労働時間の管理は会社の義務?タイムカードの保管期限は3年

2018年2月5日2,847 view

タイムカード

従業員が1人でもいれば、その会社では労働時間の管理が求められます。その方法として一番手軽なのがタイムカードを使った方法ですが、タイムカードは賃金台帳などの書類と同様に3年間保管しなければならないと法律で定められています。しかし、未払い賃金などが発生したときに備えて、自分でも労働時間を記録しておいたほうが賢明です。

すべての会社でタイムカード等による労働時間の管理が必要

タイムカード

従業員が1人でもいる会社や事業所はすべて、従業員の労働時間を把握・管理することが必要となります。一番労働時間を管理しやすい方法が、タイムカードを利用して出勤時間と退勤時間を記録する方法ではないでしょうか。

タイムカード等で労働時間を管理すべき対象者

タイムカード等で労働時間を管理する対象となるのは、会社の中でもどのような立場の人たちなのでしょうか。これについては、厚生労働省が出している通達が基準となっていますが、具体的にどのような人が対象となるのかについて見ていきましょう。

すべての従業員の労働時間の管理が必要

厚生労働省の通達(平13・4・6基発第339号別添)によると、労働時間を管理すべき対象者は、「管理監督者に該当する労働者」及び「みなし労働時間制が適用される労働者」を除く、すべての労働者であるとされています。

みなし労働時間制で働く従業員や管理職も例外ではない

通達をそのまま文面通りに解釈すると、みなし労働時間制で働く従業員や管理職は労働時間を管理しなくともよいように見えます。しかし、実際にはみなし労働時間制で働く従業員や管理職についても、会社側が健康管理を行なう必要があることから、これらの立場の人も含め、すべての従業員が労働時間を管理する対象になると考えられています。

なぜタイムカード等で労働時間の管理が必要なのか

タイムカード等で労働時間の管理が必要となる理由については、始業・終業時刻など労働時間の記録に関する書類が労働基準法上の「その他労働関係に関する重要な書類」に該当するとされているからです。労働時間を管理することで、以下のような場合に役立ちます。

従業員の権利と労働に関する紛争解決手段になる

従業員から残業代や未払い賃金の請求があった場合、残業代や未払い賃金の額を算出するのにタイムカードは有力な証拠となります。そのため、保管がもとめられています。万一裁判で争うことになったときには、裁判所から証拠保全命令や開示命令が下ることもあります。

労働者を監督する上で必要となる

すべての労働時間を把握し、長時間労働が発生しているようであれば面談を実施し、休暇をとるように勧告したり部内での業務分担を再考したりするなどの是正措置をとらなければならならないため、タイムカードの保管が必要となります。

タイムカードは3年間保管しなければならない

保管

出勤簿・賃金台帳・労働者名簿の3つは、3年間保管するよう法律で義務付けられています。同時に、その元データとなるタイムカードについても、それらの書類と同様に3年間は保管しなければならないとされています。

タイムカードは労働時間を把握・管理するために必要なもの

タイムカードは、従業員が打刻した出勤時間と退勤時間を把握するために必要となるだけでなく、労働時間を算出して賃金台帳などに記入する際にも必要となるものです。

タイムカードの作成・開示義務はないが、労働時間の把握・管理義務はある

しかし、そもそも会社側のタイムカードや出勤簿の作成義務や開示義務は、法律上定められたものではありません。しかし、厚生労働省の通達によれば、会社側には労働者の出勤・退勤を把握・管理する義務があるとされています(平13・4・6基発第339号)。そのことについて、労働基準法でも「使用者は、労働者の名簿、賃金台帳及び(中略)賃金その他労働関係に関する重要な書類を3年間保存しなければならない」と明記されています。

裁判所からタイムカードの開示請求されたことも

法律上、タイムカードの開示義務は明記されてはいないものの、裁判所の判決で開示を要求されたケースもあります。大阪地裁は、「使用者は、労働者からタイムカード等の開示を求められた場合には(中略)、保存しているタイムカード等を開示すべき義務を負う」ことを認めました。(大阪地判平成22年7月5日)

「3年」の起算日はいつ?

賃金台帳などの書類やタイムカードの保管期間は「3年」ですが、その「3年」はいつから始まるのでしょうか。厚生労働省の通達によると、「3年」の起算日は「それらの書類ごとに最後の記載がなされた日」であるとされています(平13・4・6基発第339号)。

具体的には、以下のような日が起算日になる考えられます。(※1)

  • 賃金台帳は最後の記入をした日
  • 賃金その他労働関係に関する重要な書類はその完結の日

すべての会社で、上記の起算日から3年間は賃金台帳などの書類やタイムカードを適切に管理し、労働基準監督署の立ち入り調査などで提示が求められた場合には速やかに提示できるようにしておかなければならないと言えるでしょう。

(※1)たかす社会保険労務士事務所「~労務関係に関する書類の保存期間~タイムカード、賃金台帳、残業命令書等」

タイムカードの管理の仕方

管理

従業員の勤怠管理の仕方は、大きく分けて紙ベースで管理する場合とシステム上で管理する方法があります。会社の規模などによって勤怠管理方法は異なりますが、どのような勤怠管理方法があるのか、また、勤怠のデータはどのように管理をすればよいのかについて見ていきましょう。

労働時間を紙ベースのタイムカードなどで管理する場合

従業員の出勤・退勤を紙ベースで記録する方法としては、エクセルなどで作成した勤怠表に手書きで勤怠を記入する方法、エクセルの勤怠表に入力する方法、専用のタイムカードを打刻機に差し込んで打刻する方法の3つがあります。それぞれの保管方法について見ていきましょう。

①手書きで勤怠を記入する方法

総務部などが用意した出勤表に従業員が出勤時間・退勤時間を書き込むタイプのものは、ファイリングしたり、ひもなどで束ねてダンボールで保管する方法が一般的でしょう。

②エクセルで勤怠を入力する方法

エクセルの勤怠表に出勤時間・退勤時間を入力するタイプのものは、エクセルのデータのまま保管する方法や、出力してファイリングしたり、ひもで束ねてダンボールで保管する方法があります。

③打刻機で打刻するもの

厚紙でできたタイムカードを打刻機に差し込んで打刻するタイプのものも、個人毎・月毎などに輪ゴムで束ねてダンボールに入れてキャビネットで保管する方法があります。しかし、タイムカード専用のファイルやダンボール箱も市販されているので、それらを利用してもよいでしょう。

労働時間をクラウドシステムで管理する場合

近年では、労働時間の管理や給与計算の手間を減らすべく、さまざまなクラウドソフトが開発されていますが、出勤・退勤をクラウドシステムで管理する会社も徐々に増えています。その場合の保管方法については、行政解釈によれば、以下の①②の要件を満たす形で記録が保存されている場合には、紙に出力して保管する必要はないとされています。

①画像情報の安全性が確保されている

  • 故意・過失による消去、書き換えができない
  • 保存義務のある書類とない書類を区別できる

②画像情報を正確に記録し、かつ、長期間にわたって復元できる

  • 画像情報を正確に記録できる
  • 3年間損なわれることなく保存できる
  • 画像情報を正確に復元でき、また、監督官の臨検等に際し、直ちに写しを提出し得るシステムとなっている

(平8・6・27基発第411号)

タイムカード等で記録するだけでなく、自分でも労働時間を把握しておこう

会社などに勤めている人は、労働時間を日々タイムカード等で記録している人も多いと思います。しかし、自分でも出勤時間と退勤時間をメモにとっておくなど、別に記録をつけておくのがベターです。そうすれば、未払い賃金・残業代が発生して会社側と残業時間や労働時間について争いが生じたときに、裁判所でそのメモを証拠として採用してくれるでしょう。万が一の時に備えて、防御策を講じておくことも大切です。

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