内容証明郵便による請求書の書き方!自分で未払い残業代を請求

残業代の請求を自分でしたいときは、内容証明郵便を絶対に送りましょう。内容証明郵便は残業代請求をした有力な証拠となるだけでなく、消滅時効を止める効果もあります。こちらでは意外と難しい内容証明郵便の書き方と弁護士の活用ポイントを紹介します。

- 残業代を請求することができるのはどんな人?
- 1日8時間以上、週40時間以上働いている人
- 次の項目に当てはまる人は、すぐに弁護士に相談
- サービス残業・休日出勤が多い
- 年俸制・歩合制だから、残業代がない
- 管理職だから残業代が出ない
- 前職で残業していたが、残業代が出なかった
この記事で分かること
残業代請求を自分でするなら内容証明郵便を送ろう
残業代を請求するときは内容証明郵便を送ります。内容証明郵便とはいつ、どのような内容の郵便物を送ったかを証明できる郵便で、郵便局で送ることができます。また、郵便で送ることがめんどくさければ郵便局のサイトからデータで内容証明郵便を送ることができます。
内容証明郵便を電子情報で遅れる便利な時代になりましたが、しっかり確認するという意味では一度印刷してから郵便局で送ったほうが良いと思われます。
内容証明郵便は残業代だけでなく様々な法的な文書を送った日付を立証する目的で用います。
内容証明郵便の効果
内容証明郵便の効果は、郵便を送った日と送った内容を証明できる点にあります。例えば、裁判に発展した時に未払い残業代の請求を無視した事実は会社の心証を悪くします。しかし内容証明郵便を利用しなければ郵送したことを証明しづらくなってしまうのです。
何よりも消滅時効を止められる点が大きなメリット
残業代の請求は普通のメールで必要な情報を送るだけで十分です。あくまで、法的な証拠として使う上では内容証明郵便が望ましいのだと理解してください。
内容証明郵便の最大のメリットは消滅時効を止められる点にあります。
この事項を止める方法は相手に催告(法的に認められる請求)を行った場合ですが、内容証明郵便を使えば「請求を行った日」を立証することができます。したがって、消滅時効によってもらえなく未払い残業代を最小限に抑えてくれます。
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請求書を内容証明郵便で送った後の流れ
請求書を内容証明郵便で送るのは残業代請求において序盤です。残業代を請求するという意思表示の段階で、内容証明郵便を送った後の返答次第で和解交渉や労働審判手続、訴訟のいずれかを行います。
未払いの残業代請求については請求書を送っただけで終わらないケースが多いので、和解交渉や裁判に臨むための準備もしておきたいです。
請求書に関する返答を待つ期間は1週間が相場です。
残業代請求における内容証明郵便の書き方
残業代請求において内容証明郵便を使うのは請求書です。よって、内容証明郵便のルールと文面の書き方を両方理解しなければいけません。詳しい方法を紹介します。
もし、わからない部分があったら他の人にも協力してもらいましょう。
内容証明郵便の書式に合わせて書くうえではパソコンを使った方が楽です。
内容証明郵便のルール
内容証明郵便のルールを間違った時は受け付けてもらえません。訂正が必要になるとそれだけ請求書の郵送が遅れてしまいますから正しい方法を知っておくべきです。
内容証明郵便のルールは郵便法や郵便約款が根拠となります。
同封物は原則不可
残業代請求をするときは根拠となる計算書や証拠も一緒に送りたいところですが、内容証明郵便は請求書そのものしか送れません。計算書やその他証拠となるものは改めて普通郵便で送るか和解交渉の時に提示する形で大丈夫です。
封筒や用紙は自由、手書きでなくても良い
内容証明郵便は封筒や用紙に制限がありません。また、手書きである必要もないためパソコンで書面を作れます。
名前を自筆で書く必要はなく捺印も不要です。ただ、法的に有効な文書を作るうえでは印鑑は別の形で使いますから郵便局に持参することが望ましいです。
複数枚の文書を作るときは印鑑を忘れずに
内容証明郵便は枚数制限がありません。ただし、枚数が増えると内容証明郵便を送るときの料金が上がります。
枚数が複数になるときは「ページの偽造対策」として印鑑を押します。これを契印と言います。契印はそれぞれのページにまたがるように押すことで各ページに印影の一部が残り、お互いのページを合わせて一つの印影を作れれば一体の文書である証明になります。
文字は基本的に自由だが、日本語に限る
文字や句読点、記号の書き方は自由ですが日本語で書くことが求められます。外国人にも例外がありません。
公的な文書で使う文字なら基本的に使えます。絵文字など社会人のコミュニケーションでまず使わないであろうものを入れなければ大丈夫です。
訂正のルール
訂正するときは訂正箇所を二重線で消します。訂正した時は何文字削除したか、何文字加入したか、何文字訂正したかを余白部分に書いて、印鑑を押します。三文判で構いません。
訂正するときは塗りつぶさないでください。
1行ごと、1枚ごとの文字数制限を忘れずに
内容証明郵便は全体の文字数、枚数ともに自由ですが1枚ごと、1行ごとの文字数制限があります。
1枚ごとの文字数制限はこちらを参考にしてください。
- 縦書きで20字×26行以内
- 横書きで20字×26行以内または13字×40行以内、26字×20行以内
つまり1枚につき520文字となります。(アルファベットや数字は半角でも1文字扱い)
文面の書き方
文面は特に読み応えのある内容でなくて構いません。それよりも必要な情報をかけていることが大切です。
未払い残業代の請求書に書くべきことはこちらです。
タイトル
タイトルは「通知書」でOKです。
請求者についての説明
請求者が何者であるかを書きます。具体的には会社といつから何時まで雇用契約を結んでいたかを書きます。
請求の目的と根拠
何を請求するための内容証明郵便なのか示します。法的根拠も併せて書きます。残業代請求においては「労働時間に応じた残業代を支払われていないこと」を記載します。
請求金額
請求金額について書きます。請求金額は内訳を書いておくと親切です。
支払期限と振込先
支払期限と振込先を書きます。支払期限は2週間が相場ですが、大体は1週間以内に会社から連絡が来ます。
支払わなかった場合の対応
支払わなかった場合に法的措置をとる予定だと書いておけばOKです。
日付、非通知人と通知人の情報
日付、非通知人(会社)、通知人(社員)について記載します。つまり宛名と差出人について書くだけです。
ただ、住所は正確に書くこと、会社については事業主の名前までしっかり書くことを忘れないでください。
残業代請求で内容証明郵便を書く時の注意点
残業代請求で内容証明郵便を書く時はこのような注意点があります。気を付けてください。
郵送する場合は封をしない
内容証明郵便を出すときは郵便局で文書と封筒の両方を確認します。郵送するときは封をしないように気を付けてください。
封筒と内容文書で住所の表記を一致させる
封筒と内容文書で住所の表記を一致させてください。例えば同じ住所であっても内容文書に「〇丁目△番」と書いたら封筒に「〇の△」や「〇-△」と書いてはいけません。
3部作成してください
内容証明郵便は3部作成してください。相手に渡す用、自分で保管する用、郵便局で保管する用の3部です。
基本的に、相手用と自分用で書類を複製するのは契約書や請求書の基本です。会社の領収証もお互いで確認できるよう複写していますよね。
配達証明をお願いしてください
内容証明郵便は発送したことと、発送した文書の内容を証明することができますが、配達されたことの証明をするには別料金がかかります。忘れずに配達証明の希望を郵便局でしてください。
もし、配達証明を忘れると請求書を見ていないと企業が白を切ることが考えられます。
自分で残業代請求をするデメリット
内容証明郵便を出して残業代請求をするとして、自分だけで残業代請求を行うときはこのようなデメリットを覚悟してください。
未払い残業代の請求は自分でできる?可能だがデメリットも多い
残業代の計算が正しくできない
残業代の計算は複雑で、法律に詳しくない人が計算すると間違いなく計算ミスが起きます。そもそも、会社の総務や経理でさえ残業代の制度をよく知らないせいで給与の未払いが多発していることを理解してください。
残業代の計算は雇用契約書と実際に働いた時間をもとに1時間当たりの給与を求め、それを残業時間で掛け合わせます。分単位での計算を忘れないでください。
さらに、割増手当や遅延損害金も思ったより多く発生しています。
割増し手当
正社員が残業をした場合はたいてい割増し手当がつきます。なぜなら、1日8時間以上働いた場合は時間外手当がつくからです。さらに、22時から5時まで働いた場合は深夜早朝手当が、休日出勤した場合は休日手当がつきます。
割増し手当は状況によって25~60%上乗せされます。
遅延損害金
払われるべき残業代の支払いが遅れることは、それだけで労働者の笛利益となります。そこで残業代には年利6%の遅延損害金を上乗せできます。割増し手当も同様です。
また、退職している場合は退職した日から年利14%の遅延利息がつきます。遅延損害金と遅延利息は重複しません。
付加金
残業代請求の訴訟をしたときは残業代と同額までの付加金も請求できます。ここも見落とさないでください。
和解交渉で足元を見られる
法律を理解していないということは、和解交渉で相手に言いくるめられるリスクが高いということを意味します。せっかく残業代を請求したのに「〇〇だから残業代は払わなくて良い」という相手のウソを真に受けてしまったら大変です。
例えば年俸制の人や営業職の人、管理職の人、残業代が固定されている人、業務委託契約で働いている人は要注意です。
働き方に応じた残業代の請求方法は弁護士が熟知していますから、著しく不利な和解をするくらいなら多少お金を払ってでも弁護士を立てたほうが、利益が大きくなります。
「知っているつもり」が一番危険です!
証拠不十分で交渉や本人訴訟に負けるリスクが高くなる
残業代の証拠は勤怠記録、つまりタイムカードや業務日報が原則です。しかし、会社の勤怠記録が改ざんされていた場合やそもそも勤怠を記録していない場合は別の証拠を使わなければいけません。
しかし、私たちは訴訟や交渉に慣れていないので実際に何が有力な証拠となるのかわからないのです。よって、やみくもに法的手続きをしてもかえって残業代の請求権を失うことになります。
確実な残業代請求をするなら弁護士へ相談しよう
残業代請求によって大切なのは正確な計算と、相手以上の法理解です。法律や判例を知らないことはそれだけで権利の一部を手放していると心得てください。内容証明郵便までは自分で書けたとしても、やはり請求した残業代を満額に近い形で取り戻すなら労働紛争に強い弁護士の力が不可欠です。もしかしたら、あなたが請求しようと思っていた額を上回る残業代を取り戻せるかもしれませんよ。
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