変形労働時間制とは~残業の取扱いと労働者にとってのメリットとデメリット

2018年10月4日590 view

仕事は毎日8時間働くもので、それ以上の労働時間は残業になるのが普通です。しかし、変形労働時間制は労働時間を柔軟に定める制度で1日10時間も働かなければいけない日もあれば1日3時間で帰れる日もあります。これは労働者によってどんなメリットデメリットがあるのか、そしてこのような制度では一体どのように残業時間が計算されるのでしょうか?

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変形労働時間制での働き方と残業の取り扱いは?

変形労働時間とは1ヶ月あるいは1年の単位で労働時間を自由に設定できる制度で、労使協定が必要となります。また、1週間単位で変形労働時間制を採用する場合は非定型的変形労働時間制を用います。

変形労働時間制になれば1ヶ月あるいは1年のうちに働く総枠のみ労働基準法の定めるところとなり1日にどのくらい働かせるかはその日によって異なります、たとえば繁忙期であれば連日10時間以上働くことになるかもしれないし、閑散期であれば1日4時間も働けば帰れることになるかもしれません。

つまり変形労働時間制は「定められた労働時間を効率的に割り振って労使共に無駄なコストを減らしたい」というニーズを叶える制度と言えます。

フレックスタイム制も変形労働時間制の一つ

フレックスタイム制も変形労働時間制の一つです。こちらの制度はコアタイムとフレキシブルタイムという2つの領域に分かれ。コアタイムは必ず働くがフレキシブルタイムのうちいつ働いても良いことになっています。もちろん、雇用契約で定められた時間はしっかり叩かなければいけません。

フレックスタイム制が採用されている企業では遅く出社することも早く退社することも可能ですからよりスケジュールに合わせた働き方が可能です。フレキシブルタイムをうまくやりくりすればコアタイムだけ働いて帰れる日も作れます。

借り時間と貸し時間について

フレックスタイム制を取ると仕事が少なくて所定労働時間より実際の労働時間が短くなってしまうことも、逆に所定労働時間より長くなってしまうこともあります。所定労働時間に比べて短い労働時間でその月の仕事が住んだときは次月に余った労働時間が繰り越されます。これを借り時間と言います。

一方、働きすぎた分を次月と相殺するいわゆる貸し時間は認められていません。その月に働いた賃金は賃金支払日までに支払われないといけないからです。

裁量労働制との違い

裁量労働制とは1月に所定の労働時間分働いたものとして出社や退社を完全自由にするものです。そのため、フレックスタイム制のようにコアタイムはないし1月や1年の変形労働時間制のように毎日働くべき時間が指定されることもありません。

変形労働時間制における残業の扱い方

変形労働制についてかなり悪意のある解釈をすれば「1日何時間でも働かせられる制度」です。しかし1日に働かせる時間を自由に決められるとしても1ヶ月あるいは1年における総労働時間は通常の労働契約と一緒です。労働日数は1年あたり280日です。

1ヶ月単位の変形労働時間制であればいわゆる5日働いて2日休むという前提で1週間40日。そして1ヶ月だと28日で160時間働くという基準のもと1ヶ月の日数が29日、30日、31日だった場合の法定労働時間数が決められます。

1年単位の変形労働時間制の場合は365日で2085時間42分、閏年で366日2091時間24分以内が法定労働時間数と定められています。ちなみに1年単位の変形労働時間制の場合は原則として1日10時間、1週間52時間という労働時間の制限がされています。

そして法定労働時間数を超えた場合は変形労働時間制特有の残業代計算を行います。もちろん変形労働時間制であっても休日労働や深夜労働は割増賃金が出るし休憩も義務付けられています。

変形労働時間制における残業代計算の仕方

変形労働時間制における残業代計算の仕方は特殊です。変形労働時間制の場合はこのようになります。

労働時間は繰越できない

変形労働時間制においては労働時間の合計が重視されます。所定労働時間が短い日に思わぬ残業が出たとしても他の日の労働時間と相殺できません。

1日あたりの残業代について

8時間を超えない所定労働時間が定められた日は8時間を超えた労働時間にのみ時間外手当がつきます。

8時間を超える所定労働時間が定められた日はその時間を超過した分にのみ時間外手当がつきます。そうでなければ変形労働時間制の意味がありません。

1週間あたりの残業代について(1日あたりの計算で残業が出たらその時間を引いて計算します)

40時間を超えない所定労働時間が定められた週は40時間を超えた労働時間にのみ時間外手当がつきます。

40時間を超える所定労働時間が定められた週はその時間を超過した分にのみ時間外手当がつきます。ここに変形労働時間制の意義があります。

法定労働時間数を超えて働いた時間について

時間外手当が上乗せされますが、1日あたりあるいは1週間あたりの計算で時間外手当の対象となった分を引いた上で法定労働時間数と実際に労働した時間の差を確かめます。

残業代を二重に計算しないよう注意してください。

休日手当や深夜割増手当について

通常の労働契約と同じように払われます。これらの割増手当は労働時間と関係ないのです。

途中で変形労働時間制が終わった場合はどう清算する?

一度変形労働時間制に合意しても、急な事情で移動する場合もあれば退職を選ぶ場合もあります。その場合は途中まで働いた分をもとに割増賃金を清算します。

実際に働いた時間ー割増賃金の支払いが必要な時間-実労働期間の暦日数/7×40

変形労働時間制は労働者にとってどんなメリットがあるか

変形労働制を導入する企業のメリットは人件費の無駄を省ける点です。必要な時に必要なだけ労働時間を割り振ることができますから労働者が「会社にいるだけの時間」をなくせます。

では労働者にとってどのようなメリットがあるのか?主にこのようなものが挙げられます。

  • 労働時間に合わせたスケジュールを立てやすい
  • 閑散期に会社で居残らずに済む

労働時間に合わせたスケジュールを立てやすい

変形労働時間制は労働時間にメリハリがある制度です、そのため遅くまで仕事をしなくてはいけないならその分仕事に集中できるようにスケジュールを組めるし早く終わるときは、普通の労働時間ではできないような遊び方をしたり、溜まっていた予定をこなしたりということができます。

いつも労働時間が同じせいで絶対に行けないお店やイベントがあるという場合も変形労働性のおかげで解決が期待されます。

1年単位の変形労働性の場合は繁忙期と閑散期が決まっていることが多いので閑散期に目一杯楽しんで繁忙期に目一杯働くという予定が立てられます。漁師も船に乗る期間と休む期間にメリハリがあるので変形労働時間制のような働き方と言えます。

閑散期に会社に居残らずに済む

会社にいる時間は仕事をする時間と言いたいところですが、事情の変化で仕事をしないのに居残る時間が発生することもありますし、そもそも忙しくない日というのもあるものです。しかし変形労働時間制なら忙しくない日は労働時間が短く設定されやすいので無駄な居残り時間が減るでしょう。

変形労働時間制は労働者にとってどんなデメリットがあるか

変形労働時間制のデメリットはこちらです。

  • 時間外手当もなしに長時間働くこともある
  • 閑散期でも残業はある

変形労働時間制は働く人によってメリットとデメリットの恩恵が大きく異なるので変形労働時間制を敷いている仕事に転職を考えているなら下調べを怠らないでください。

時間外手当もなしに長時間働くこともある

変形時間労働性の場合、8時間より長く労働時間を設定された日はその所定労働時間を超えて働かないと時間外手当が支払われません。そのため、繁忙期に頑張ったのに時間外手当がほとんどついていないこと有り得ます。

ただし、休日手当や深夜手当は通常の労働契約と同じように計算されるし労働時間が短めの日は8時間を超えた分に時間外手当がつく点も注目したいです。

閑散期でも残業はある

変形労働時間制は所定労働時間を定めることはあっても残業をなくすことはできません。繁忙期に長く設定した労働時間でまかなえないほどの仕事が発生したのならまだ受け入れられますが、閑散期なのに残業が発生するとなんとも言えない気分になります。

変形労働時間制でも残業代は取り戻せます」

変形労働時間制だから残業代が出ないと上司に言われた労働者も諦めないでください。変形労働時間制でも通常の労働契約と不公平がないように残業代が決められています。

変形労働時間制の残業計算は難しいですが証拠があればしっかり計算できます。

残業代の証拠となるのはやはり労働の記録

残業代とは働いた時間に応じて支払われるものですから、やはり労働したという記録が証拠になります。毎日のタイムカードや業務日報をはじめとする勤怠記録や会社に残された書類やメールの履歴なども見逃せません。時には出社および退社の時間を特定できるような記録も証拠になり得ます。

就業規則や労使協定がなかったら

ちなみに、変形労働時間制を適用する場合は就業規則や労使協定による取り決めが必要です。もしそのような手続きをしていなければ変形労働時間制が無効になって通常の労働契約と同じ残業代計算が適用されます。

言うまでもなく変形労働時間制が無効であった場合、1日8時間を超えて働いた労働時間はすべて時間外割増手当の対象となります。

残業代を取り戻す流れを紹介

残業代を取り戻すためには残業代を計算して、請求書を会社に提出。その後和解交渉をします。それで解決しなければ裁判を起こしますが基本的には話し合いで解決することが多いです。一人で会社と戦えないなら弁護士に代理してもらいましょう。弁護士は交渉や訴訟で依頼人を代理できる唯一の存在です。

変形労働時間制における残業代計算は難しいので必ず弁護士に相談しよう

変形労働時間制における残業代、とくに時間外手当の計算は少し複雑でしかも変形労働時間制そのものの有効性さえ問題になりやすいです。残業代の計算は必ず弁護士に相談してできるだけ早く働いたお金が帰ってくるようにしてください。

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