残業の多い職業、少ない職業~業界別で見る残業発生の傾向
残業の多い、少ないは職業も大きくかかわっています。こちらでは職業と残業時間の関係及び残業代請求に踏み切るポイントを紹介するのでぜひ参考にしてください。残業が多い場合は未払いの残業代が数100万円になっている場合もありますし、残業が少ない場合でも未払い賃金が問題となることはあります。
- 残業代を請求することができるのはどんな人?
- 1日8時間以上、週40時間以上働いている人
- 次の項目に当てはまる人は、すぐに弁護士に相談
- サービス残業・休日出勤が多い
- 年俸制・歩合制だから、残業代がない
- 管理職だから残業代が出ない
- 前職で残業していたが、残業代が出なかった
残業の多い職業
残業の多い職業は「仕事の終わりが明確に決められない」ものや「一人では到底終わらない量の仕事を任されている」ものが多いです。残業が多い仕事の場合みなし労働時間や固定残業が導入されていることもよくあります。
しかし、どんな制度でも残業代を不当に安くすることはできません。このような職業の方は会社の慣習に負けず残業代請求をしましょう。
映像関連・広告・新聞
クリエイティブにかかわる職業は仕事に明確な終わりがありません。質を高めようと思えば際限がなく、急な変更を要求された時の対応も残業を多くする原因となります。グラフィックデザイナーや映像関連の仕事、新聞の編集者などは注意してください。残業代請求以前に体力が必要な職業と言えます。
コンサルタント
コンサルタントは残業が多い仕事です。お客様と会う時間は限られていますが資料を分析する仕事やこれからの戦略を立てるための仕事が多く、残業が増える原因となります。高度な情報を扱う仕事はそれだけ責任が重く、終業時間でもなかなか仕事を中断しづらいところがあります。
ドライバー・配送業者
荷物を運ぶドライバーは予定時間内に終わらず残業代が多くなりがちです。そもそも、法定労働時間内に終わらない量の荷物を扱っている点は見直しが必要だと思われます。長距離移動の場合はどうしても労働時間が長くなりますし、引っ越しなど積み下ろしの作業が大変な職業も残業が多いです。
コンビニや外食
コンビニや外食は夜遅くまで営業していることが残業代の多さにつながります。営業時間が長い分、労働者を居残らせがちになってしまうからです。特に人手の足りないお店は仕事量・仕事時間ともに増えてしまいます。残業時間は月に36時間くらいのようですが実際はもっと多いでしょう。
現場監督
建築業界でも特に残業が多いのが現場監督です。現場監督は建築現場にいなければいけないうえ、現場での仕事が終わった後も事務作業が待っています。本当なら現場監督がやらなくても良い仕事まで押し付けられていることや長時間労働が常態化していることが考えられます。
残業の少ない職業
一方、残業の少ない職業は「仕事時間に制約のある」ものです。物理的にできることが無ければ早く帰るしかありません。よって、残業の少ない職業にはこのようなものがあります。
スポーツ施設、ヘルス関連施設
フィットネスやスポーツジムなどが当てはまります。このような施設は閉店時間が明確に決まっているためそれ以上の残業はしづらいです。マッサージ店なども残業が少ないです。ただし、閉店時間が早くても銀行のようにそのあとの業務が多ければ残業時間も多くなります。
薬局
薬局は開店時間と閉店時間が明確に決まっているため残業が少ないです。また、閉店した後にできる業務も限られているためやはり残業する理由が少ないです。仕事とプライベートを両立しやすい仕事と言えます。
病院・医療機器メーカー
病院も、閉院の時間が決まっている場合は残業時間が少ないです。大きな病院のように入院患者がいて夜勤が必要な場合は残業が多くなりやすいです。基本的には残業が少ない方ですが人手が足りないと残業が増えてしまいます。
そして、病院を相手に商売をする医療機器メーカーも残業時間が少ない傾向にあります。
一般事務
一般事務はやることが決まっているので残業時間が少ない傾向にあります。作業量が多い場合や経理や法務など専門性の高い事務職の場合は残業が多くなりがちなので事務職への転職を考えている場合は仕事内容のチェックを忘れずに。
士業
弁護士や司法書士、税理士なども残業が少ない傾向にあります。ただし士業の場合は時期によって残業の多さが変わってくるので一概に楽な仕事とは言えません。
残業代請求ができるかどうかの判断基準
残業代を請求できるかどうかの判断基準が分かれば残業代請求をしやすくなります。たとえ残業の少ない職業でも未払いの残業代がないとは言い切れません。しっかりと給与明細やタイムカードをチェックしてください。
残業した時間分の残業代が払われていない
残業した時間より残業代が足りない、完全なサービス残業をさせられているという場合は残業代請求ができます。サービス残業は法律で認められていないので会社に支払う意思がなくても強制的に支払わせることが可能です。
残業した時間は労働者が立証しなければいけない
残業した分の残業代はしっかり受け取るべきですが、残業したという証拠が残っていなければ残業代請求に失敗します。残業代が払われていない分の勤怠記録も残しておきましょう。タイムカードを強制的に切らされている場合も個人のメモとして残す。メール履歴やパソコンのログイン履歴など仕事をしていたと推定できる証拠を作るといった努力が求められます。
会社が残業についての証拠を見せてくれないなら裁判所に証拠保全の申し立てをすることが可能です。証拠保全の申し立てをすれば裁判官が会社に出向いて証拠を確保してくれます。証拠としての有力性は弁護士が判断してくれるのであなたは可能な限り多くの証拠を集めることが重要です。
みなし残業時間を越えた残業をしている
みなし労働時間が導入されている場合やみなし残業代として給与や手当に残業代が含まれる扱いになっている場合も残業代を請求できる可能性が高いです。そもそも、みなし労働時間は労働時間の算定が難しい場合と法律によって定められた職種である場合にしか認められず、携帯電話が普及した現代においてはまず認められません。
したがって、みなし労働時間制そのものを否定する方向で残業代請求が進みます。
みなし残業代が認められる条件
みなし残業代が認められるのは「残業代の金額が明確」である場合です。具体的には給与や各種手当に「うち残業代〇〇円」といった記述がみられるときです。この場合は予め定められたみなし残業代の範囲において残業代がすでに支払われた扱いになります。
みなし残業代が合法でもそれより多くの残業をしている場合は残業代を請求できます。
みなし残業代の金額が明記されていない場合は残業代を一切払っていないものとみなされ、残業代を改めて請求できます。
割増賃金が支払われていない
残業時間に応じた残業代が支払われている場合でも割増賃金が支払われていない場合は残業代請求ができます。割増賃金の未払いはブラックでない企業でもたまに起こります。
割増賃金は3種類
割増賃金は時間外手当、深夜早朝手当、休日手当の3つです。時間外手当で問題になることは少ないですが深夜早朝手当や休日手当の未払いに注意したいです。
特に、手当が重複する場合のもらい忘れに注意してください。
時間外手当と深夜早朝手当、深夜早朝手当と休日手当はそれぞれ重複しますが、休日労働が8時間を超えた場合は休日手当のみの支給となります。
会社による残業代未払いは法律違反!
会社による残業代未払いは法律違反で、契約によって覆すことができません。残業代の未払いがある場合は企業の意思と関係なく支払わせることが可能です。
会社で良い扱いを受けている、給料を多くもらっていることは残業代を請求できない理由になりません。パートやアルバイトでも問題なく残業代を請求できます。
さらに、残業代未払いの実態が悪質な場合、残業代と同額の付加金がもらえることがありますが、付加金がもらえるのは裁判で勝訴した場合でかつ裁判官が相当と認めた時に限ります。
残業代未払いの悩みは弁護士に相談を
残業代未払いの悩みは弁護士へ相談しましょう。労働問題に強い弁護士なら残業代を多く請求することができ、早期の問題解決を実現してくれます。残業代請求は基本的に会社と労働者の和解で決着がつくので、交渉のうまさも弁護士選びのポイントになります。
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