残業代請求訴訟~代表的な判例に見る成否のポイント

2018年1月29日2,837 view

裁判所

残業代を取り戻したいけれど本当に訴訟に勝てるのか不安、という気持ちはよくわかります。そんなときは判例をチェックしましょう。判例は実際に裁判を行った結果で、似ている状況や論点があれば成否を決める有力な証拠になります。こちらでは代表的なポイントをもとに残業代請求の可能性を見ていきましょう。

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残業代訴訟 判例が示す、残業代訴訟 成否のポイント

職場でのサービス残業や残業代未払いで悩んでいながら「自分の残業代請求が本当に認めてもらえるだろうか」と不安を感じて、なかなか踏み出せないでいる方は、決して少なくありません。
実際のところ、残業代請求訴訟を行って、認められるケースと認められないケースが存在するのは事実です。それでは、残業代請求訴訟の成否を分けるポイントは、どういうところにあるのでしょうか。

今回の記事では、過去の代表的な判例を通じて、この「残業代請求訴訟の成否を分けるポイント」を具体的な実例から見ていきます。

残業代訴訟の代表的判例(1)日本マクドナルド事件

日本マクドナルドの店長だった高野広志さんが過去2年分に発生した520万円の支払い及び慰謝料の支払いを求めた訴訟です。東京地裁で争われ平成20年1月28日に日本マクドナルドに約750万円の残業代+慰謝料の支払いを命じました。うち、未払い残業代は約500万円 なので高野さんの主張が全面的に通ったようです。

「名ばかり管理職」の問題を社会に知らしめた判決

マクドナルド店舗の店長が労働基準法における「管理監督者」にあたるのかを争点に、争われた事例です。平成20年1月の判決では、マクドナルドの店長の職が、店舗内の人事や経営に対しては一定に権限はあるが会社全体に対しての権限は無く、また労働時間を左右する店舗の開店閉店の時間を決める権限もなかったことをふまえ「マクドナルド店長は管理監督者にあたらない」と判断し、日本マクドナルドに残業代の支払いを命じました。

中間管理職的位置づけの店長に対する残業代支払いを命じたこの判決をマスコミは大きく報道、社会的な反響も大きく「名ばかり管理職」という言葉が一般に広く知られるようになるきっかけとなりました。

残業代訴訟の代表的判例(2) ピーエムコンサルタント事件

建築コンサルタント会社であるピーエムコンサルタントを平成16年3月31日に退職した社員が今まで支払われていなかった残業代を労働者の作成したメモである整理簿を根拠に請求した訴訟です。この事件は大阪地裁にて平成17年10月6日、残業代の支払いを命じました。この事件はいくつかの論点が同時に争われています。

労働者のメモを根拠に、勤怠記録にない残業の存在が認められた事例

残業代を請求するためには証拠が必要です。しかし、本件ではタイムカードなど公式の勤怠記録がありませんでした。そこで争点になったのが、労働者が自ら作成したメモである整理簿です。整理簿は「会社が確認していたこと、正確な作成を会社が求めていたこと、その内容について争っていなかったこと」を理由に認められました。

この判決はタイムカード等による勤怠記録がない場合でも残業が認められる可能性を認めた重要な判例です。日ごろから残業の記録となる証拠を集めておきましょう。

しかも、労働者の提出した整理簿で会社が残業の実態を知っていたことは黙示の残業命令があったものと認定されています。

残業代訴訟の代表的判例(3)徳州会(野崎徳州会病院)事件

こちらは徳洲会の系列である野崎徳洲会病院に勤める医療事務労働者が未払いの残業代である約106万円を求める訴訟を起こしたもので、平成15年4月25日の大阪地裁で残業代全額及び付加金の支払いが被告に命じられました。

恒常化したサービス残業を「黙示の残業命令」として残業代支払いを命じた事例

こちらの事件ではサービス残業が強要されていたことについて争われました。病院側は残業を命令したわけではありませんが、医療事務におけるレセプトの作業は絶対に納期を守る必要があることや残業代を減らすように病院が動いていたことから黙示の残業命令が認められました。具体的な残業を減らす努力が見られなかったことも黙示の残業命令とみなすに値すると認められています。

また、この事件はサービス残業せざるを得ない風潮を作りタイムカードを過少申告させたことから残業時間の立証という問題がありましたが、こちらは元同僚の証言と証人尋問によって立証に至りました。

残業代訴訟の代表的判例(4)高島屋工作所事件

原告が終業時間後に仕事を行っていたこと、昼休憩中に電話番をしていたことについて残業代を請求した訴訟です。大阪地裁は自発的に残業をしていたことを理由に残業代の支払いを認めませんでした。

上司の「残業禁止」指示を根拠に残業代請求が認められなかった事例

残業の命令については明示でなくとも黙示の残業命令の存在を主張すれば残業代請求の可能性があります。しかし、この事件においては「誰も残業を命令していないばかりか残業しなければいけない風潮もなければ急を要する仕事でもなかった」ので残業代も割増賃金も認められませんでした。

時間外労働をするときは上司に許可をとること、もしくは提示帰社する旨を伝えて相手から拒否されたことを記録すると良いでしょう。

残業代訴訟の代表的判例(4)高島屋工作所事件

原告が終業時間後に仕事を行っていたこと、昼休憩中に電話番をしていたことについて残業代を請求した訴訟です。大阪地裁は自発的に残業をしていたことを理由に残業代の支払いを認めませんでした。

上司の「残業禁止」指示を根拠に残業代請求が認められなかった事例

残業の命令については明示でなくとも黙示の残業命令の存在を主張すれば残業代請求の可能性があります。しかし、この事件においては「誰も残業を命令していないばかりか残業しなければいけない風潮もなければ急を要する仕事でもなかった」ので残業代も割増賃金も認められませんでした。

時間外労働をするときは上司に許可をとること、もしくは提示帰社する旨を伝えて相手から拒否されたことを記録すると良いでしょう。

残業代訴訟の代表的判例(5)神代学園ミューズ音楽院事件

神代学園ミューズ音楽院に勤めていた従業員8名が残業禁止命令に背いて働いた分の残業代請求を求めた訴訟です。平成17年3月30日、東京高裁は原告である従業員8名への残業代支払を認めませんでした。

上司の「残業禁止」指示を根拠に残業代請求が認められなかった事例

この事件はマクドナルド事件で明確化された管理監督者の基準を出した判例として知られています。確かに、管理監督者の基準については原告に有利な判例なのですが実は残業代が支払われていません。そもそも、本件では朝礼などを通して繰り返し残業の禁止を命令されていて、残業せざるを得ない時も役職者に引き継ぐことが制度化されていたのです。

これでは、残業を義務付けられていたとは言えませんね。勝手に残業をしたのか、残業をしなければいけなかったのか白黒つくように立証してください。

残業代訴訟の代表的判例(6)ゴムノイナキ事件

ゴムノイナキに勤めていた従業員が未払いの残業代及び休日や深夜の割増賃金約533万円を求めた訴訟です。東京高裁は平成17年12月1日、夜9時半までの残業が一律で行われていたものとして残業代272万円及び付加金230万円の支払いを命じました。

家族の証言が残業代の証拠となるかもしれない事例

この事件は会社が残業をしないように言っておきながら残業の存在を認めていたこと、タイムカードで労働時間を記録していなかったことが問題となりました。証拠が少なく原告は妻の記録していたノートくらいしか証拠を持っていませんでした。残念ながら深夜の残業は認められませんでしたが、残業について21時半までは毎日行われていたものと推定されたためある程度の影響があったと考えられます。

また、原則としてタイムカードで記録していないことは労働者側に有利に扱われます。今回は事件の悪質性から付加金の支払いも命じられています。

残業代訴訟の代表的判例(7)東建ジオテック事件

東建ジオテックに勤めていた社員7名が残業代の支払いを求めた訴訟です。東京地裁は平成14年3月28日に訴えた残業代の※一部及び付加金の支払いを命じました。

※一部とは全部でないという意味です。本件においては社員一人につき残業代が数百万円から1000万円超の支払いが命じられています。

役職手当による残業代の相殺が認められなかった事例

この事件は役職手当と残業代及び割増賃金の相殺が認められなかった事例です。残業代は労働時間に基づくお金ですからもし、「残業代を〇〇手当で支払ったから」と言われても残業代を全額請求できるかもしれません。
この事件は他にもこのような事例が認められた判決なので合わせて確認しましょう。

  • 名ばかり管理職を作っていたがいずれも管理監督者として認められなかった
  • タイムカードによる労働管理をしなかったが、始業時間は9時からと認められた
  • 悪質な事例だったが消滅時効について権利濫用は認められなかった

残業代訴訟の代表的判例(8)地位確認等請求事件(第222号)

医療法人に勤めていた医師が未払いの残業代についての請求を求めた訴訟です。最高裁は平成29年7月7日に医師への未払い残業代の支払いを命じました。最新の判例であるため一般的な事件名はついていません。

“給与額に関係なく”基本給に残業代を含めないと認めた事例

こちらの判例は「年俸制の基本給に残業代を入れてはいけない」という原則と、年俸制に残業代や割増賃金を含めるならそれを明示すべきという原則を確認した判例です。固定残業制についてお悩みならこちらの判例が使えるでしょう。

実は、この論点自体は過去の判例で基準が示されていたのですがこの判例の画期的な点は“給与額が高くても労働基準法が厳格に適用される”というものです。本件は年収が1700万円と高額であることを理由に高裁判決までは残業代の請求が認められていませんでした。しかし、最高裁で覆されました。

残業代訴訟の代表的判例(4)光和商事事件

光和商事の元営業社員3名が在職中の残業代を請求した訴訟です。大阪地裁は2002年7月19日に残業代の支払いを一部認めました。また、この事件は基本給の減額についての有効性が問われましたがこちらについては有効性が認められ、原告の主張が退けられました。

みなし労働時間を事実上否定した事例

この判決で問題となった残業代とは「会社の外で働いた時間」です。労働基準法においては労働時間の計算ができない場合はみなし労働時間を用いた給与計算が認められていました。しかし、本件においては携帯電話で勤怠管理ができたことからみなし労働時間が否定されました。

通信設備が発達している現代において、みなし労働時間制の利用を厳しく制限した判例で、外回りの仕事をしている方はぜひ参考にしたいです。

ちなみに、減給については「直ちに抗議しなかったこと」「受領していたこと」を理由に黙示の証人があったとみなされたようです。

未払い残業代問題の解決・訴訟をご検討の方は、まず弁護士に相談を

残業代請求において訴訟は最後の手段です。つまり、判例を知っておくことは自分の抱えている問題の結論を予測することにつながります。裁判では問題の具体性や、労働環境の実態を大切にする傾向がありますから、証拠が少ない、契約書の内容が労働者に不利になっている、形式的には労働基準法に違反していなさそう…という場合でも判例を見れば残業代を取り戻す勝算が見えてきます。自己判断であきらめる前に弁護士に相談してみましょう。膨大な判例からあなたの役に立つものを見つけてくれるでしょう。

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