録音も残業代未払いの証拠、どんな内容を録音すればいい?

2021年7月2日7,577 view

録音

未払いの残業代を請求するためには証拠が必要。分かっていても会社の怠慢や悪意から勤怠記録を確保できないことが良くあります。でも勤怠記録がなくても残業の事実を証明する方法は残っています。あきらめないで弁護士に相談してみましょう!。こちらでは証拠の中で使える“録音”についてご紹介いたします。

弁護士に相談したら、未払い残業代が請求できた
残業代を請求することができるのはどんな人?
1日8時間以上、週40時間以上働いている人
次の項目に当てはまる人は、すぐに弁護士に相談
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録音も残業代未払いの証拠となる

残業代請求においては録音も残業代未払いの証拠となります。具体的には残業を支持する内容や残業を隠ぺいするように命令するような内容、そうでなくとも会社内で上司とコミュニケーションを取っていることが分かる内容であれば残業代の証拠となります。

残業の認められる労働とは会社の指揮命令のもとにある時間すべてを指します、そのため待機時間はもちろん、研修が夜通し行われた場合も残業代の計算に含めることができます。

残業代の証拠は可能な限り集めましたか?

未払い残業代の証拠として録音は証拠となりえますが、残業代請求の証拠として有力なのはやはり会社が自ら記録・保管している書類です。例えばタイムカードや業務日報です。これらは自らが認めたうえで記録していますから、未払い残業代の証拠となった時に言い逃れできません。

もし、未払いの残業代請求をしようとして証拠を非公開にされてしまった時は裁判所に申し立てれば証拠保全手続きができます。証拠保全手続とは裁判官が会社に証拠の確保及び開示を請求できるものです。

録音記録を有効活用するために

録音記録は確かに証拠として有力ですが、録音した内容を聞かされる身としては非常に煩わしくそのすべてが証拠になるとは限りません。録音記録は絶対に文字起こしをしましょう。文字起こしがめんどくさければ文字起こしの業者に外注してもOKです。クラウドソーシングを使えば手軽に行えます。

録音記録を書面化したものを反訳書と言いますが、裁判所は反訳されていない録音記録を証拠を採用しない傾向にあります。仮に和解交渉をするときであっても反訳書があることによって事実関係の共有が早くなります。

より、親切な反訳書は「争点になる部分だけをまとめた」ものです。反訳書の作り方に迷った時は弁護士に相談してください。

録音すべき内容とその注意点

録音の証拠を残す理由は、証拠のない情報についての証拠を作ること。つまり「残業をさせた、させてない」という水掛け論に陥る事態を防ぐためです。そのため、残業代請求をするうえで録音することは「残業にかかわる」ものが優先されます。また、相手の発言を録音するうえではいくつかの注意点があります。

できれば自分と相手、両方の発言を録音しておく

残業をしたことについて命令する相手の発言を録音できることが最も望ましいです。そして、指揮命令に遭ったことの証明として帰社を禁止されたことも録音すると良いでしょう。できれば相手の発言だけでなく自分が残業をしたくない、早く帰社したいという旨も録音できるとより残業を強制された事実の証明につながります。

残業代の支払いを拒否する反論として「残業は社員が自発的に行ったものだ」というものがあります。確かに社員が勝手に残った場合は残業になりませんが、社員と会社の立場上自発的な残業よりも強制された残業の方が起きやすいです。

会議や研修も残業になるのでしっかり録音してください。

業務が終わっていないにもかかわらず「タイムカードを切るように」という指示をされたことが証明できれば「勤怠記録から残業代が証明できない問題」の解決が可能です。

形ある証拠としてはメールの送信、開封履歴、パソコンのログイン記録、タクシーの領収書や社内や会社の前で撮影した写真、防犯カメラ映像などが残業の事実を補強してくれます。

無断の録音は民事裁判でのみ使える

録音をしていますと相手に伝えたらさすがに相手も言葉や出方をうかがうでしょう。そのため、録音は無断で行うことが考えられます。盗聴は法律で禁止されていますが民事裁判においては残業にかかわる発言の録音は秘密録音というものになり、証拠として使えます。

ICレコーダーの選び方

ICレコーダーを選ぶときは録音機能の良さだけでなく長時間録音ができることもポイントになります。なぜなら上司がいつ証拠となる発言をするかわからないからです。そのため、ICレコーダーは会社にいる間はずっと起動しておきたいです。

またICレコーダーで録音した音声を文字起こしするうえではパソコンへのデータが取り込めることも重要なポイントとなります。

第三者と会社のやり取りは使えない

残業代請求に使える録音記録は人格権を害しない範囲のものに限られます。そのため、第三者と上司のやり取りを勝手に録音することや脅迫など相手に強制的にしゃべらせることは録音証拠を取るうえで不適切です。違法に確保した証拠を認めてしまえば証拠を集めると偽って相手に木々を加える事件が起こってしまいます。

第三者の証言は使える

ただ、これはあくまで正当な方法で六オンしなければいけないということですから第三者の発言に証拠能力がないことを意味するわけではありません、ここと間違えないよう注意してください。したがって残業についての証拠を補強するために会社の同僚や自分の家族に証言してもらうことは可能です。例えば同僚であれば残業を日常にしている姿を見たこと、家族であれば帰宅時間が遅かったことなどが証言として望ましい内容になります。

録音をすればパワハラ・セクハラでも訴えられる

六オンで証拠を集めるメリットは残業代以外の証拠をつかめる可能性があることです。特に文書に残らない形で相手に危害を与えられるものと言えばパワハラとセクハラです。これらは民法における不法行為や刑法における暴行や障害、強制わいせつに当たる行為で認定されれば慰謝料請求の対象となります。

場合によっては未払い残業代の請求とパワハラやセクハラなどの損害賠償請求を同時に行うことがあります。労働問題は会社と労働者の問題を幅広く扱うため、自分で範囲を決めず弁護士によって「自分がどんな法的利益を侵害されているか」をチェックしてもらうことが大切です。もらえるお金は残さず請求しましょう。

会社にお金を請求する方法

会社にお金を請求するためには、法的にお金を請求する事実をまとめます。例えば残業代を払ってもらっていない、上司に殴られてけがをした、暴言やセクハラで精神障害を負ったなどが訴えるべき事実にあたります。

そして、証拠を集めて訴えることのできる事実とそうでない事実を判断します。そして、支払ってもらうお金が分かったら請求書にお金の総額とその内訳を書いて内容証明郵便で送ります。そこからは企業とのやり取りになります。

パワハラやセクハラの録音について

パワハラやセクハラの録音については相手が何かしてきたことだけでなく自分がそれを嫌だと思っていることについても録音します。その意思表示をしたうえで相手がハラスメントにあたる行為を繰り返した場合は間違いなく認定されます。パワハラやセクハラは相手が断れないと分かったうえで繰り返す悪質で卑劣な行為です。

残業代の未払いについても会社の立場を利用して労働者を搾取する行為です。労働問題の基本は会社と労働者の立場の不公平が引き起こしていることを忘れないでください。

労働法は、立場の労働者を守るため法的紛争において労働者が有利になるような制度設計がされています。相手の圧力が怖ければ弁護士を立てて交渉や訴訟の代理をしてもらうことが可能です。

まずは和解交渉から

会社からお金を支払ってもらう上では和解交渉から行います。和解交渉は裁判ではありませんから裁判をすると相手が不利になること、こちらが裁判を起こせることを主張しながら相手に合意を迫ります。和解交渉は柔軟な合意ができることや弁護士費用が安く済むこと、問題解決までの期間が短いことがメリットです。

とくに未払い残業代については書類に残っている証拠と録音されている証拠から明確な残業代を算出できるため、法的に認められる残業代も計算しやすいです。パワハラやセクハラも一緒に訴える場合は残業代支払+慰謝料という形で高額の和解金支払いを認めさせる方向になります。

支払わせられる金額や交渉の是非は企業の行動を読む力が問われますから、法知識だけでなく実際の実務経験が豊富な弁護士の力を借りることが望ましいです。裁判は企業にとっても不利益なので判決が出るまでは和解交渉が続くと思ってください。

裁判所で行う手続きについて

和解交渉がうまくいかない、和解交渉に応じてもらえないという時は裁判所で法的手続きを行います。調停である労働審判手続さえ会社側の出頭がなくても勧めることが可能ですから事実上は話し合いの強制になります。裁判はもちろん、相手側が出廷しなければこちらの主張がほぼ通ってしまうから会社側が出廷せざるを得ません。

裁判や労働審判手続についても複数の労働問題について一度に訴えることができます。判決や労働審判では会社が支払うべき金額とその内訳が明示されます。

残業代の証拠集めで録音を考えているなら弁護士に相談を

残業代の証拠集めで録音を考えているなら弁護士に事前相談してください。弁護士の助言があればどんなやり取りを証拠として使えるか、どんな録音なら違法にならないのかを詳しく知ることができます。また、録音に頼らざるを得ないと思っている状況でも経験豊富な弁護士なら形ある証拠を確保することができるかもしれません。少なくとも勤怠記録がない状況からでも残業を立証することは可能です。

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