会社でのうつ病で、労災申請は認められる?

2018年12月27日6,250 view

会社でひどい扱いを受けた、労働時間があまりに長い、仕事の重圧に耐えられない。うつ病は私たちのすぐ近くにある病気です。労災は身体の怪我だけでなく精神的な病気に対しても認められますから、うつ病だからと諦めず労災申請をしましょう。

労災の証拠集めで行き詰まったときは弁護士に頼ってください。

うつ病でも労災申請は認められます

労災として認められるものは業務上あるいは通勤による負傷、疾病、障害または死亡です。

労災と聞くと移動中の交通事故や、工場現場での事故、建築現場での落下など身体への負傷ばかり思い浮かべますがアスベストを吸い込んで肺を患った場合も労災だし、パワハラや激務のせいでうつ病になった時も労災と認められます。

もちろん、うつ病以外の精神障害を患っている場合も労災が認められる可能性があります。どんな些細でも調子が悪いと思ったら病院で診てもらいましょう。精神障害の労災申請や労災認定が増えていますが、これは世の中がブラック化しているのではなく労災申請をしやすくなっているのだと考えた方が良さそうです。

うつ病は心でなく脳の病気?

うつ病は精神病という名前から心の病気であるように捉えられています。だからうつ病になる人間は心が弱い、気分が悪くなってしまう病気というイメージを持ってしまうのでしょう。

しかし、うつ病は脳の病気です。脳の状態が変わってしまったせいで神経伝達物質の調整など心を安定させる機能が低下して抑うつ状態や体の重さ、内臓の疲れなど様々な症状が出ます。

よく、うつ病はぼーっとしているように見えるため「思考力が低下している」と思われがちですがむしろ逆。うつ病の人は健常な人よりもはるかに脳を動かしています。脳の働きに歯止めをかけられないとてもアンバランスな状態なのです。

うつ病の原因はストレス

うつ病の原因はストレスです。ストレスがかかりすぎた時にそれを解消できずに抱え込むことで脳がバランスを崩して生きます。自力でバランスを戻せる段階を超えてしまうと脳が正常を保てなくなるのです。

うつ病は脳の働きに悪影響を与える病気であるため感情や身体に症状を引き起こします。心とはあくまで脳の反応によって作られたものに過ぎません。

ポジティブ思考は危険だって知ってました?

うつ病と聞くとネガティブなイメージがあるかもしれません。ポジティブ思考でうつ病対策ができるという考え方もあるようです。しかし、ポジティブ思考とはネガティブなことを無理やりポジティブにする考え方なのでストレスから目を背けることになります。

だから、気付いた時にはうつになってしまいます。目先の利益だけを考えた洗脳まがいの社員研修もかなり危ういです。

うつ病で労災認定されるには労災の条件を満たすこと

うつ病のように業務や命に支障が出るような状況であればなんらかの補償を受けたいもの。しかし労災はあくまで業務によって起こった労災事故のみが条件となるため「業務起因性」が認められなくてはいけません。

逆に言えば業務起因性さえ認められれば入院した場合や、演技でもありませんが命を絶った場合でも労災が認められます。

精神障害における労災の条件

精神障害における労災認定の要件はこちらです。

  1. 認定基準の対象となる精神障害を発病していること
  2. 認定基準の対象となる精神障害の発病おおむね6ヶ月の間に、業務による強い心理的負荷が認められること
  3. 業務以外の心理的負荷や個体側要因により発病したとは認められないこと

それぞれについて詳しく見ていきましょう。

認定基準となる精神障害の決め手は診断書

労災保険は業務上で起きた怪我や病気についての補償をするものです。つまり、精神的な苦痛や自覚症状だけでは不十分で、その症状が精神障害という診断を受けなければいけません。その中で労災の認定基準となる精神障害に該当している必要があります。

うつ病はもちろん労災の認定基準となる精神障害ですが、その根拠が医師の診断書であることを忘れないでください。

業務が原因であることが労災の条件

どんなに重い症状でも業務が原因でなければ労災と言えません。うつ病の場合もうつ病になるだけの強い心理的負荷が発症前の6カ月間にあることが大切です。あくまで6カ月以内ですから「6カ月以上続いていないと労災認定を受けられない」と勘違いしないよう注意してください。

むしろ6カ月より前にあったことが原因でうつ病になったとは認められづらいです。

心理的負荷は具体的な出来事とその強度に基づいて決められます。その内容を見るとパワハラやセクハラ、長時間労働、達成困難なノルマ、違法行為の強要、クレーム対応、退職強要など多岐に渡ります。

「こういう会社ならしょうがない」と諦めず弁護士に相談してください。

業務以外に原因がないことも大事

うつ病の原因が会社にあることを証明するためには業務以外の原因でうつ病になっていないことも要件となります。家庭環境や、友人との関係、周りで起きた事故や事件などの影響力が業務と比べてあまりに強いときは労災認定が慎重になります。

例えば「前の会社でうつ病にかかっていたけれど、今の会社に勤めてからうつ病の診断を受けた」場合。この場合は具体的な検討なくして今の会社による労災と認められません。しかし、前職での業務起因性が認められたなら時効が過ぎていない限り前職の企業の住所を管轄する労働基準監督署に労災申請が可能です。

うつ病による自殺も労災と認められる

労災の条件は故意に労災事故を起こさないことです。そのため、自分で命を断つ自殺は労災と認められづらいところがありました。しかし、今は自殺は正常な判断ができない状況での行為と認められ、その状態へ導いた原因が業務にあるなら労災が認められます。

平成11年の厚生労働省通達により精神障害者の自殺は必ずしも故意と認められないようになりました。

労災が認められない場合でも傷病手当が受けられる

うつ病に業務起因性が見られないという場合であれば労災が認められませんが、健康保険は怪我や病気によって仕事ができなくなってしまった人のために傷病手当を認めています。傷病手当は平均月収のおよそ3分の2が支給されるもので、念のため労災と同時に申請しておきましょう。

健康保険と労災保険はカバーする領域が違うのでどちらか一つしか受けられません。したがって傷病手当を受け取った後に労災が認められたらその差額のみを労災として受け取ることになります。

うつ病になった責任が会社にあるなら慰謝料も請求できる

うつ病の原因が会社にある場合、うつ病にさせた責任として慰謝料の請求ができます。労災が降りたのに?と思うかもしれませんが、労災はあくまで保健給付であって損害賠償の代わりにはなりません。労災で支払われない分は堂々と会社に請求してください。

慰謝料の算定や企業とのやりとりは弁護士に頼もう

慰謝料は労災と違って、具体的な金額が算定しづらいし相場通りの金額を請求したからといってすぐに解決するとは限りません。明確な証拠を元に計算可能な損害だけでなく慰謝料請求もする場合は、弁護士に慰謝料を計算してもらいましょう。

弁護士は法律だけでなく判例にも詳しいので、企業に対し「訴訟になったとしてもこのような判決になるだろう」という主張をもとに有利な条件を呑ませることができます。

休業補償手当で賄えない賃金も請求できる

実はうつ病で休業した分の休業補償手当では賃金の全てを賄えません。そこで、本来受けた損害と休業補償手当の差額も会社に直接請求することができます。

労災はあくまで労働者と政府の関係、損害賠償請求は労働者と会社の問題であることを理解しましょう。労災がおりたことを理由に損害賠償権は消滅しないのです。

会社への賠償請求は話し合いや訴訟で

労災の申請は労働基準監督署に対して行いますが、会社へ賠償請求するときは直接の話し合いか民事訴訟という形で行います。うつ病を患っている状態では直接の話し合いも難しいでしょうから弁護士に代理してもらうのも一つの手です。

司法書士や社労士は助言や立ち会いはできても依頼人の代理ができないので、心理状態が厳しいなら頼む先は弁護士一択です。

うつ病での労災認定は証拠が大切

うつ病での労災申請は業務起因性が大切です。労働者が6ヶ月前まではうつ病でなかったこと、そしてうつ病になるまでに精神障害の原因となるようなストレスがかかっていたことが証拠となります。

6ヶ月前から現在までの状態が問われる

うつ病で労災認定を受けるためには強い心理的な負荷を受けるより前からうつ病でなかったこと、その心理的な負荷が業務によるものであったことを証明しなくてはいけません。もし、うつ病を発症してから6カ月の間に業務外で強い心理的負荷を受けていた場合はそちらが原因でないこともアピールしたいところです。

だから、うつ病が労災であると示すためには病院からうつ病の診断を受けるだけでなく会社の内情も記録する必要があります。例えば仕事量が多かったことやノルマが厳しいものであったことは業務の記録を集めれば示せるでしょう。パワハラやセクハラ、暴力についてはボイスレコーダーを使っての証拠集めが可能です。

特に企業が労災の起きる環境を放置していた場合は労災が認められやすくなります。もちろん、企業がその問題に早期対応した場合でも労災を認められる場合は少なくありません。

うつ病になってから6カ月経った後の労災申請も諦めないで

ここで「6カ月より前から会社がブラックですでにうつ病診断もされている場合は労災申請されないのか?」という疑問が生まれます。しかし、この場合は遡って労災申請できるのでご安心ください。

例えば10ヶ月前からうつ病が認められてその原因となる強い心理的負荷が18ヶ月前から続いていた場合は、そのうつ病の診断を受けたところからの給付を受けられます。

ただし、療養給付と休業補償給付の消滅時効は2年です。申請しないと毎日給付される金額が少しずつ減っていきます。

労働時間の証明は残業代請求にも役立つ

うつ病の原因として度を越した激務も考えられます。もし、長時間労働の証拠をつかめた場合は残業代請求も一緒に行いましょう。ブラック企業の場合は激務を要求する上残業代を支払わないような実態がよく見られます。

残業代はボーナスと相殺できないし、手当として支払うこともできません。残業代が支払われている場合でも給与明細をよく確認してください。

うつ病の労災申請は因果関係が大切。自信がないときは弁護士に相談を

うつ病が長引くと精神面でも経済面でも大きな損失になります。早く治そうと思って治せるものでないからこそしかるべき支援を受ける必要性が高いです。

怪我に比べて精神障害は根拠を明確にしづらいので、労災認定の基準や証拠の集め方で迷ったときは弁護士に相談しましょう。

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