証拠を徹底的に集める

残業代は、労働者の働いた時間に基づいて支払われる賃金です。したがって残業代を請求するためには働いた事実の証明が必須です。最有力の証拠は勤怠記録ですが、勤怠記録がない場合も会社にいて働いていた証拠を探します。

逆に有力な証拠がないと水掛け論になって時間がかかるばかりか本来の残業代からほど遠い金額で決着がついてしまいます。

相手への意思確認を忘れない

残業代の未払いが必ずしも故意であるとは限りません。もし、残業代の支払いを拒否される前にこのページを見ているなら残業代未払いを相談することが大切です。

いきなり強い法的手続きに出ることは、かえって不要な争いを生みます。

残業代の支払いをすでに拒否されている、慣行として押し付けられているならこちらも強く出るしかありません。そもそも残業代を訴えるという概念すら企業さえあります。恐れずに立ち向かいましょう。

交渉力のある弁護士を立てる

残業代請求の基本は交渉で、労働審判や裁判は交渉でまとまらなかった時の手段という位置づけです。したがって、残業代の問題を早く解決したいなら交渉で問題を解決できる実務経験豊かな弁護士がおすすめです。

交渉力のある弁護士を選ぶときは実績の多さと残業代請求についての専門性で選ぶと良いです。

残業代請求の適切な手段とかかる期間は弁護士が教えてくれます

残業代請求はその方法によって実行力やコスト、かかる期間が全く異なります。しかも案件ごとの難しさも残業代請求の期間に大いに関わるため適切な手段が選びづらいでしょう。だからこそ、残業代請求をサポートしてもらうなら実務経験で弁護士を選びたいです。場慣れしている弁護士ならあなたの抱えている問題についての適切な手段と予想される解決までの期間をわかりやすく教えてくれますよ。

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