年俸制でも残業代は出る?知っておかないと損する年俸制の考え方

2017年8月31日707 view

年俸制

年俸制の契約は成果や業績に応じて変動するスポーツ選手に多いことから、決まった額の給与しか支払われないという誤解があります。しかし年俸制といっても、個人事業主ではなく会社と雇用契約関係にある労働者である以上、労働基準法の適用を受けます。つまり所定労働時間を超えて働いた分の残業代は支払われなければなりません。

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年俸制における労働時間の定義とは

年俸制

月ごとにお給料をもらっている社員の場合の労働時間の定義は明らかですが、年俸制で給料をもらっている社員の場合、その労働時間はどのように考えられているのでしょうか?また、労働基準法では年俸制の労働時間について、どのような扱いになっているのでしょうか?

年俸制でも基本的に労働基準法が適用される

労働基準法には年俸制に関する規定がありません。つまり年俸制であっても、一般的に言われる週40時間といった法定労働時間が関係します。個人事業主ではなく、使用者と労働者として会社と雇用関係がある以上、労働基準法で定められた内容が適用されます。

所定労働時間を超えた分の残業代は支払われなければいけない

年俸制は会社が従業員に支払う賃金の総額があらかじめ定められているため、労働時間に制限がないと考える人もいます。しかし、所定労働を超えて働いた分の残業代は支払わなければなりません。

年俸制は当初、管理職を対象に導入され、その後一般従業員にも広まり、残業代の認識が欠如したまま、年俸制は残業代がいらないという誤解を招いています。

年俸制で残業代を払わなくてよい場合

払わなくてよ

会社が労働者との間で年俸制の契約をしており、その内容によっては残業代を支払わなくてもよいケースがあります。以下の内容は、年俸制の場合に限らず一般的な月給制の給与体系でも適用されます。

管理監督者とは

「管理監督者」とは、労働基準法では「監督若しくは管理の地位にある者」で、「労働時間、休憩や休日に関して労働基準法の規定は適用しない」とされています。
労働者の労働時間は、「通常1日8時間、週40時間以内、1時間以上の休憩を与え、休日は毎週1日以上与えること」規定されています。管理監督者にはこの規定が適用されないため、時間外労働手当や休日労働手当は支払われません。

管理監督者の条件

重要な職務と権限が与えられている

管理監督者は、会社の経営方針や労働条件、採用の決定に関与し、経営者と同じ立場であることが求められます。そのため、法律上では労働者ではなく使用者として扱われます。
また、部下の人事考課や遅刻欠勤等の承認を与える、仕事の指示をする等、労務管理や業務上の責任権限があることも条件の一つです。

出退勤の管理を受けない

管理監督者は出退勤の時間に自由裁量が認められ、遅刻や早退で減給されることがありません。
ただし会社には安全配慮義務がありますので、出退勤の時刻は把握する必要があります。

その地位にふさわしい賃金であること

「~長」という役職がついていれば全てが管理監督者にあてはまるわけではなく、一般労働者と比較し、役職手当や基本給などの賃金面でその地位にふさわしい待遇を受けなければなりません。課長に昇格したにも関わらず、残業代が支払われなくなり賃金が下がるケースもよくみられますが、管理監督者とはいえないでしょう。

年俸制にみなし残業(固定残業代)が設定されている

みなし残業は、実際の労働時間に関わらず一定時間を勤務したものとみなし、あらかじめ固定金額の残業代を年俸に含めて支払う制度です。

以下のように、会社はあらかじめ雇用契約で「残業代が年俸額のうちいくら」で、「何時間分の残業代に相当するか」という内容を明示し、労働者の同意を得ておく必要があります。

雇用契約の例

年俸額:7,200,000円
月給額:600,000円(うち150,000円は月に45時間分の時間外勤務手当、深夜勤務手当、休日勤務手当の合計に相当し、実労働時間および手当がこれに満たない場合でも支払うものとする)

なお、以下のように時間が不規則な専門職や、外回りが多い営業職など勤怠管理が難しい労働者に対し、会社側が勤務時間をある程度労働者の管理に任せている職種に適用されます。しかし、契約上の所定労働時間を超えた分の残業代は支払わなければなりません。

裁量労働制の対象である場合

システムエンジニアや高度な専門の研究・開発職、デザイナー等、業務の成果が重要視され、仕事の遂行や時間配分を労働者の裁量に任せることが適切な専門業務を任されている場合です。また、事業の運営に関する企画・立案・調査・分析業務に従事する企画業務を行う場合も該当します。

裁量労働制を導入するには、会社は労使協定を締結し、労働基準監督署に届け出を行う必要があります。また、みなし残業代と同様に所定労働時間を超えた場合は残業代の支払いが必要です。さらに、所定労働日以外に労働した場合、勤務が深夜に及んだ場合はそれぞれ時間外労働手当や深夜割増手当の支払いが必要です。

個人事業主の契約をしている場合

非常に稀なケースですが、会社と業務委託で契約を結んでいる場合は残業代が支払われません。あえて労働者を個人事業主に変更させ、年俸制で契約を結ぶ会社もあるようです。

一般的にプロ野球選手の「年俸制=高額」というイメージがありますが、同じように考えない方がよいでしょう。実際に年俸金額が高額で、十分納得の上での契約ならよいかもしれませんが、個人事業主は社会保険の保障がない等のデメリットもあることを理解しましょう。

年俸制の残業代の計算方法は

未払い残業代

では、年俸制の場合の残業代はどのように計算したらよいのでしょうか?また、月給制の残業代の計算方法と違いはあるのでしょうか?

一般的な残業代と計算方法は同じ。実働時間の管理を行うこと

年俸制の残業代の計算方法は一般的な残業代の計算方法と同じで、前述のとおり年俸制でも所定労働時間を超えた場合は残業代が支払われます。しかし年俸制の場合、会社側が労働者の実際の労働時間を把握することが難しく、残業代を申請するには労働者自身がきちんと実働時間を把握しておくことが重要です。

現在はタイムカード以外に勤怠管理のソフトウェアも導入している会社も多く、出先での出退勤管理もできますが、自分自身でも実働時間を曖昧にせずに業務記録等に記載しておきましょう。

年俸制の残業代は月給制より残業代が高くなることも

残業代の計算方法は同じですが、残業代の単価が高くなる可能性があります。

一般的な月給制の場合、月給の時間給単価をもとに計算され、それ以外に賞与が支給されても残業代単価に影響しません。しかし年俸金額にはすでに賞与が含まれており、それを12分割した金額が毎月支払われるため、月給制+賞与で計算した婆会いよりも残業代単価は高くなります。

なお年俸額16分割し、月額1/16、2/16を春・夏の賞与の時期にタイミングを変えて支払う場合でも、あらかじめ年俸額として年間に支払われる賃金の総額が定まっているため、残業代の計算は月額1/12をもとに単価が計算されます。

年俸制だからといって、残業代が出ない理由にはならない

年間に支払われる賃金が決まっている年俸制だからといって、残業代が出ないという理由にはなりません。もう一度ご自分の労働契約を確認しましょう。

年俸制はある程度勤務時間が労働者の裁量に任せられているため、労働者本人も実働を把握していないことが多いです。どんなに業務が忙しくても、自分自身の勤務時間はしっかり管理し、必要な残業代はきちんと会社へ請求しましょう。

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